「長期投資は安全だが儲けも少ない」「短期投資はリスクが高くても儲けが多い」というイメージは株式投資の特徴を正確に表すものではない。長期投資のメリットとデメリットを知れば、40代のビジネスパーソンにとって、それは資産形成の強い味方になる。

同一の株式を3年以上保有スタイルのが「長期投資」

株式,投資,長期
(画像=ImageFlow/Shutterstock.com)

株式を投資運用する期間は大きく分けて短期と長期に分類できる。こうした投資期間は厳密に定められているわけではない。短期投資とは数時間から数週間といった短期間のうちに株式を売買すること。長期投資とは数年単位、少なくとも3年以上の期間、長ければ数十年単位で同一の株式を保有する投資スタイルだと考えると分かりやすい。短期と長期の中間の期間で運用する投資手法は中期投資と呼ばれている。

今回のテーマはこのうちの「長期投資」である。株価が安い時に株式を購入して、企業が成長した何年・何十年後に株式を売却し、値上がり益を得るというイメージが一般的だろう。デイトレードやスイングトレード、ポジショントレードのように投機的意味合いの強い短期投資とは明らかに異なる。

長期投資のメリットとは? 日々の運用や手数料など

長期投資の最大の特徴は、投資家が短期的に株式売買を繰り返さず、企業の成長を長期間じっくり待ってから株式を売却することにある。四六時中変動する株価を気にかける必要がないので、仕事で多忙を極めるビジネスパーソンのライフスタイルに適した投資スタイルだといえる。

同一の企業の株式を長期間保有することによって、企業の成長による株価上昇で値上がり益を見込める点は大きなメリットだ。それに加えて、長い目で見た場合の、世界経済全体の成長に伴う株式相場の上昇も、保有する株価上昇の追い風になる。

単位株以上を保有すると受け取ることができる配当金も、投資家にとっては大きな魅力となる。配当金は年に1回または2回支払われ、配当利回りは高いところで5~7パーセント程度、3パーセント前後であれば好配当利回り銘柄と位置付けられる。2018年12月現在の銀行定期預金金利が0.010パーセントであることに比べると、好配当利回り銘柄の利回りのよさは明らかだ。

さらに、銘柄によっては株主優待という恩恵を受けることもできる。配当金とは別に、年に1回か2回、株式を保有する株主への感謝の気持ちとして贈られるのが株主優待であり、対象は自社製品・地域の名産品・クーポン券などさまざまだ。株式を3年以上保有する長期保有株主や、多くの株式を保有する株主を優遇する株主優遇策を設けている企業もある。

株式の長期投資では、通常は株価が上がり切ったと思われる局面で1度売却するだけだ。そのため、売却時の取引手数料や税金を短期投資に比べて抑えることができるのも重要なメリットだ。

長期投資のデメリットとは? 投資先の成長や十分な時間が必要

株式は長期で運用することによって、大幅な株価上昇による値上がり益を期待できる。ただし、これは株式の発行元企業の成長が前提となったシナリオだ。株式購入時の見込みに反して企業の業績が伸びなかったり、最悪の場合は倒産してしまったり、株式相場が大暴落するような想定外の世界の突発事件に直面することもある。株式を長期間保有するということは、こうした不測のリスクを負う可能性もあることを忘れてはならない。

長期投資であるため、十分な利益を上げるには、何年も、時には何十年もの時間がかかるのもデメリットに挙げられる。企業の成長は数週間や数カ月で達成されるものではない。短期での小幅な株価上昇に嬉々として株式を売却するのではなく、腰を据えて企業の成長と本質的な株価の上昇を待つ忍耐力が必要になる。

株式の長期投資は「分散投資」と「ファンダメンタル分析」を心がける

メリット・デメリットのある株式の長期投資で最終的に利益を上げるには、リスクを低減することが第一だ。投資の基本である「分散投資」は長期投資でも例外ではない。同一の株式を長期保有することで発生する株価変動リスクに対しては、銘柄を数種類保有することで資産の分散を図りたい。最初に株式を一括購入するだけでなく、時期をずらして、または株価が低迷する際に買い増しをすることもゆくゆくは利益を生み出すことにつながる。時間の分散もまた分散投資には重要だ。

もう一つ怠ってはならないのが企業の業績を予想するために行なう「ファンダメンタル分析」だ。長期投資で利益を上げるには企業の将来的な成長が欠かせない。企業の成長性を見積もるには、企業の業績や財政状態を分析して投資先としてふさわしいかを判断する必要がある。株式の長期投資においては、ファンダメンタル分析は購入時だけに関わるものではない。長期間株式を保有する間に、変化し続ける企業の財務状態や業界を取り巻く環境を随時分析することが求められる。それによって、企業の実力に対して株価が大幅に低いと判断されれば買い増しをする、または企業の適正株価よりはるかに高い株価を付けていると判断できれば売却するといった臨機応変な対応も、株式の長期投資には欠かせない。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

【関連記事 MONEY TIMES】
ネット証券は情報の宝庫?日経新聞から四季報まですべて閲覧可!?(PR)
40代でやっておきたい「投資・運用」3つのステップ
国内ソーシャルレンディング4選 初心者でもできる?利回り以外の着目点
「月1,000円から」「おつりで投資」スマホで投資できるアプリ4選
これならできる!「1万円」でディズニーランドの株主になろう