今年も確定申告のシーズンがやってきましたね。企業年金をもらい始める人の中には、税金のことがよくわからないという方もいるかもしれません。企業年金受給者は「確定申告が必要な人」「確定申告しなくても良いけれど、した方がお得になる人」「確定申告が不要な人」の3パターンがあります。自分がどこにあてはまるのかチェックしてみましょう。

企業年金には税金がかかる

企業年金,確定申告
(画像=ViewFinder nilsophon/Shutterstock.com)

企業年金は税金の計算上、老齢基礎年金(国民年金)、老齢厚生年金(厚生年金)と同じように「公的年金等」という扱いです。そして、この「公的年金等」は雑所得として課税対象になります。

会社員のころは勤務先が年末調整ですべて計算も事務処理もしてくれていたので、あまり考えずに済んでいたかもしれません。でも、企業年金を含め公的年金には年末調整の制度はありません。自分できちんと申告、納税できるようにしておく必要があります。

ちなみに、同じ「年金」でも障害年金や遺族年金には税金はかかりません。

企業年金は源泉徴収されている

企業年金には年末調整はありませんが、源泉徴収はあります。受給額など個人の状況には関係なく、一律の金額が税金として差し引かれているのです。

「すでに引かれているなら確定申告は不要なのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ここで引かれているのはあくまでも「仮」の金額に過ぎませんので、確定申告で個別の状況を申し出ることで最終的な税額が増減する可能性があります。

源泉徴収で自動的に引かれていた分よりも、実際に負担する必要がある金額の方が少なければ、その差額は還付金として戻ってきます。また、還付金の有無にかかわらず、一定以上の収入がある場合は必ず確定申告を行うよう定められているので注意しましょう。

年金受給者で確定申告が必要な人・不要な人

必ず確定申告を行うケース

下記の条件のうち、どちらかでもあてはまる場合は、確定申告が必須です。

(1) その1年間に受け取る国民年金、厚生年金、企業年金など公的年金の合計額が400万円を超える
(2) その1年間の公的年金以外の所得金額が20万円を超える

(1)については、国や基金で発行されて手元に届く「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている金額を確認してみましょう。

(2)については、年金を受け取りながら働いているときの給与や、不動産を賃貸に出している場合の賃料収入、株式や投資信託等を売買したときの利益、生命保険の満期返戻金などがある方は該当する可能性があります。年金以外の収入額から経費や控除を差し引いた金額が20万円以下かどうか確認しましょう。

確定申告しなくても問題ないけれど、した方がお得になるケース

税金を安くできる「控除」が使える方は、確定申告することで負担すべき税金額が減り、還付金が受け取れるかもしれません。「控除」には、例えば以下のような種類があります。

・扶養控除……親や子どもを新たに自分の扶養に入れた
・雑損控除……地震や火事などの災害や盗難などの被害を受けた
・医療費控除……一定額(その年の総所得金額等が200万円未満ならその5%)以上の医療費を支払った
・寄附金控除……ふるさと納税など寄附をした
・住宅ローン控除……ローンで家を購入した、ローンを組んで自宅をリフォームした
・地震保険料控除……地震保険の保険料を支払った
・生命保険料控除……生命保険・医療保険・個人年金保険などの保険料を支払った

確定申告が不要な人

収入額が基準を超えない範囲に収まっていて、特にあてはまる控除もないような場合は、確定申告しても手間がかかるだけになってしまいますから不要でしょう。

そのほか、企業年金を一時金として一括で受け取っている場合は、税法上「公的年金等」ではなく「退職所得」として他の所得とは分けて計算されます。そのため、勤めていた会社で「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば確定申告は不要です。

1年の収支をきちんと整理しよう

確定申告するかしないかを判断するためには、下記のようなことを行う必要があります。

・国や基金から送られてくる源泉徴収票で年金額を確認する
・病院のレシートなどで1年間に使った医療費を計算する
・加入している保険を確認する
・1年間のお金の出入りを整理する など

最初はなかなか難しく感じるかもしれませんが、今は少し検索すればよくある質問の答えは確認できるでしょう。また、関係のありそうな書類をまとめて税務署に持っていけば、書類の記入方法を丁寧に教えてくれます。手続き方法も年々手軽になってきています。

確定申告が必須な方はもちろんですが、やっておくとお得になる方も「面倒」とか「よくわからない」と思い込まず、今までとこれからの家計を考えるいい機会だと思ってトライしてみてはいかがでしょうか?もしかすると、いつの間にか税金として支払っていたお金が数万円、数十万円単位で戻ってくるかもしれませんよ。

文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)/fuelle

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