「一通りの仕事は覚えたが、優秀な人と比べるといまいち突き抜けられない」

このような壁にぶつかったことがある人もいるのではないでしょうか。目の前にある仕事を一生懸命にこなしていくうちに、仕事は徐々に覚えていくことができます。しかし、もう一歩上へ突き抜けるには何かが足りない、と考えることもあるでしょう。そういう人におすすめしたいのが、仕事の「前提」をゼロベースで考え直す「ダブルループ学習」という思考法です。

シングルループ学習はPDCAサイクル

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(提供=J.ScoreStyle)

組織心理学の分野において「シングルループ学習」と「ダブルループ学習」という考え方があります。これは組織の学習の仕方を概念化した言葉なのですが、個人の仕事や生活の生産性を高めるためにも大いに役立つ考え方です。特に、ダブルループ学習を身につけることで、「ひたすら頑張る」では突破しきれない壁を打ち破るきっかけを見つけることができます。

シングルループ学習とは、与えられた条件の中で結果の改善を図るための学習ループのことを指しています。

例えば、マーケティング部の人が自社イベントの参加人数を増やすケースを考えてみます。前回のイベント参加人数が100人だったとすると、集客メールの配信数やターゲット、配信日時や回数を調整することで、次は120人に増やせるかもしれません。

このように、一定の枠組みの中で「行動→結果→行動→結果」を繰り返すのがシングルループ学習です。いわゆる「PDCAサイクル」は、シングルループ学習に近い考え方であると言えるでしょう。

シングルループ学習ではスランプに陥りやすい

シングルループ学習の問題点は、壁にぶつかりやすい点です。先ほどのイベント集客の例で考えると、イベントに集められる人数は150人までなら可能かもしれませんが、それ以上となるとそもそもリストの数が少ないとか、会場のキャパシティや費用に限りがあるとか、何かしら限界があるものではないでしょうか。

それに、イベント集客数を増やしたところで、マーケティング部のKPIは達成できるかもしれませんが、営業がリーチしきれずに売上げにはつながらない可能性もあります。

このように、シングルループ学習で設定されている条件自体に何かしらの問題がある場合、PDCAサイクルを繰り返してもあまり意味がないのです。

ダブルループ学習で問い直す前提

そこで、ダブルループ学習の出番となります。「そもそも何のために集客するのか」「集客方法は他にないのか」「集客する以外にすべきことはないのか」など、条件や目標自体を問い直すのがダブルループ学習の神髄です。

つまり、ただ「行動→結果→行動→結果」というループにはまるのではなく、行動以前にある前提にメスを入れるわけです。「行動→結果→前提を問い直す→行動→結果→前提を問い直す」というのが、ダブルループ学習となります。

前提を問い直すことで、大きく生産性を伸ばせる可能性が出てきます。小さな「カイゼン」を積み重ねるのも素晴らしいことなのですが、そもそもの前提を問い直すことでブレイクスルーできると成長が早まります。

個人レベルで考えても、多忙な日常の中ではシングルループ学習のジレンマにはまってしまいがちです。週に1度は「そもそも、何でこんなこと(タスクや英語学習など)をしているのか」「目標は何か」「その目標は正しいのか」などと、前提を自分に問いかけてみてください。壁を越えるヒントが、その中に必ず隠されています。

ダブルループを取り入れ、自分の新たなポテンシャルを見出そう

私たちが自然と実施している学習法は多くの場合、シングルループ学習であると言えます。物事の上達には適していますが、ある程度まで行くと個人の思い込みによって上達が妨げられ、スランプに陥る可能性があります。
ダブルループ学習の概念を仕事や勉強に取り入れると、思い込みの枠を取り外して急激に力を伸ばす可能性を手に入れることができます。

まず、今やっている仕事や勉強、趣味のうち「能力の限界」「自分には才能がない」と感じていることにダブルループ学習を取り入れてみてください。目標を問い直すことで、単なる自己改善にとどまらない新たなポテンシャルを見出すことができるはずです。(提供:J.Score Style

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