結果の概要:住宅着工件数は市場予想を下回る一方、許可件数は予想を上回る結果
2月26日、米国センサス局は政府機関閉鎖の影響で1ヵ月以上遅れて12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は107.8万件(前月改定値:121.4万件)と、125.6万件から下方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の125.6万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に下回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は132.6万件(前月改定値:132.2万件)と、こちらは132.8万件から小幅に下方修正された前月値、市場予想の129.0万件を上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:戸建ての回復が鈍い。10-12月期住宅投資は4期連続のマイナス成長が濃厚
住宅着工件数の伸びは、前月比▲11.2%(前月:+0.4%)と、18年6月以来となる2桁のマイナスに転じた(図表3)。集合住宅が▲20.4%(前月:+16.2%)と前月からマイナスに転じたほか、戸建ては▲6.7%(前月:▲5.9%)と、こちらは4ヵ月連続のマイナスとなり、回復の遅れが顕著となっている(図表4)。
一方、前年同月比は▲10.9%(前月:▲6.8%)と3ヵ月連続でマイナスとなった。こちらも集合住宅が▲11.8%(前月:+13.2%)とマイナスに転じたほか、戸建てが▲10.5%(前月:▲14.3%)と3ヵ月連続でマイナスとなっており、減少に歯止めが掛かっていない。
地域別寄与度(前月比)は、北東部こそ横這い(前月:+1.3%ポイント)となったが、その他の地域では、中西部▲1.6%ポイント(前月▲3.5%ポイント)、南部▲3.3%ポイント(前月比:+6.5%ポイント)、西部▲6.3%ポイント(前月:▲3.9%ポイント)と全ての地域でマイナスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+0.3%(前月:+4.5%)と僅かながら2ヵ月連続でプラスを維持した(図表5)。戸建てが▲2.2%(前月:+0.1%)と前月からマイナスに転じたものの、集合住宅が+4.9%(前月:+13.4%)となり、全体を押上げた(図表6)。
前年同月比は+0.5%(前月:▲0.1%)と3ヵ月ぶりに僅かながらプラスに転じた。こちらも戸建てが▲5.5%(前月:▲1.9%)と3ヵ月連続でマイナスとなったものの、集合住宅が+12.2%(前月:+3.3%)と2桁の伸びとなり全体を押上げた。
これらの結果、住宅着工件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比、年率換算は12月が▲19.9%(9月:▲8.3%)となり、9月からマイナス幅が拡大した(図表7)。
2月28日に、およそ1ヵ月遅れで18年10-12月期のGDP統計が発表されるが、戸建て住宅を中心に住宅建設の回復が遅れていることから、GDPにおける住宅投資は7-9月期の前期比年率▲3.6%に続いて4期連続でマイナス成長となる可能性が濃厚となったと言えよう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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