取引相場のない株式の評価方法として、純資産価額方式を選択する場合は、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書『第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書』」(以下、「評価明細書 第5表」という。)を用いて1株当たりの純資産価額を計算します。
評価明細書 第5表の中で「1.資産及び負債の金額(課税時期現在)」の箇所には資産の部及び負債の部の各科目ごとに「相続税評価額」と「帳簿価額」を記載しますが、ここでいう「相続税評価額」とは財産評価基本通達の定めにより評価した価額であり、また「帳簿価額」とは税務計算上(=法人税法上)の帳簿価額となります。
相続税評価額=財産評価基本通達の定めにより評価した価額
帳簿価額=税務計算上の帳簿価額⇒会計上の帳簿価額±法人税別表五(一)の金額※
※法人税別表五(一)の金額とは、法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の「Ⅰ利益積立金額の計算に関する明細書」の「差引翌期首現在利益積立金額」の金額をいう。
評価明細書 第5表の「相続税評価額」及び「帳簿価額」を記載するに当たり、土地、建物及び投資有価証券については「相続税評価額」と「帳簿価額」が大きく乖離する場合があります。
具体的には下記の方法でそれぞれの金額を求めます。
1. 土地
(1)帳簿価額
会計上、市場価額の著しい悪化により減損損失を計上した場合においても、税務上は単なる時価の下落は評価損の計上事由に該当しないため、法人税別表五(一)における調整が必要となることがあります。この場合の「帳簿価額」は、会計上の帳簿価額に減損損失相当額を加算した金額となります。
(2)相続税評価額
路線価方式又は倍率方式により評価します。
なお、課税時期以前3年以内に取得した土地等があるときは、通常の取引価額に相当する金額により評価し、他の土地等と科目欄を別にして記載します。(非上場株式の純資産価額の計算-2014/05/07- 過去記事)
2. 建物
(1)帳簿価額
減価償却超過額がある場合は、会計上の帳簿価額に減価償却超過額を加算した金額となります。
また、資産除去債務相当額を取得価額に算入している場合は、会計上の帳簿価額から資産除去債務相当額(減価償却費控除後)を減算した金額となります。
(2)相続税評価額
自社家屋であれば固定資産税評価額×1.0で評価します。
なお、課税時期前3年以内に取得又は新築した家屋等の評価は、土地の場合と同様です。
3. 投資有価証券(その他有価証券として保有する上場株式)
(1)帳簿価額
会計上、その他有価証券として保有する上場株式については、決算日時点の時価により評価しますが、法人税法上は原価法(期末帳簿価額で評価する方法)により評価します。
そのため「帳簿価額」は、会計上の帳簿価額に評価損益を加減算した金額となります。
(2)相続税
上場株式については、財産評価基本通達169(1)により評価します。(上場株式の評価-2013/01/15- 過去記事)
(提供:チェスターNEWS)