IBM(International Business Machines) (NYSE:IBM)株は株安に悩まされていたが、直近では堅調さが窺える。今年の上げ幅はかなり大きく、アマゾン(Amazon) (NASDAQ:AMZN)やアルファベット(Alphabet) (NASDAQ:GOOGL)といったテック企業の中で最もアウトパフォームしている。
昨日28日の終値は139.17ドルと前日比0.4%安となったが、直近22日間で16日間上昇しており、1月28日時点から3.6%高となっている。この株高要因には、同社の事業戦略によって業績が改善したことが挙げられる。
同社の第4四半期で好決算であったことや19年度の業績に楽観的な見通しがなされたことで、株価は上昇局面となっている。
第4四半期の売上高は218億ドルとアナリスト予想を上回った。一方、2019年通期の調整済みEPS(一株当たり利益)は最低でも13.9ドルに着地すると、アナリスト予想の13.89ドルを上回る見通しを立てた。6年連続の減収から一転、今回の決算で2四半期連続となる増収となった。
直近の株価は急騰しているが、2013年にマークした史上最高値からは約36%低く、長期保有投資家にとっては買い持ちを続けるのか試される。しかし、昨年3月に我々は逆張り投資家に向けて同社株の保有を推奨しており、現在も同社の長期事業戦略が順調であると自信を持って言える。
ビッグブルー(IBM)の活況
IBMは過去10年間はテクノロジーや消費者嗜好の急速な変化によって売上高が鈍化し、苦境に立たされていた。売上高は2011年にピークを迎え、フリーキャッシュフローはその翌年に最大となった。その当時、同社の業績は好調を迎え、クラウドデータセンターへの投資や数々の買収を行うことで、売上高の拡大やテクノロジー面の強化、そしてAIアルゴリズムの開発に向けた大量データの追加を行っていた。
モルガン・スタンレーによる調査では、ジニ・ロメッティCEOはIBMのクラウドやAIといった最新技術に関する事業に再度注力しており、これらが業績を徐々に牽引し始めているという。
モルガン・スタンレーは、「IBMの再編は予想よりも遅いスピードではあるが、不採算事業の売却と戦略的な投資によって同社の業績は拡大していくと我々は考える」と述べた。
これまで同社は、クラウドコンピューティングなどの新興デジタル市場におけるマーケットシェア獲得に後れを取っているが、最近発表した330億ドルでのレッド・ハット(Red Hat) (NYSE:RHT)買収によって展開は変わってくる可能性がある。当買収によって、ソフトウェア事業の利益率が格段に上がり、IBMの事業用向けハイブリッドクラウドサービスが安定するだろう。Jefferies & Co.の予想によると、全企業の85%はハイブリッドクラウドを採用すると考えられる。ハイブリッドクラウドとは、アマゾン・ウェブ・サービスといったパブリッククラウドと、自身のプライベートクラウドを組み合わせたシステム形態である。
安定的な配当を狙う長期保有投資家は、IBM株の保有が適している。同社は70~80%のフリーキャッシュフローを毎年、増配や自社株買いといった株主還元に用いるとの計画があり、毎年2%近くの株式を消却するとみられる。
要点
IBMの事業戦略による好況は継続すると考えられるため、5~10年間の長期保有を行う投資家にとって同社株は最適な投資先である。直近では株価の上昇が見られたものの、現在の配当利回りは4.5%と5年間の平均3.6%を上回っている。
もし同社株への保有を続けるのであれば、素晴らしい投資となり得るだろう。特にレッド・ハットの買収や既存事業からのキャッシュフローが増加していくとみられる。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル