私たちが贈与されるものは、株や土地のように評価額が定まったものばかりとは限りません。書画や骨とう品のように、人によって価値観が異なるものを贈与されたとき、評価額をどうやって決めたらよいのでしょうか。具体的に解説します。

書画・骨とう品を贈与されたらすべきことは?

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(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

所得税法では、書画・骨とう品で1個の価格が30万円を超える譲渡所得には課税されることになっています。ただ、株式のように明確な市場価格があるわけではないので、書画・骨とう品の価格をどのような基準で決めたら適正なのか迷うところです。国税庁の「法令解釈通達」では、書画・骨とう品の評価について以下のように定めています。

1.書画骨とう品で書画骨とう品の販売業者が有するものの価額は、たな卸商品等の評価の定めによって評価する
2.1に掲げる書画骨とう品以外の書画骨とう品の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する

書画・骨とう品を贈与されたら、まず品物の価値を確認するために、2で定められている「売買実例価額」「精通者意見価格」を調べる必要があります。

売買実例価額はどのように調べるのか

では、売買実例価額はどのように調べたらよいのでしょうか。「販売業者以外が所有する場合」の評価額は次のような調べ方があります。

  1. 購入価格を調べる
  2. 同様の物が売られていないか調べる
  3. 買い取りを行った会社の、買い取り価格を調べる
  4. 古美術商等に依頼して、鑑定価格を算出してもらう

まず、購入したときの価格を示す書類がないか探すことが先決です。もしない場合は、同じような品物が売られていないかを調べます。今はインターネットで調べることができるので、調査してみましょう。販売価格だけでなく、買い取り価格やオークション落札価格なども参考になります。それでもわからなかった場合は、古美術商などに依頼して鑑定価格を算出してもらうことになるでしょう。

古美術商の店頭に持ち込めば、買い取り価格を教えてくれるはずです。ただし、鑑定人というわけではないので、店によって買い取り価格が異なる可能性があります。したがって、必ず複数の店に持ち込んで相場を確認することが大事です。

精通者意見価格とは何か

もう一つの基準である精通者意見価格とは、専門的な知見がなければ評価が困難な場合に、各種の専門家による鑑定結果によって算出された財産価格のことです。書画・骨とう品では、美術鑑定人などの意見をもとに算出された価格が精通者意見価格となります。専門家に鑑定してもらうには、当然鑑定料がかかりますが、素人が判断して安いと思った物が意外な高額という場合もあるので、鑑定は必要です。先祖代々受け継いでいる物などは、念のため鑑定してもらった方が無難でしょう。

価格によっては「家庭用財産」になる場合も

テレビではよく書画・骨とう品を鑑定する番組がありますが、書画・骨とう品だからといって、すべてが個別の財産になるわけではありません。その分野では、模倣品が含まれている場合もありますので、鑑定額が低ければ個別の財産として申告する必要は生じません。精通者意見価格で5万円以下と評価された場合は、書画・骨とう品でも「家庭用財産の一単位」になります。

基準額以下の家財などはすべてまとめて、「家庭用財産一式〇〇円」というように一括して申告すればよいことになっています。この世には、現金、株、不動産といったオーソドックスな資産以外にも、さまざまな価値を有する物が存在します。書画・骨とう品のように価値に気付かずに贈与されたまま放置してしまうこともあり得ますので、譲り受けたら早めに売買実例価額などを調べ、申告漏れにならないよう注意しましょう。 (提供:相続MEMO


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