株式投資で、買いたい銘柄があっても資産が足らず購入できなかったという経験はないだろうか。実は購入資金が足らなくても、ネット証券などでミニ株という制度を利用することで購入できる。ミニ株とは、どのような制度なのだろうか。

ミニ株=単元株以下でも購入できる制度

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(画像=CHALERMPHON SRISANG/Shutterstock.com)

現在の日本の株式市場では、最低売買単位が100株というのが一般的だ。ということは1株1,000円の銘柄の場合、最低でも10万円の資金が必要になる。

中には1株1万円を超える銘柄もある。そのような株を購入するには100万円が必要だ。

資金が潤沢にある投資家は問題ないが、少額で株式投資をしている人には株価の高い銘柄を購入するのはハードルが高い。そんなときに役立つのがミニ株だ。

ミニ株は、本来100株単位で購入する株式を、100株以下の単位でも購入できるようにした制度だ。ただしミニ株は証券会社独自の制度であるため、導入していないネット証券もある。

トヨタ自動車 <7203> を例に挙げて説明しよう。トヨタ自動車の2019年2月13日の終値は6,625円だった。本来購入するには最低66万2,500円が必要だ。

しかしミニ株制度を利用すれば10株単位や証券会社によっては1株単位から購入できる。トヨタ自動車10株を購入する場合は6万6,250円、1株なら6,625円あれば済む。

ミニ株制度を利用することによって、本来多額の購入資金が必要な銘柄が少額で購入できるのだ。

ミニ株のメリットとデメリット

ミニ株のメリット――少額資金、分散投資

先ほど説明した通り、ミニ株の最大のメリットは少額の資金で株を購入できることだ。売買単位100株では購入できなかった銘柄が、少額の資金で購入できる。

分散投資を行ないやすいのもメリットだ。ミニ株で様々な銘柄に投資することで、資金が少なくても分散投資ができる。

最低購入金額が高い「値がさ株」を少額で購入できるのもミニ株のメリットだ。キーエンス <6861> やファーストリテイリング <9983> などの銘柄も、ミニ株を利用すれば数万円程度で購入できる。

ミニ株のデメリット――手数料が割高、タイミング制限

ミニ株にはデメリットもある。その一つは手数料が割高になりやすいことだ。ミニ株は少額で購入できる分、手数料の比率が高くなりやすい。ネット証券によって手数料は違うので、公式サイトでしっかりと確認したい。

売買のタイミングが制限されるのもデメリットだ。証券会社によって違いがあるが、注文の翌日に約定するなど、通常の株式取引と違い取引時間中であればいつでも約定するわけではない。

その他にも100株の単元未満なため、株主優待が受けられない、議決権がないなどのデメリットもある。

ミニ株取引ができるネット証券3選

それでは、ミニ株制度を導入しているネット証券を3社紹介しよう。

SBI証券

SBI証券では、単元未満株(S株)という名称でミニ株を取り扱っている。100株単位の銘柄も1株単位で購入できるのが特徴だ。

ミニ株の注文は24時間いつでも可能だが、市場への発注は前場始値と後場始値の1日2回だ。手数料は、ミニ株の約定代金×0.5%(税抜)、最低手数料は50円(税抜)となっている。

取り扱い銘柄は、東証(1部・2部・マザーズ・JASDAQ)上場銘柄で、名証、福証、札証の銘柄は売却のみ可能となっている。

売買単位 1株単位
注文受付時間 24時間
市場への注文 1日2回
(前場始値、後場始値)
手数料 約定代金×0.5%(税抜)
最低手数料は50円(税抜)
取り扱い銘柄 東証上場銘柄
取り扱い銘柄(売却のみ)  名証、福証、札証上場銘柄

マネックス証券

マネックス証券では、ワン株(単元未満株)の名称でミニ株を取り扱っている。こちらも100株単位の銘柄が1株から購入できる。

注文時間は17時から翌日11時30分までであり、1日1回後場始値で約定する。手数料は約定代金の0.5%(税抜)、最低手数料は48円(税抜)だ。

取り扱い銘柄は東証、名証の上場銘柄で、福証、札証の銘柄は売却のみ可能となっている。

売買単位 1株単位
注文受付時間 17時から翌日11時30分まで
市場への注文 1日1回
(後場始値)
手数料 約定代金×0.5%(税抜)
最低手数料は48円(税抜)
取り扱い銘柄 東証、名証上場銘柄
取り扱い銘柄(売却のみ)  福証、札証上場銘柄

カブドットコム証券

カブドットコム証券では、プチ株の名称でミニ株を取り扱っている。100株単位の銘柄が1株から売買できるのは上記証券会社と同じだ。

注文入力は24時間可能で、市場への発注は前場始値と後場始値の1日2回。手数料は約定代金の0.5%(税抜)、最低手数料は48円(税抜)である。

取り扱い銘柄は東証、名証の上場銘柄で、福証、札証の上場銘柄は売却のみ可能だ。

売買単位 1株単位
注文受付時間 24時間
市場への注文 1日2回
(前場始値、後場始値)
手数料 約定代金×0.5%(税抜)
最低手数料は48円(税抜)
取り扱い銘柄 東証、名証上場銘柄
取り扱い銘柄(売却のみ) 福証、札証上場銘柄

ミニ株制度を利用して様々な種類の銘柄を購入するもよし、コツコツと少しずつ購入し、株主優待や議決権が発生する100株を目指すのもいいだろう。

ただし、購入するたびに売買手数料が発生するため、手数料が割高にならないよう銘柄や買付単価、株数を調整したい。

購入資金があまりない人も、ネット証券のミニ株で少しずつ株式投資を始めてみてはいかがだろうか。

文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)/MONEY TIMES

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