副業を始めたばかりの頃は、とにかく売上や利益を出すことに目が向きがちです。やがて副業が軌道に乗ってくると、作業すればするほど収入が増える状態が楽しくなり、他のことに気が回らなくなるかもしれません。

しかし、税金と確定申告を忘れては一大事です。今まで会社任せにしていた税金関係のことも、副業を始めると自分の責任で申告しなければいけないのです。今回は、副業に関わる税金と確定申告の概要についてご説明します。

副業で稼ぐ人が知るべき税と確定申告の概要

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(画像=stockfour/Shutterstock.com)

副業で稼げるようになったら、稼いだ分の税金(所得税、住民税、復興特別所得税など)を国や自治体に納める必要があります。会社でもらう給料に課せられる税金は、源泉徴収によって会社が給与からあらかじめ差し引いて納めてくれます。会社員は、毎月の給与明細や年末の年末調整(源泉徴収票)をチェックさえしていれば、納税に関する作業は問題なく終わっていたわけです。

しかし、副業で稼いだお金の場合は、納税に関わる作業の一切を自分で行う必要があります。一年間で得られた副業収入と経費、給与所得、各種控除をまとめ、確定申告書に記入し、税務署へ提出して所得税、住民税、復興特別所得税を支払うことになります。

仮に副業収入を税務署へ申告せず、必要な税金を支払わなかった場合は、後で「無申告加算税」ないし「延滞税」という税金を余計に支払う義務が生じます。故意に脱税を行ったと認められた場合、所得税法違反(ほ脱行為)として10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいはその両方を科される可能性があります。

このように厳しいペナルティがありますので、副業をしている人は税金に関する基本的な知識と手続きの流れを押さえておかなければなりません。なお給与所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。

会社員が確定申告するための流れ

確定申告の流れは、主に確定申告前の準備→確定申告→所得税納税→住民税納税(普通徴収を選択した場合のみ)の4段階に分かれます。

このうち、確定申告前の準備に最も手間がかかります。まず副業の収入と経費、そして本業の収入をまとめましょう。会社から配布される源泉徴収票に給与収入が書かれていますので、そちらを参照します。副業所得は、その種類によって「雑所得」「不動産所得」「事業所得」「譲渡所得」「配当所得」など変わってきます。例えば、家賃収入は不動産所得、動画投稿サイトへの動画配信で得た広告収入は雑所得または事業所得に当たります。

収入と経費以外に、各種控除もまとめましょう。基礎控除、生命保険料控除、寄附金控除、医療費控除、住宅ローン控除などがあります。領収書や各種証明書の数字を整理しましょう。

次に、確定申告書を準備します。確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」の2つがあり、会社員やアルバイト・パートの人は基本的に確定申告書Aを使用します。事業所得や不動産所得などがある場合は、個人事業主が使用できる確定申告書Bを使用します。

確定申告書の作成は、手書きではなくオンラインで行うのがおすすめです。国税庁の特設サイトを始め、オンラインで確定申告書を作成できるWebサービスがたくさん存在します。こうしたサービスを利用すると、収入・経費・控除に応じて各種の税額を自動的に計算してもらえるのでミスもなく、確定申告書の作成作業が効率化されます。

確定申告書を作成できたら、税務署へ直接申告書を提出するか郵送します。確定申告の期間は、毎年2月中旬から3月中旬にかけての約1ヵ月間です。期間の終盤になると多くの人で混雑しますので、税務署へ提出する場合は余裕を持って2月中に提出を済ませましょう。

確定申告書を提出したら、所得税および復興特別所得税を納めます。現金で直接納付するのも可能ですが、金額が大きくなる場合を考えて口座引き落としが安心でしょう。また、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を通じて、インターネットバンキングないしATMなどから納税することもできます。

以上で確定申告の流れは終了ですが、住民税の徴収方法で「普通徴収」を選択していると、会社経由ではなく自ら住民税を納める必要があります。確定申告書の中に「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という欄があり、ここで「自分で納付」を選択すると普通徴収になります。市区町村から郵送される通知書を基に、コンビニや金融機関で納付することができます。

重加算税には要注意!

確定申告をしなかったり、過少申告を行ったりすると加算税と呼ばれるペナルティが課されるおそれがあります。中でも最も恐ろしいのが重加算税です。重加算税は、申告すべき税額をねつ造・偽造したり、または隠ぺいしたりと言ったような意図的な悪意がある場合に課される税率のことです。

加算税にはいくつかの種類があります。

①過少申告加算税
過少申告加算税は、税務調査の結果、納税額が過小であると判断された場合に課されます。過少申告加算税は本税に10%の税率をかけられます。

②無申告加算税
無申告加算税は、確定申告をしなかった場合、税額が50万円以下であれば本税に15%をかけられたものになり、税額が50万円を超える場合、本税に20%の税率をかけられます。

③重加算税
重加算税は明確な脱税であると税務署に判断された場合、課されるペナルティです。重加算税の対象となる内容は、たとえば領収書を偽造したり、売上を隠したりするようなケースが挙げられます。もし重加算税の対象であると税務署に判断されると、本税に最大40%の税率がかけられることになります。

申告に対して税務署が悪質であると判断するケースは必ずしも高いわけではありません。たとえば仕事が忙しくて申告を逃してしまったというような話であれば、悪質と言われる可能性はさほど高くはないでしょう。

しかし副業は会社員とは違い、自分で申告をしなければなりません。申告内容は税務署が調査すればすぐに判明するところです。売上をごまかそうとしたり、架空の領収書を作成したりすることがないようにゆめゆめ注意しておきたいところです。

面倒な確定申告をしてでも副業すべきか?

確定申告書の流れをご説明しましたが、正直なところ源泉徴収と年末調整だけで済む会社員に比べて面倒だと感じた人も多いのではないでしょうか。この作業が毎年繰り返されるとなると、あまりに面倒で副業したくなくなるかもしれません。

しかし確定申告の作業は、一度経験すると次の年からは比較的スムーズに作業を進められるようになりますし、わからないことは気軽に税務署の相談係に聞けば、親切に教えてくれます。収入や経費が増えてきたのであれば作業自体を税理士等に依頼する手もあります。「確定申告が面倒だから副業しない」というのは、少しもったいないかもしれません。確定申告は思ったほど高いハードルではないと理解していただければと思います。(提供:Incomepress


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