40代は仕事の責任が重くなるだけでなく、人生の三大出費と言われる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」も重くのしかかってくる年代でもある。これらの資金を準備するのに適した制度には、「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」などがあるが、どう選べばいいのだろうか。

つみたてNISAとiDeCoの共通点

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(画像=Jack Frog/Shutterstock.com)

つみたてNISAは、長期での積立・分散投資を手段とした資産形成を支援し、運用益が非課税になる制度だ。

iDeCoは、確定拠出年金法に基づき、投資信託などを利用した私的年金で、運用益が非課税になるだけでなく、さまざまな税制優遇がある制度だ。

つみたてNISAとiDeCoには、いくつかの共通点がある。

共通点1 毎月一定額で購入する積立投資

どちらも、原則として限定された投資信託の中から商品を選び、毎月一定額を購入する。毎月一定額ずつ購入することにより、価格が変動する投資信託を、高い時には少なく、安い時には多く買うことができる(ドルコスト平均法)。その結果、一度にまとめて購入するよりも安い単価で購入できる場合が多く、利益を得やすくなる(iDeCoでは定期預金などの元本確保型商品を選ぶこともできる)。

共通点2 長期運用、運用益非課税

貯金や投資をする場合、利益に対して20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかるが、つみたてNISAでは最長20年間非課税で運用できる。同様に、iDeCoも加入時から年金受取開始時まで非課税で運用できる。長期間運用することのメリットとして複利効果があるが、どちらの制度も運用益が非課税であるため、さらにその効果を期待できる。

つみたてNISAとiDeCoの違い

相違点1 月々の掛金……iDeCoは人によって異なる

つみたてNISAの積立額は、年間40万円が上限だ。金融機関によっては月100円から積み立てられる。

iDeCoの積立額の上限は、人によって異なる。国民年金の第1号被保険者である自営業者(国民年金第1号被保険者)は、年間81万6,000円(月6万8,000円)が上限だ。国民年金の第2号被保険者である会社員や公務員は、会社が取り入れている年金制度によって年間14万4,000円から27万6,000円だ。毎月の掛金は最低5,000円からで、月1回の拠出だけでなく、年1回以上の年単位拠出も選べる。

相違点2 手数料…つみたてNISAは信託報酬のみ

つみたてNISAにかかる手数料は、信託報酬(保有期間中、投資信託から差し引かれる運用管理費用)のみ。信託報酬も低めに設定されている(通常、投資信託には販売手数料がかかる)。iDeCoは信託報酬のほかに、加入時に事務手数料、運用期間中に口座管理料、受取時には給付手数料がかかる。

相違点3 税制優遇……非課税になるものが違う

つみたてNISAは、分配金や譲渡益が非課税である。iDeCoは、運用時非課税だけでなく、掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税を軽減できる。iDeCoの給付を受ける時、年金として受け取れば公的年金等控除、一時金として受け取れば退職所得控除の対象となるので、節税効果が高い。

相違点4 現金化したくなった時……iDeCoはしにくい

つみたてNISAは、いつでも売却することが可能だ。しかし、iDeCoは年金であるため、60歳まで受け取ることができない。

つみたてNISAとiDeCo、自分に合う制度は?

つみたてNISAとiDeCo、それぞれの特徴を見てきたが、どちらがどのような人に向いているだろうか。

つみたてNISAは、いつでも現金化できることから、近い将来必要となる子供の教育資金や、住宅購入などの資金を貯めたい人に向いているだろう。つみたてNISAでは、月々100円から積み立てられる金融機関もあるため、投資未経験の人にも向いている。

iDeCoは老後まで現金化できないが、つみたてNISAと比較して節税効果が高い。よって、老後資金を貯めたい人にはiDeCoが向いていると言える。たとえば子どもの結婚援助資金やリフォーム資金などを60歳以降に予定している場合、iDeCoを使って積み立てることもできる。iDeCoは60歳前に現金化できないが、その分確実に資金を貯められるとも言える。

投資信託は、高い利益を得る可能性もあれば、元本を下回る可能性もある。しかし、つみたてNISAとiDeCoは、長期運用、積立・分散投資でリスクを軽くし、さらに税制優遇があるため比較的損失が出にくい制度だ。自分に合った制度を見極めて利用するといいだろう。

文・山本浩美(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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