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クレジットカードでは日本で唯一の国際ブランドとして知られる「JCB」。ここでは、ほかのカードブランドとの違いとそのメリット・デメリット、そして、JCB自体が発行するカード独自の特典とポイントサービス、代表的な提携カードについて詳細に紹介する。
1961年に日本初の汎用型クレジットカードを発行
JCB(株式会社ジェーシービー)は、1961年に株式会社日本クレジットビューローとして設立。その英語表記の頭文字をとり「JCB」と略称された。同年に日本初の汎用型クレジットカード(店舗を限定せず幅広く使えるクレジットカード)の発行を開始し、約10年後の1972年には会員数100万人を突破。1981年にはクレジットカードの国際ブランドとして海外展開を開始する。
国際ブランドとは、広く海外でも使えるカードブランドのことで、VisaやMasterCard、アメックス(アメリカン・エキスプレス)などがそれにあたる。JCBは日本唯一の国際ブランドであり、2017年時点でJCBブランドのカードを持つ会員の数は1億1,700万、年間取扱高は29兆8,532億円、カード発行国は23の国・地域におよび、加盟店数は約3,000万店となっている。
とは言え、国際ブランドの比較では全世界のクレジット決済額の1.15%のシェアしかなく、Visaが54.06%を占めることを考えると、その取扱額はかなり小さい(2016年度・THE NILSON REPORT調べ)。加盟店については日本国内では多いものの、海外ではほかの国際ブランドに比べて少なく、カードを使えず不便なこともある。
それでも、日本唯一の国際ブランドであるJCBには、日本人(および日本在住者)が使ううえで便利なサービスが充実しているので、VisaブランドやMasterCardブランドのクレジットカードとの上手な併用をすすめたい。
海外観光の拠点として便利なJCBプラザ
JCBブランドのついたクレジットカードの大きなメリットとして挙げられるのが、日本人がよく観光で訪れる世界32の主要都市に設置されたJCBプラザ、そして、世界9都市に設置されたJCBプラザ ラウンジが利用できることだ。主要な国を以下に挙げておく。
・ハワイ・ホノルル、サイパン
・ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク
・バンクーバー
・パリ、ロンドン、ローマ、ウィーン
・上海、北京、ソウル、台北
・フィリピン・セブ、インドネシア・バリ
JCBプラザでは、現地のJCB加盟店や観光に関する案内を日本語で受けられるほか、ホテルやレストラン、オプショナルツアー、各種チケットの予約、カード紛失・盗難時のサポートも受けられる。プラザ内ではWi-Fiの利用も無料となる。
JCBプラザ ラウンジのほうでは上記のサービスに加え、ネット閲覧とプリントアウトの無料サービス、日本語の新聞・雑誌や現地ガイドブック・情報誌の閲覧、ドリンクサービス、マッサージ機の利用、レンタル傘サービス、当日中の荷物一時預かりサービスなども受けられる。いずれも観光の拠点として便利なサービスといえるだろう。
よく「海外では使える店舗が少ない」といわれるJCBブランドだが、日本人がよく観光に行く都市に関しては、このJCBプラザ/プラザ ラウンジの利用というメリットが大きいため、VisaブランドやMasterCardブランドのカードを併せて携行することで、海外で非常に便利につかえる1枚となってくれる。
このほか、海外旅行で便利なサービスとして、海外レンタカーサービス、空港宅配優待サービス、空港免税店割引サービス、海外Wi-Fi優待、海外旅行情報サイト「たびらば」、海外お買い物保険、海外旅行用スマホアプリなどが提供されている。
年間利用額が大きいほどにお得に貯まるポイントサービス
JCBのポイントサービスについても触れておこう。JCBブランドと提携する他社発行のカードではそれぞれのカード会社のポイントサービスが適用されるが、JCB自体が発行するカードでクレジット支払いをすると、Oki DokiポイントというJCB独自のポイントが1,000円の利用ごとに1ポイント貯まることになる。
貯めたポイントは商品と交換できるほか、Amazonで使ったり、百貨店やスーパーの商品券に交換したり、あるいは他社マイルやポイント、電子マネーなどへ移行できたりする。また、2019年1月29日からはネットショッピングの支払いへの充当も可能となる。
移行可能なマイル・ポイントの選択肢は、他社クレジットカードのポイントサービスと比べて非常に多く、たとえばマイルならANAとJALの両方が選べるほか、デルタ航空のマイルも選べる。また、移行可能な主要他社ポイントは以下の通り。
・Tポイント
・nanacoポイント
・WAONポイント
・dポイント
・楽天スーパーポイント
・WALLETポイント
・ビックポイント
電子マネーには楽天Edy、スターバックスカードなどがある。
