(本記事は、沖本るり子氏の著書『期待以上に人を動かす伝え方』=かんき出版、2018年10月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
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年上の部下にお願いごとをしたい
組織での立ち位置は自分が上でも、年上なのですから敬う姿勢が必要です。お願いごとをするときは、「この業務の部分に関して自分はとっても苦手なので、あなたに教えをこいたい」という姿勢を示しましょう。教えをこうのは下から目線です。そこまで自分を立ててくれるのなら……、と相手は悪い気はしなく、動いてくれるでしょう。
<NG>
「この資料作成、お願いできますでしょうか」
<OK>
「鈴木さんへのお願いごとは、この資料作成です。経験豊富な鈴木さんにしか頼めないんです。締切は来週の月曜、夕方4時までです。ということで、この資料作成をよろしくお願いします」
※相手を立てることで敬う姿勢を示そう
締め切りを守らない人に、守ってもらいたい
相手を非難したり責めたりするのではなく、解決策を相談してみましょう。ただし、本人の行動についての相談ではありません。誰が悪いという話にはせず、「業務の中で困っているので、頼れるあなたに相談する」という形で話を持ちかけます。
<NG>
「伊達さんがいつも締め切り後に提出してくるので、私の仕事の流れが滞っちゃって困るんですよね。ちゃんと締切前には提出してくださいよ」
【POINT】
非難するだけでは相手の気持ちも自分の気持ちもマイナスになるだけ
<OK>
「いつも資料提出、ありがとうございます。伊達さんに、毎月の精算書類の提出について、相談したいのです。実は、締切が2日早まったんです。どうやったら締め切りまでに全員の精算書類をまとめられるか考えていて、伊達さんのお知恵を拝借したくて。どうしたらいいと思いますか?」
部下にすぐに問題報告をしてほしい
報告の重要性を伝えましょう。報告をすることで、どうなるかを部下に想像させることも必要です。「そんなことは言わなくてもわかるだろう」と思っていても、報告をすぐにしないのは、わかっていないからです。また、報告をすることが部下のプラスになる、ということも伝えましょう。
<NG>
「問題が起きたら、すぐに報告してくれよ。あとから取り返しのつかない事態に発展したらどうするんだ。責任とらされるのはこっちなんだから」
【POINT】
自分のデメリットしか伝えていないので、相手の気持ちは動かない
<OK>
「問題が起きたら、すぐに報告してほしいんだ。すぐに報告してくれることによって、一緒に最小限のミスに抑えることができるし、そのほうが、黒木くん自身も安心だよね。ゆとりがあるときは、自分なりの解決策もあわせて報告してくれると助かります。問題が起こったらすぐ報告するよう、協力してくださいね」
【POINT】
相手にとってのメリットを伝えると、相手の気持ちがプラスに動く
部下への苦情を本人に伝えたい
直接の苦情ではなく、間接的に伝えられる苦情は気持ちがより一層マイナスになります。そのため、本人に伝えるときは、個人攻撃にならないように気を付けましょう。まずはねぎらいや感謝を伝えたうえで、苦情を「協力」に言い換え、頼りにしていることを伝えましょう。
<NG>
「加藤さん、会議で総務部から苦情が出たよ。資料の数がいつも余分で無駄になっているんだって?必要部数以上のコピーをとっているというじゃないか。経費節減の会議なのにみんなの前で恥をかいたよ。手抜きせず、次からは必要部数の確認をしてほしい」
<OK>
「加藤さんの作成した資料、助かったよ。ありがとう。ところで、協力してほしいお願いがあるんだけど。次回からコピーは、余分にとらないでほしいんだ。総務部から、協力要請があったんだよね。なぜなら、経費節減と情報漏えい防止という観点のため。加藤さんに任せると、先頭に立って、他の人にも協力をしてもらえるよね。コピーは、余分にとらないようにすることに協力してね」
沖本るり子
1分トークコンサルタント。「5分会議」™ を活用し、人と組織を育てる専門家。株式会社CHEERFUL代表取締役。
広島生まれ。江崎グリコ株式会社等を経て、管財商社に入社。業務改善・業務改革のプロジェクトマネジメントを行い、30代前半で取締役になる。リーダーとして組織をまとめながら経営に関わる中で、部下との行き違いや他部門との衝突などに頭を悩ませる。やがて会社は倒産。「つぶれない会社づくりに必要なのは、円滑なコミュニケーションだ」と痛感し、「聞き手が内容をつかみやすい話し方」「聞き手が行動に移しやすい伝え方」を研究する。
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