堅実で比較的長期の運用。このようなニーズのもと、多くの投資信託が販売されている。ただ、いざ買おうという段になると、小難しい数字やカタカナの用語が並び、よく分からないという人は多い。40代の投資初心者はどのような点に注目して投資信託を選べばいいのだろうか。

投資信託選びにおける失敗とは何か

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(画像=Chinnapong/Shutterstock.com)

40代が投資に求めるものは、2年で何倍・何十倍にしたという一発勝負よりも、堅実でなるべく損しにくく、長期で運用できるタイプのものだろう。

子どもがいる人なら教育資金がかさむ時期であり、人によっては住み替えを考える時期かもしれない。定年退職後の生活をリアルに感じはじめ、老後資金に不安を抱える人も多い。

キャリアの選択肢は若い頃に比べて格段に狭まっている。

大きな支出があることは分かっているものの、本業で大きく収入を増やすことも難しい。そこでお金を稼ぎ、守る手段としての投資を本格的に考える時期なのである。

失敗しない投資信託選びの前に、まず投資における失敗とは何かを考えてみよう。それは運用の目的を達成できないということだろう。大切なのは「何年でいくら増えた」という事実よりも、自分のニーズに合った投資信託を選ぶことだ。

投資信託を選ぶときの基本をおさえよう

ただし誰にとっても明らかに劣る・優れる投資信託というのは存在する。まずは基本的な事柄を見てみよう。

投資信託は取引コストが低いものを選ぶ

投資で思ったとおりの結果を出すために重要なのは取引コストを下げることだ。運用結果はコントロールできないが、手数料は事前に明示されている。同じような内容の商品であれば、当然コストが低いものを選ぶべきだ。

一般的な投資信託では次の3つの場面で手数料がかかる。購入時と運用期間、解約時だ。運用を委託している間ずっとかかるのが信託報酬と呼ばれ、ここをいかに下げるかがポイントといってよい。

購入時にかかる費用は販売手数料と呼ばれ、高いと実質的な利回りは下がってしまう。手数料がかからないノーロードファンドも多く販売されている。解約時は信託財産留保額と呼ばれ、こちらを無料としている投資信託は多い。

信託報酬は積極的に市場を超えたリターンを目指すアクティブファンドの場合1%を超えるものも多いが、株価指数などに連動することを目指すインデックスファンドの場合は0.1%を下回るものもある。

運用が長期になればなるほど、信託報酬を低く抑えた効果は出やすい。慌てずじっくり探してみよう。

運用期間が自分の資金使途と合っているか確認する

投資信託の中には運用期間(償還日)が設定されているものがある。資金使途がはっきりしている場合は別だが、老後資金のように期限が決まっていない場合は無期限のものを選ぶ必要がある。目論見書や証券会社のホームページなどで確認しよう。

無期限や償還日より前の投資信託でも、繰上償還されて運用が終わってしまう可能性がある点には注意が必要だ。目論見書に「5億口以下になった場合」「30億口を下回った場合」などと償還の条件が載っている。

毎月分配金が出るタイプの投資信託は魅力が薄い

分配金が毎月出るものに「お小遣い」に似た魅力を感じる人もいる。ただ運用の目的に照らし合わせてみれば、不利になると考えるのが自然だ。せっかく現金で持っておくよりも有利に運用するために投資したのに、稼いだ先から換金するのではあまり意味がない。中には分配金の支払い後に基準価額が大幅に低下する「タコ足配当」の投資信託もある。

儲けを現金化せずに運用する、つまり再投資することで複利の効果を生み出すことが投資の魅力だ。頻繁に分配金が出るタイプのものは、このメリットを殺してしまうことになる。

リスクに対応するための2つのポイント

投資信託の選び方の基本は堅実な運用を考える上での前提条件となるが、パフォーマンスに大きな影響を与えるのは運用結果だ。もちろん先のことはわからないが、かといって大切な資産の運用先を当てずっぽうで選ぶわけにはいかない。

金融商品では価格の変動性をリスクと呼ぶ。リスクが高い商品とは、先月5000円だったものが今月2万円になるといった具合に、価格変動が激しいもののことだ。

何かしらの目的があって運用しているはずだが、資金が必要なときに基準価額が購入時よりも著しく低い状態だったら、大幅に損することを承知で解約するか、解約を諦めてほかの方法でお金を集めるかを選ぶことになってしまう。これこそが投資信託の失敗といえる。

資産配分を重要視してリスクを調整する

このような失敗を避けるためにはリスクを調整できるようにならなければならない。それは投資信託の銘柄そのものを選ぶことではなく、資産配分によって行う。

株式や債券、不動産など、資産の分類によってリスクは異なる。

たとえば、株式は個別銘柄の価値がゼロになる可能性は低くないが、先進国の国公債がデフォルトする(予定どおり返済されずに債券の価値が著しく低くなる)可能性は極めて低い。

不動産は株式と債券の中間程度のリスクだ。

どの資産分類においても日本では、国内の資産よりも海外で運用するタイプのほうが高リスクとなる傾向がある。

リスク許容度はこれから控える出費の内容に応じて決める

自分自身が抱えられるリスクはどうやって決めればよいのか。それは運用目的、つまりこれから控えている出費の内容に応じてリスクが決まってくる。たとえば教育資金を最優先に考えている人であれば、予定している学費や養育費は必ず確保する必要がある。その金額に関しては株式を組み入れない公社債投資信託で運用する、といった具合だ。

初めから資産配分を一定の割合に決めているバランスファンドもあるが、自分で配分を考えてそれぞれにあった投資信託を選ぶのもよいだろう。そうすれば人生のイベントを達成したり計画が変わったりしたときに調整がたやすい。

いままで儲かっているから今後も儲かるとは限らない

最後のポイントは、基準価額の推移だけに目を奪われないことだ。

証券会社のサイトや投資情報サイトでは、リスクのほか、リターンや両者を関係付けた数値であるシャープ・レシオがどう推移してきたかを見ることができる。ただ、このグラフが右肩上がりだったとしても、今後も同じように結果を残せるとは限らない。あくまでもこれは過去の結果だからだ。

いままでのパフォーマンスは、今後どのようなリスク・リターンの動きをするかを考えるにあたってあまりあてにならない。それよりも、投資信託選びで失敗しないためには、コストや分配金のタイプなどの変わりにくい部分を堅実に見ていくほうがいいだろう。何より期間や資産配分を運用目的に合わせて考えることが重要だ。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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