株式と同様、投資信託も利益が出た際には税金を払う必要がある。税金と聞くと難しいと感じるかもしれないが、税金がかかる場面や、納税・節税の方法だけでも押さえておけば、最終的な利益・収益率を正確に見積もることができるようになる。

投資信託の税金は種類によって異なる

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(画像=SergeyP/Shutterstock.com)

投資信託に係る税金は、売却・償還により「譲渡益」が出た際にかかる税金と、「分配金」を受け取る際にかかる税金の2パターンがある。また、税金の取扱いは「株式投資信託」と「公社債投資信託」により異なってくる。

投資信託は、運用する資産の中身によって「株式投資信託」と「公社債投資信託」に分類される。「株式投資信託」はポートフォリオに株式を組み込むことができる投資信託のことだ。あくまでも組み込むことができるというだけで、公社債を中心に運用していても株式投資信託と呼ぶこともある。一方、「公社債投資信託」は株式を組み込まない投資信託をいう。

どちらの分類になるのかは、投資信託説明書の表紙や約款などで確認しておく必要がある。

株式投資信託に係る税金

株式投資信託で売却・償還時の価格が取得価格より高くなり、「譲渡益」が出た場合に課税される税金は、所得税15%、住民税5%に加えて2037年までは復興特別所得税0.315%を加算した合計20.315%の税率を譲渡益にかけて計算する。

なお、取得価格とは別に金融機関に支払う手数料(委託手数料等)も控除することができる。


・譲渡益=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
・支払う税金=譲渡益×20.315%

株式投資信託の「譲渡益」は申告分離課税となっているため、原則、確定申告が必要となるが、特定口座(源泉徴収あり)で取り引きを行っている場合は課税関係が終了し、確定申告が不要となる。

株式投資信託の「分配金」にかかる税金は、上場株式と同様、20.315%の税率で源泉徴収される。源泉徴収のみで課税関係が終了するため、確定申告は原則不要となる。

ただし、上場株式等の譲渡損失と損益通算を行う場合や、配当控除(株式投資信託の配当金は配当所得となるため)の適用を受ける場合は確定申告をする必要がある。

公社債投資信託にかかる税金

公社債投資信託で「譲渡益」が出た場合、以前は源泉徴収をされ確定申告による損益通算も不可能となっていたが、2016年1月より株式投資信託と同様の取扱いとなり、20.315%の税率による申告分離課税へ変更となった。申告分離課税なので原則は確定申告が必要だが、こちらも株式投資信託と同様、特定口座(源泉徴収あり)で取り引きを行えば自動的に課税関係が終了し、確定申告が不要となる。

譲渡損失が出てしまった場合は、確定申告を行うことで上場株式や株式投資信託などの譲渡益や配当と損益通算することができる。

公社債投資信託で「分配金」が出た場合、20.315%が源泉徴収される。また、2016年1月以降は、確定申告をすることで申告分離課税の適用を受けることも可能となった。

申告分離課税として確定申告をすると、上場株式や株式投資信託などの譲渡損失と損益通算することができる。ただし、公社債投資信託の利子は利子所得に分類されるため、株式投資信託のような配当控除を適用することはできない。

分配金には税金のかかる「普通分配金」と税金のかからない「特別分配金」がある

分配金は、個別元本と分配落ち後の基準価格との関係で、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類に分けられる。

分配落ち後の基準価額が個別元本を上回っている(運用が上手くいっている)場合は普通分配金が支払われ、上記のとおり分配金に対して20.315%の税金が課税される。

一方、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回っている(運用が上手くいっていない)場合はその差額が特別分配金となる(収益分配金から特別分配金を引いた部分は普通分配金となる)。特別分配金の場合は非課税扱いになるといった違いがある。

投資信託にかかる税金とどう付き合えばよいか?

上記のとおり投資信託の収益には税金がかかってしまうが、金融機関の口座を「特定口座(源泉徴収あり)」としておくことで、確定申告の手間を省くことが可能だ。

また、NISA(ニーサ)やIDeCo(イデコ)といった制度を利用することで、上記の税金を非課税扱いにすることができる(制度により金額・期限等の制限あり)。せっかく投資信託で利益を出しても通常であれば20.315%の税金が課されてしまう。パフォーマンスに大きな差が出る可能性もあるので、制度の特徴をよく理解した上で節税にも意識を向けるとよいだろう。

投資信託を長期で運用する人は多いが、投資信託の損益だけ気にして税金は気にしていないという人もいるのではないだろうか。利益が確定して初めて気付く人も少なくないだろう。

投資に税金は付きものだ。できる限り手間をかけず、節税をしながら賢く運用をするのが資産形成における1つのコツといえるだろう。

文・春美 悠(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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