交換レートは交換先によって異なるが、たとえば、Tポイント、WAONポイント、dポイント、楽天スーパーポイント、WALLETポイントの場合、Oki Dokiポイント1ポイントを4円相当ポイント(ポイント還元率0.4%)に交換できる。nanacoポイントは5円相当ポイント(ポイント還元率0.5%)に交換できる。
さらに、ポイント還元率はさほど高いとはいえないが、年間のクレジット利用額に応じて翌年度にポイントアップする「JCBスターメンバーズ」という仕組みがあり、たとえば、JCB一般カードでは年間30万円以上の利用で10%アップ、50万円以上の利用で20%アップ、100万円以上の利用で50%アップとなる。
JCB最高クラスのカードは「JCBザ・クラス」
JCB自体が発行する主なカードには以下のようなものがある。
・JCB一般カード(年会費1,250円・税別)
・JCBゴールド(年会費1万円・税別)
・JCBゴールド ザ プレミア(年会費1万5,000円・税別、ゴールド保有者で一定の条件を満たした人が招待される)
・JCBプラチナ(年会費2万5,000円・税別)
・JCBザ・クラス(公式サイトに年会費の記載なし)
カードのステータスは後にいくほど高くなり、JCBザ・クラスはいわゆるブラックカードにあたるものと考えていいだろう。
JCB一般カードは初年度年会費無料で、年間クレジット利用額が50万円(税込)以上で翌年も無料となるので、実質的に年会費無料カードと考えていい。これには最高3,000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯し、さらにワンランク上のJCBゴールドになると、最高1億円の海外旅行傷害保険や空港ラウンジ無料サービスが付帯する。
さらに、JCBゴールド ザ プレミアでは、世界約140の国と地域、約500都市において約1,200ヵ所の空港ラウンジを無料利用できる「プライオリティ・パス」などのサービスが付帯。なお、年間100万円(税込)以上のクレジット利用でJCBゴールド ザ プレミアの年会費はJCBゴールドと同じ1万円(税別)となる。
それらのサービスに加え、JCBプラチナとJCBザ・クラスではコンシェルジュデスクや、有名レストランでのコース代金1名分無料サービスなどが利用可能。さらに後者では年に1度、好きな商品を選んでJCBからプレゼントしてもらう特典もある。
年会費無料で作れるJCBブランドカードも
JCBプラザなどのサービスを利用したいけれど、無条件で年会費無料になるカードやポイント還元率がより高いカードがいいという人は、JCBブランドのついた他社発行のカードを選ぶといいだろう。
たとえば、年会費無料で作れるYahoo! JAPANカード(ヤフーカード)は国際ブランドにVisaやMasterCardのほかJCBも選べて、基本となるポイント還元率は1%。Yahoo!ショッピングやLOHACOの利用ではポイント3倍となるので、ネットショッピングをよく利用する人ならとてもお得に使えるカードだ。
一方、ネットショッピングで楽天市場をよく使うなら、やはり年会費無料で作れて国際ブランドにVisaやMasterCard、アメックスのほかJCBを選べる楽天カードがいいだろう。JCBはディズニーリゾートのオフィシャルスポンサーであり、JCB自体の発行するカードではディズニーデザインが選べるが、実は楽天カードでも国際ブランドをJCBにするとディズニーデザインが選べる。
楽天カードの基本となるポイント還元率は1%で、楽天市場での利用では最大3倍になるので、楽天市場を使う人にはメリットの多いカードといえる。
同じくディズニーデザインを選べるのが、やはり年会費無料で作れるイオンカードだ。このカードは国際ブランドにVisaやMasterCardも選べるが、JCBにするとディズニーデザインのカードを作ることができる。
基本となるポイント還元率は0.5%とさほど高くはないが、イオングループの対象店舗ではポイント2倍となり、また、毎月20・30日の「お客さま感謝デー」には対象店舗で買い物代金が5%オフになる特典も付帯するので、イオングループの店舗をよく使う人ならとても得するカードとなっている。
日本唯一の国際ブランドのメリットを上手に活用する
繰り返しになるが、JCBカードは海外ではJCBプラザなどを使える便利さの一方で、海外の加盟店が比較的少ないという不便さもある。しかし、VisaやMasterCardブランドのクレジットカードでその不便さを補えば、非常に使い勝手のいいカードとなってくれる。
そこで、現在VisaやMasterCardブランドのカードしか持たず、JCBカードをまだ持っていないなら、ぜひ新たにJCBブランドのカードを取得し、日本唯一の国際ブランドとして日本人にとっての使い勝手に配慮されたサービスや特典を活用してみてほしい。
文・モリソウイチロウ(ライター)/MONEY TIMES
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