飲食店はとにかく忙しい。調理や接客だけでなく、売上管理や仕入れ業務など、通常営業とは別の作業が山ほどある。しかも、それらは「営業時間外」に行うことが多く、営業が始まる前や閉店後に数時間かけて作業することも珍しくない。
ところが最近は様々なツールが登場し、かなりの効率化が図れるようになってきた。今回は、営業時間外の業務を極力減らし、「本業」に集中するための最新のツールを紹介していこう。
売上管理に役立つツール
■POSレジ「ポスタス」
通常のPOSレジ機能が充実していることはもちろんだが、テーブルごとの客単価などもすぐに把握できる点が特徴。スタッフが料理をおすすめしたり、追加オーダーを取りに行ったり……といったシーンで素早く判断できそうだ。近隣店舗の平均売上などを見ることもでき、手間のかかるリサーチの時間も省ける。また、多言語、多通貨にも対応しており、グローバル展開を見据えたオーナーのニーズにもぴったり。365日無料でサポートを受けられるのも嬉しい。
■POSレジ「はんじょうPOSレジ」
飲食店の経営者が開発したこのPOSレジは、現場で本当に必要とされている機能が凝縮されている。売上集計だけでなく、人件費や仕入れ、家賃や光熱水道費などの経費を全て管理して、営業が終了した時点ですぐにその日の利益を算出してくれる。1週間ごと、月末にまとめて経費計算をしていたオーナーにとっては心強い味方になってくれそうだ。
■複合型POSレジ「Okageレジ」
Okageレジは、POSレジ機能はもちろん、セルフオーダーシステムなどに対応している点も強みだ。セルフオーダー用の画面は自由にレイアウトでき、紙のメニューを読み込んで電子メニュー化することが可能。毎月のようにどんどんメニュー変更したい店におすすめ。また、ハンディタイプにもレジ機能が搭載されているため、客にレジへ並んでもらう必要がなくなり、混雑時にもスムーズな対応ができるだろう。
料理のレシピ管理、発注に役立つツール
■レシピ管理アプリ「レシプロ」
レシプロは、スマホのように直感的な操作でレシピやメニューを開発・管理することができるアプリだ。売値を入力すると原価率を自動計算してくれるので、新メニュー開発時にはかなりの時間を削減できそう。また、これまで飲食店では、紙でレシピ管理をすることが一般的だったが、従業員全員での共有もしやすく、新しいスタッフの教育の際にも非常に便利だ。
■料理メニュー作成アプリ「Menu Express」
Menu Expressは、A4サイズまでのメニューPOPを無料で作成することができるツールだ。スマートフォンで料理の写真を撮影すれば、後は600種類以上用意されたテンプレートからデザインを選択しメニュー名を入力するだけ。定休日などを使って行っていたメニューの変更作業もグッと楽になるはずだ。さらに、作成したPOPはそのまま各SNSへシェアすることができる。ひと手間でメニュー作成から販促まで行えるまさに一人二役ツールだ。
■食材発注ツール「PlaceOrders」
発注と言えば、営業終了後に数十分かけて在庫を確認して卸業者にファックスを送る……というのが一般的。しかし、PlaceOrdersでは、スマホアプリで発注することができる。発注書を一時保存する機能や、発注履歴から再発注できる機能など、発注作業の効率化に特化している。クラウドによる従業員間の共有も可能なので、複数店舗を運営している場合にも役立ちそうだ。
スタッフのシフトや勤怠管理に役立つツール
■シフト管理アプリ「Airシフト」
2018年度のグッドデザイン賞を受賞したAirシフトは、シフト作成だけでなく、シフト収集から勤怠管理までを一手に引き受けてくれる。アプリから希望シフトを提出できるため、従業員から見ても満足度は高いようだ。店長の立場からすると、スタッフのシフト希望を取りまとめるだけでも一苦労だった。しかしAirシフトでは、シフト希望をシフトに素早く反映。転記ミスもなくなり時間だけでなくストレスも軽減してくれそうだ。
■勤怠管理ツール「Smart kintAI」
Smart kintAIは、従業員がスマホから提出した希望シフトを集計し、AIが最適なシフト作成をしてくれるというツールだ。人員不足の際には、AIがスタッフにヘルプ申請も出してくれる。これさえあれば、シフトのことを考える時間が激減するだろう。また、スタッフ毎にマイページがあり、給与の確認をすることもできる。すべての機能を無料で使えるのも嬉しい。
■タイムカードアプリ「タブレット タイムレコーダー」
タブレット タイムレコーダーは、iPadをタイムカードとして使用する勤怠管理ツール。出勤退勤の記録と同時に顔写真を撮って管理者にメールで連絡してくれるなど、スタッフの健康管理や不正防止にも役立つ。残業や休憩時間も自動集計してくれるので、スタッフ一人一人の勤務時間を簡単に把握できる。給与計算ソフトとの連携も可能で、併用することでさらに業務負担を減らすことができそうだ。
飲食店は営業時間が長いので、体力の消耗も激しい。営業終了後の業務が疎かになると、発注ミスや損益の把握が遅れるといったことも起こりやすい。接客業である以上は、できるだけ疲れを残さず、自分の時間を確保することも大切だ。今回紹介したツールを上手く使えば、1日数時間程度の削減をすることも不可能ではない。無料から使えるツールも多くあるので、現在の業務を見直してぜひ有効活用してもらいたい。
執筆者:大槻洋次郎
(提供:Foodist Media)