安定的な投資手法として、「つみたてNISA」は見逃せない。一定の投資金額における運用利益が非課税となる上、少額買付を長期的に繰り返すことで値動きのリスクが軽減される。対象商品がリスク分散に長けた「投資信託」に限定されていることが、その理由の一つだ。

つみたてNISAの基礎知識

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(画像=William Potter/Shutterstock.com)

●「少額」「長期」「積立」「分散投資」が特徴

NISA(少額投資非課税制度)とは個人投資を優遇する制度で、2019年1月現在は「一般NISA」と「ジュニアNISA」、「つみたてNISA」の3種類がある。つみたてNISAは「少額」「長期」「積立」「分散投資」などが特徴で、初心者でも始めやすい投資方法と言われる。

「分散投資」の特徴を持たせているのが、つみたてNISAの対象商品が「公募株式投資信託」と「上場株式投資信託」(ETF)に限られている点だ。詳しくは後述するが、投資信託は投資先や地域が異なる複数の資産に投資を行うため、トータルでの価格変動を小さくすることができ、リスクの軽減につながる。

●運用利益は非課税、毎年40万円の非課税投資枠

つみたてNISAもほかのNISAと同様、運用利益は非課税になる。つみたてNISAの場合は年間40万円の非課税投資枠が設けられており、投資した年から20年間は利益に課税されない。つまり毎年40万円を20年間投資し続ければ、20年後には800万円の資産が形成されることになる。

つみたてNISAは、毎月分配金を受け取る金融商品は対象外のため、運用益も含めた複利運用が続くことによって、利益がより大きくなることが期待できる。こうした特徴から、40代から長期的に少額を積み立て、老後の生活資金に充てようと考える人も多い。

非課税で運用されることから確定申告をする必要もなく、働き盛りの世代でも手間をかけずに続けられるのもメリットだ。

ほかのつみたてNISAの基礎知識としては、一般NISAとつみたてNISAは両方を同時に利用することができないことや、口座開設できるのは1人1口座であることなどだ。また、つみたてNISAは2037年までの制度で、投資信託の新規購入は2037年までしかできない。

リスクヘッジによる安定性が抜群

●買い付け頻度を設定し、あとは自動で

つみたてNISAでは、投資信託を買い付ける頻度を「毎月」「毎週」などと最初に設定する。その後はその頻度で買い付けが自動で行われていくので、投資のタイミングを気にする必要がない。買い付け回数が多いほど値動きによる影響を受けにくくなるため、運用の安定性が高い。

●投資資産や投資地域の分散で、大きなダメージを回避

つみたてNISAの対象商品となる「投資信託」のメリットにも注目したい。

投資信託とは、日本や海外の株式や債券などを複数組み合わせて運用する金融商品のことだ。記事の前半でも少し触れたが、複数の資産や異なる地域の資産に分散して投資したほうが、トータルでの値動きの幅は小さくなる。少し具体的に説明しよう。

たとえば国内株式を対象としたものに、「日経平均株価」や「東証株価指数」(TOPIX)、「JPX日経インデックス400」などに連動する投資成果を目指す投資信託がある。これらの投資信託も多くの株式を対象にしていることから、1社の株価の変動がその投資信託に与える影響は小さい。

国際株式を対象とした投資信託には、世界各国の株式に投資する投資信託や、先進国と新興国の両方を対象にしたものもあり、一国の経済動向が投資信託の成果に大きな影響を与えない構造になっている。

低い信託報酬、販売手数料も基本的に無料

通常、投資信託を購入・運用する上で見過ごせないのが、「信託報酬」と「販売手数料」などだ。運用益が出てもこれらが高ければ、最終的に手元に残る利益が少なくなってしまう。つみたてNISAには、この点でも強みがある。

つみたてNISAの対象となる投資信託は、信託報酬が1.5%以下となっている上、投資信託を購入するときにかかる販売手数料が無料だ(ETFを除く)。

元本割れのリスク回避のため、長期的に続けよう

積立投資は、長期間続けるほど元本割れのリスクが減ると言われる。

金融庁は過去に、資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績をまとめている。それによれば、保有期間が5年のほうが20年よりもはるかに元本割れのリスクが高い。このことからも、つみたてNISAで投資信託の積立を行う場合は、長期間続けたいところだ。

長期的な資産運用を検討し、つみたてNISAを選択肢に加えてみてはいかがだろうか。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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