医薬品のネット販売解禁が消費者にメリット

経済面では医薬品のネット販売解禁が大きなメリットをもたらします。今回の薬事法改正前では、全体の4分の1強を占めるリスクが比較的低い第三種医薬品しかネット販売が認められていませんでした。しかし薬事法改正で、リスクが高い第一種医薬品のうち、0.04%を除き、ネット販売が認められるようになっています。

この改正は消費者にとって以下2つのメリットがあります。

まずは、購入手段が多様になったことです。ネット販売が許可されたことで、薬局やドラッグストアに来店せずに医薬品を購入することができるようになったという点です。

また、ネット販売の解禁により、流通コストが削減する他、製造元が直接販売に参入することで、家電製品のように更なる販売価格の低下が起こる可能性もあります。また、医薬品に対してポイントをつけるようなサービスの囲い込みもこれから激しくなることで、消費者にとってはより経済的に医薬品を購入できるようになるでしょう。


負担増へ導く今回の改正

健康面では、国民健康保険、介護保険の改正、及び混合医療の拡大で消費者の負担は増加方向に働きます。国民医療保険については、赤字基調で財源が苦しいことを考慮し高所得者からの負担額を増やす方向です。既に2014年度からは単身世帯で年収1千万円以上を対象に保険料の上限が4万円増加し、年81万円となりました。

また、介護保険では先に述べたように、年金収入が単身で年280万円以上を対象にする方の自己負担額が、2015年8月以降、1割から2割に上がります。また、特養ロームや介護老人保健施設に入居する人への補助の縮小。介護についてもサービス内容を見直し、介護から予防へとシフトする方向へ動くことになります。

また、先端医療や未承認の医薬品の適用などで、保険負担分と保険外負担分の混合医療が使える範囲を拡大し、混合医療の活用を促進していきます。混合医療の拡大は言い換えれば、保険外医療の拡大であり、消費者負担は増える方向に働くでしょう。

保険の面では、現行の保険制度が超高齢化社会で成り立っていないことを考慮し、高所得の高齢者に相応の負担をもとめる内容となっています。また、これまでのフルサービスの医療、介護サービスを受ける場合に適用される補助も縮小する方向に動いており、消費者にとって負担増を求めております。


「手厚い保障」から「相応の受益者負担」へ

これまでの安倍内閣の医療制度改革の流れを見ると、「手厚い保障」から「相応の受益者負担」へであるといえるでしょう。今後今までのような医療、福祉サービスを受けたいなら、相応の受益者負担を覚悟しなければならないと考えられます。

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