「ネット証券は気軽に始められる」と聞いたことがある人もいるだろう。だが、初めての口座開設の場合戸惑うことも多いはずだ。今回は、株初心者が開設しやすいネット証券会社の口座開設方法を紹介しよう。

ネット証券会社のHPで手間を掛けずに口座開設

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(画像=one photo/ Shutterstock.com)

主要ネット証券5社(SBI証券・カブドットコム証券・松井証券・マネックス証券・楽天証券)では必要書類の郵送による口座開設も選択できるが、ネット証券会社では現在、取引開始までの日数が短いオンラインによる口座開設が一般化している。証券会社も公式ホームページのトップページにある「口座開設」ボタンを押すと、オンライン手続きのための口座開設ページが開く。あとは、フォームに必要事項を記入し、指示通りに本人確認書類やマイナンバーカードなどの画像をアップロードするだけだ。

オンラインによる口座開設最大のメリットは、手続きの簡単さと取引開始までの期間の短さだ。多忙なビジネスパーソンにとっては、WEB入力作業だけで口座開設手続きが完了し、手間や時間をかけることなく取り引きが開始できることは大きな魅力だろう。

SBI証券では「WEBアップロードなら最短翌営業日からの取引が可能」とうたっている。オンラインでの簡単手続きと必要書類のアップロードで、即座に口座開設手続きが完了し、証券会社サイトへのログインが可能になる。その後、証券会社から口座開設のお知らせを受け取って、ログインIDとパスワードを入力すれば取り引きが開始可能。少しでも早く取り引きをしたければ、迷うことなくオンラインでの口座開設を選びたい。

【重要】覚えておきたいマイナンバーの提示とその方法

現在、証券会社で口座を開設する際には、所得税法などによってマイナンバーの提示が義務付けられている。どの証券会社でもマイナンバーの提示と、必要に応じた本人確認書類の提示が口座開設手続きに組み込まれているので、必要な手順として覚えておいてほしい。

証券会社の口座開設にあたっては、マイナンバーの提示は個人番号カード(マイナンバーカード)または通知カードのどちらで提示してもよいことになっている。ただし、個人番号カードか通知カードか、個人番号カードや通知カードが手元にある場合とない場合とでは、マイナンバーの提示方法や必要になる本人確認書類が違ってくるので、自分に該当する方法を以下で確認しておくとよいだろう。

個人番号カードが手元にある場合

個人番号カードが手元にあると、手間が一番少なく最短で口座開設ができる。個人番号カードの表面の顔写真と裏面のマイナンバーが読み取れるように、両面をデジタルカメラやスマートフォンで撮影するか、スキャンしてからパソコンに保存する。口座開設ページのマイナンバーカードの提示方法で「アップロード」を選択して、保存したマイナンバーカード画像をアップロードする方法が一般的だ。証券会社に提示する必要書類はこの個人番号カードだけで済むことが多い。主要証券会社5社のうち、SBI証券・カブドットコム証券・松井証券の3社は、個人番号カードであれば1点だけの提示でよいので簡単だ。

中には、カブドットコム証券のSMART証券口座開設のように、スマートフォンのNFC機能で直接マイナンバーカードを読み取ることができるシステムも出てきている。ただし、現在では一部のAndroid端末のみの対応なので、使用している携帯が対応機種であれば利用してみるのもよいだろう。

通知カードが手元にある場合

通知カードは通常、本人確認書類にはならない。そのため、証券会社に通知カードを提示する場合は、本人確認書類を一緒にアップロードする必要がある。

通知カードで必要になるのは表面のマイナンバー部分なので、撮影・スキャンした画像でマイナンバーが鮮明に写っているかを必ず確認してからアップロードする。裏面にも記載があれば裏面も忘れずに。

通知カードと一緒にアップロードする本人確認書類は、運転免許証をはじめ、住民票の写し・パスポート・印鑑登録証明書・健康保険証・福祉手帳・在留カード・特別永住者証明書など。顔写真が付いた本人確認書類なら1点、顔写真が付いていない本人確認書類であれば2点の提示を求められるのが一般的だ。証券会社によっては、個人番号カードを提示する場合でも、マネックス証券や楽天証券のように運転免許証や各種本人確認書類の提示が必要になることがある。口座を開設する証券会社の「口座開設の流れ」を必ず確認して手続きしてほしい。

個人番号カードや通知カードが手元にない場合

マイナンバーを記載したどちらのカードも手元にない場合は、証券会社によって対応に若干違いがある。書面の「口座開設申込書」とあわせてマイナンバー確認書類と本人確認書類を郵送するケースが多く見られる。一方で、SBI証券のように、口座開設手続きはWEBで行い、マイナンバー確認書類や本人確認書類だけを郵便で送ったり、メールで送ったりできることもあるので、詳細については必ず各証券会社のホームページで確認を。

選べる3種類の口座とその違い

証券会社に口座を開設する際に、必ず選択しなければならないのが「特定口座(源泉徴収あり)を開設する」、「特定口座(源泉徴収なし)を開設する」、「特定口座を開設しない」(一般口座)の3つの選択肢だ。その後の投資運用と納税方法に密接に関わるので、ここで3種類の口座の概要を確認して、自分の投資スタイルに合った口座を選ぶべきだろう。

特定口座の源泉徴収あり・なしについては、その年の最初の譲渡や配当金の受け入れのタイミングまでに切り替えることができる。投資方針が変わったりした場合には、年初に変更手続きすることを忘れないようにしたい。

特定口座(源泉徴収あり):譲渡益などの利益が出ると、その都度源泉徴収される

この口座で上がる譲渡益などの利益はその都度源泉徴収されるため、自分で確定申告する必要がない。配当金の受け取りも特定口座(源泉徴収あり)を指定しておくと、1年間通して譲渡損失が出た場合に自動的に配当金と損益通算されるので、忙しいビジネスパーソンに適した口座だといえる。

毎年、証券会社から1年分の「年間取引報告書」が交付されるため、複数の証券会社間で損益通算の確定申告をする予定がある人にも便利な口座だ。

特定口座(源泉徴収なし):源泉徴収されないので、原則確定申告が必要

原則的に確定申告が必要な口座だが、証券会社から1年分の「年間取引報告書」が交付されるので、それに基づいて簡単に申告できる。年間通して大幅な譲渡損失が発生し、損益通算しても翌年に損失が繰り越すときは、確定申告で「損失の繰越控除」が適用される。株式投資によって損失が発生するリスクがある場合には、あらかじめ特定口座(源泉徴収なし)を選択するのも手だ。

年間の給与所得が2000万円以下で、給与所得・退職所得以外の年間所得が20万円以下に収まる見込みの人についても、確定申告の必要がないので、譲渡益などが源泉徴収されない特定口座(源泉徴収なし)を選択するメリットがある。

一般口座:1年間の売買損益全てを自分で計算する。原則確定申告が必要

特定口座と違って、証券会社から「年間取引報告書」が交付されないので、一部の場合を除いて、全ての売買損益を自分で計算して毎年確定申告する必要がある。一般口座を選択している場合も、「損失の繰越控除」の適用を受けられるので、年間の譲渡損失がマイナスになって所得税を支払う必要がなくても忘れずに確定申告するとよい。

売買損益の計算など、管理に手間と時間が掛かるので、多忙な人にはあまり向かない口座だといえる。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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