興味があってもリスクが心配で株式投資になかなか手が出せないならば、株式投資の潜在的リスクをあらかじめ知ることから始めてみてはどうだろう。リスクを回避できる、または損失を最小限に抑えられるとなれば、株式投資へのハードルが低くなるはずだ。
株式投資のリスク1――株価下落のリスク
「株価下落のリスク」とは文字通り、株価はさまざまな要因で下落する可能性があるということだ。ここでは保有する株価が下落するパターンとそれに対する対策を紹介する。
企業の成長性が鈍化する
株式購入にあたっては、誰もが鉄則通り、企業のファンダメンタル分析を行って、業績の伸びや成長性を判断しているはずだ。それが将来の株価上昇につながるからだ。それでも、相場環境に大きな問題は見られないのに、いったん下がった株価に回復の兆しが見えないこともある。原因として考えられるのは、企業の業績が悪化している、業界のニーズに合わなくなっているといったことから、企業の成長が鈍化している場合だ。
長期保有を前提に株式を保有しているといっても、下がった株価は何年後・何十年後には上昇しているはずと楽観的に考えて塩漬けにするべきではないだろう。一時的な株価下落でない場合は、企業の財務内容や業績見通し、業界の動向などを再度詳細にわたって分析してみる必要がある。その結果、企業の成長性に疑問符が付けば、思い切って保有する株式を売却して損切りしたほうが、損失の拡大を防ぐことができる。
今現在株価は低迷しているが、事業改革や業務改善によって業績が回復すると見込まれるなら、安値を逆手にとって買い増しをする、または株価が上昇基調になるまで塩漬けしておくのもよいだろう。
株価大暴落につながる突発的事象や経済問題
企業の業績が堅調であっても、世界で情勢不安が起こったり株式相場が大暴落したりすれば、それに呼応して企業の株価も下落を余儀なくされる。
2008年のリーマンショックでは、米国リーマン・ブラザーズの破綻がきっかけとなって世界同時不況を招いている。2011年に発生した東日本大震災発生直後の福島原発事故後には東証1部上場銘柄の97パーセントが値下がりして、日経平均の下落率は10.55パーセントを記録した。記憶に新しいところで、2018年12月25日には、米中の通商問題や米政府機関の一部閉鎖などに対する投資家心理の悪化で米ダウが1,000ドル超下げた。これが引き金となり、1年8カ月ぶりに日経平均は2万円を割り込んだ。
突発的な重大事象の発生や世界経済の悪化は株式相場全体に影響を及ぼすことが多いため、企業の業績に関わらず株価は下落する。このような場合は、状況が改善し相場が回復するまで静観する、または安値を狙って買い増しをするのも一考だ。
株式投資のリスク2――企業の倒産リスク
投資した企業が、さまざまな理由によって、想定外の著しい業績悪化で倒産することもある。株式会社が倒産した場合、保有していた株式に価値はなくなってしまう。株主には「残余財産を受ける権利」があるため、投資した資金を一部回収できる可能性もあるが、企業の財務状態によっては、最悪の場合、全く資金が戻らないケースも考えられる。
こうした最悪のシナリオも念頭に置いて、株式購入前も購入後も、企業の業績や財務状態を厳しくチェックして、安定した事業運営ができていることを確認するべきだろう。
株式投資のリスク③――株式の流動性リスク
株式売買は売り注文と買い注文の需要と供給が一致して初めて取引が成立する。活発に取引が行われている銘柄であれば希望する価格での取引も可能だ。しかし、流動性が低い、つまり取引が少ない銘柄の場合、保有していた株式を指値で売却したいと思っても、売り注文に見合う買い注文が入っていなければ約定しない。どうしても売却する必要があれば成行注文を出すしかない。このような場合、予想外に安い株価で約定し、売却損が出る可能性も否定できないのだ。
株式投資では、株式を購入すれば遅かれ早かれ売却することになる。その時に希望する価格でスムーズに取引できるように、安定的に取引量がある銘柄を選んでおくほうが無難だ。
別の流動性リスクとしては、一時的に流動性が低くなって取引が成立しないケースも考えられる。深刻な業績悪化などで売り注文が殺到し、買い手の不足により売りたくても売れないような場合だ。こうなると、売却するためには時間を空けて注文し直すか日を改めるしか手はない。一時的とはいえ、低い流動性によって取引できない状況に陥らないためにも、定期的に企業の財務状態などを確認しておきたいものだ。
株式投資のリスクを低減するには企業分析が必須
株式投資が絶対の安全性を保証された商品でない以上、株式購入当初からある程度のリスクを想定しておく必要がある。銘柄の選択にあたっては企業の業績や財務状態を適切に分析して成長性を見極めること、そして株式購入後も定期的に企業分析を行うことは重要なプロセスだ。さらに、日常的に経済情勢に注意を払い、実際に株価の暴落が発生した際に適切な対応がとれるよう、心の準備をしておくことも大切だ。
文・MONEY TIMES 編集部/MONEY TIMES
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