NISA(少額投資非課税制度)における非課税メリットは、どの金融機関で取引しても同じように享受できる。しかし、NISA口座での取引手数料は金融機関によって異なる。ここではネット証券6社を比較する。
NISA口座で発生する手数料とは?
NISA口座は、新たに取得した上場株式や投資信託などの配当金・分配金・譲渡益が年間120万円、期間にして最長5年間非課税となる制度だ。
ただし、あくまでも税負担が軽減されるだけであって、金融商品や銘柄によっては手数料などのコストがかかってくる。
例えば、株式の取引においては、買付時と売却時に手数料がかかる。投資信託の取引においては銘柄によって、購入時に購入時手数料、保有時に信託報酬、売却時に信託財産留保額といった各種手数料が必要になるものもある。
しかし、金融機関によっては、NISA口座であれば手数料の一部を無料にするなどのサービスを設けているところが多くある。特にネット証券では国内株式に係る手数料を無料としているところが多く、それにプラスして各社独自のサービスを付帯している。
SBI証券……国内株式の売買手数料と外国ETF(米国・中国・韓国)の買付手数料が無料
SBI証券のNISA対象商品は「国内株式」、「投資信託」、「外国株式」となっている。
「国内株式」は、買付・売却ともに手数料は0円である。しかも、“現行制度下においては恒久無料”をうたっており、今後も手数料が上がる心配はない。なお、国内株式には現物株式、ETF、ETN、REITが含まれており、多くの商品が手数料無料の恩恵を受けられる。
「投資信託」は、取引に応じて所定の手数料が必要となる。ただし、SBI証券の投資信託ラインナップは豊富で、中には買付手数料無料のノーロード投信も多く含まれている。
「外国株式」は、海外ETF(米国・中国・韓国)の買付手数料が無料となる(海外ETFの売却手数料は対象外)。こちらも“現行制度下において恒久的に無料”だ。通常の外国株式取引(海外ETFを除く)には、取引に応じた所定の手数料が適用される。
楽天証券……国内株式の売買手数料と海外ETF(米国・中国・シンガポール)の買付手数料が無料
楽天証券のNISA対象商品は「国内株式」、「投資信託」、「外国株式」となっている。
「国内株式」は、買付・売却ともに手数料は0円。楽天証券も“国内株式(売買)ずーっと0円”を掲げており、今後の手数料値上げの心配はない。
「投資信託」は、SBI証券と同様、取引や銘柄によって所定の手数料が必要となる。手数料が気になる場合は、ノーロード投信などを探してみるのがよいだろう。
「外国株式」は、海外ETF(米国・中国・シンガポール)に限り、買付手数料が全額キャッシュバックされる(売却手数料はキャッシュバック対象外)。その他、米国株式、中国株式、アセアン株式などは所定の手数料が必要となる。
マネックス証券……国内株式の売買手数料と投信つみたての購入手数料、外国株式の買付時国内取引手数料が無料
マネックス証券のNISA対象商品は「国内株式」、「投資信託」、「外国株式」となっている。
「国内株式」は、買付・売却ともに“恒久的に0円”である。国内株式には現物株式・ETF・ETN・REITが含まれる。
「投資信託」は、銘柄により所定の手数料が必要となるが、「投信つみたて」の場合に限り、購入時の申込手数料が全額キャッシュバックされる仕組みだ。
「外国株式」の米国株・中国株は、課税口座と同様に所定の手数料が必要になる。ただし、買付時の国内取引手数料については、恒久的に全額キャッシュバックされる。
松井証券……上場株式の売買手数料と投資信託の購入時手数料が無料
松井証券のNISA対象商品は「上場株式」、「投資信託」となっている。
「上場株式」は、買付・売却ともに“現行制度が続く限り”0円である(インターネット経由の場合)。
「投資信託」は、購入時手数料が全額ポイント還元されるため、実質無料だ。ただし、ブルベア型投資信託については対象外となる。
カブドットコム証券……国内株式の売買手数料が無料で課税口座にはNISA割適用
カブドットコム証券のNISA対象商品は「国内株式」、「投資信託」となっている。
「国内株式」は、取引手数料がすべて0円。さらに、通常(特定口座・一般口座)の現物株式の取引手数料が最大5%割引となるNISA割が適用されるのが魅力だ。NISA割は他の割引とも併用可能だ。
「投資信託」は、銘柄により所定の手数料が必要となる。
GMOクリック証券……上場株式・投資信託ともに売買手数料が無料
GMOクリック証券のNISA対象商品は「上場株式」、「投資信託」となっている。
GMOクリック証券では、「上場株式」、「投資信託」ともに、NISA口座の取引であれば、買付時も売却時も手数料が無料だ。手数料だけ見ると、最もメリットの大きいネット証券といえる。
NISA口座の開設は何を基準にするか?
NISA口座は1人につき1口座(1金融機関)しか開設できない。今回はNISA口座における手数料を比較したが、NISA口座を開設する基準は手数料だけではない。
金融機関によって、取扱商品数に差もあれば、使い勝手のよさも人それぞれ違う。手数料だけで単純に比較するのではなく、ほかの特徴もよく見て総合的に判断して決めるとよいだろう。
また、NISA口座は年単位で金融機関の変更が可能だ。1年のうちに1度でも取引すると、その年は変更ができないため、金融機関の変更を検討しているのであれば、早めに計画を立てておくとよい。
文・春美 悠(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES
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