少額から分散投資ができ、プロに運用を任せられる投資信託は、個別銘柄への投資に比べて比較的リスクが小さく、投資初心者でも手を出しやすい商品と言われる。だがデメリットを理解したうえで購入しないと、元本割れするなど運用に失敗してしまう可能性がある。
投資信託の最大のデメリットとは?
投資信託の売買や保持には諸経費がかかり、収益を目減りさせる要因なので、これが高いことは最大のデメリットだ。運用成果投資信託における諸経費には以下の5つがある。手数料は投資信託ごとに異なるため、購入の際には十分確認する必要がある。
投資信託にかかる5つの諸経費
⑴販売手数料
⑵信託報酬(運用管理費用)
⑶監査報酬
⑷売買委託手数料
⑸信託財産留保額
1 販売手数料 1~3%が一般的
投資信託を買う時に発生する手数料で、販売元である銀行や証券会社などの販売会社に支払う。基準価額(投資信託の値段)の1~3%が一般的だ。これが無料のノーロード投信もある。
2 信託報酬 運用や資産管理の手数料
資金を運用する会社(投資信託委託会社)に支払う手数料のこと。具体的には「運用」、「資産の保管管理」、「開示資料の作成や発送」に使われる。
3 監査報酬 監査の費用は投資家持ち
法律で定められた監査にかかる費用。資金を運用する投資信託委託会社は、監査法人から監査を受ける義務があり、その費用は投資家が負担することになっている。
4 売買委託手数料 投信が株や債券を買うための費用
投資信託に組み込まれている株式や公社債などを運用(売買)するための費用。
5 信託財産留保額 解約する時にかかる
投資信託を解約する際に払う費用のこと。解約のペナルティと考えればいいだろう。支払う基準価額に一定率をかけた金額が解約代金から差し引かれる。ただし、信託財産留保額が発生するかどうかは投資信託ごとに異なる。
諸経費の高さは収益の足を引っ張る
投資信託を100万円購入する場合を考えてみよう。販売手数料と信託財産留保額が1%、信託報酬・監査報酬・売買委託手数料がそれぞれ年率1%とする。
投資信託を購入する時点で販売手数料として1%の1万円が引かれ、投資資産は99万円になる。投資信託は購入した時点で、手数料の分だけ元本割れからスタートするのだ。
仮に1年後、基準価額が103万円まで上がったとしても、収益は3万円にはならない。
信託報酬・監査報酬・売買委託手数料がそれぞれ年率1%かかるため、諸経費の合計は3万900円。よって「3万円の利益」ではなく、「900円の損失」なのだ。もし解約すれば1%の信託財産留保額がかかるため、収益はさらに減る。
諸経費の高さは、収益の足を引っ張ることがお分かりいただけるだろう。
ほかにもある投資信託3つのデメリット
投資信託には、株式やFXなど投資商品と比較した場合に不利な点が3つあるため、あらかじめ押さえておきたい。
換金まで時間がかかる(流動性が低い)
投資信託には換金に時間がかかる。一般的な投資信託では解約申込から4営業日目以降、海外の金融商品を含む投資信託では5営業日以降に換金される。
証券会社などによって異なるものの、FXであれば約定日の当日〜翌営業日、株式の場合は4営業日に換金されることを考えると、投資信託は流動性が低いと言える。
解約できない期間(クローズド期間)がある
投資信託の中には計画的な運用を目的として、一定期間(あるいは償還時まで)解約できないものがある。この期間のことをクローズド期間と呼び、投資信託を解約できない。
なおクローズド期間は投資信託特有のもので、株式やFXは市場が開いている時間であれば、売買や注文が可能である。
複雑な仕組みの商品がある
投資信託は集めたお金を運用して収益を生み出すが、運用の設計は商品ごとに異なっており、中には複雑な仕組みの商品もある。
たとえば通貨選択型投資信託は、投資対象資産(株式や債券など)以外に、選択した通貨による金利差や為替取引も使って収益を上げる商品だ。仕組みを理解していなければ、為替リスクを考慮に入れない危険な取引をする羽目になる。
「内容が分からない金融商品(投資)には手を出さない」は鉄則だ。購入を考えている投資信託の収益を上げる仕組みを理解することは、絶対に必要なことである。
同じ投信でも販売会社によって手数料が異なることも
諸経費は投資信託ごとに異なるのはもちろん、同じ投信でも販売会社によって異なるケースがある。投資信託を購入する際は、諸費用の比較検討が欠かせない。
決済から受渡日までが長いことや、商品によってクローズド期間があることも考えると、換金予定日や金額もあらかじめ決めたうえで運用したほうがいいだろう。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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