高額な不動産物件も細分化して購入できる「小口不動産投資」が人気を呼んでいます。なぜなら、分配金が得られるだけでなく節税対策のために購入する人もいるといわれているからです。ここでは、「小口不動産投資」の内容と、節税対策について解説します。
今「小口不動産投資」が人気になっている背景とは
今「小口不動産投資」が人気になっています。かつて不動産投資は数千万円単位の高額な資金が必要で、一般の投資家には敷居の高い投資でした。それが、高額な不動産物件を細分化して販売する「小口不動産投資」の登場で、庶民にも手の届くレベルの金額で不動産に投資できるようになったのです。
また、富裕層にとっては節税対策になるなど、「小口不動産投資」にはさまざまなメリットがあるのも人気の要因です。駅近にあるマンションやアパートなど、安定した需要と収益が期待できる物件が中心のため、不動産価値が下がりにくいという魅力もあります。
「小口不動産投資」とはどんな商品か
「小口不動産投資」とは、不動産会社などが運用管理する物件に複数の投資家が出資を行い、運用の結果得られた収益を出資割合に応じて受け取る投資商品です。「小口不動産投資」の商品には、金銭のみを出資し、事業者が不動産を所有する「匿名組合型」、投資者が共有持ち分として不動産を所有し、事業者に現物出資する形をとる「任意組合型」の2つがあります。
このうち、「任意組合型」では不動産を所有する形をとるため、通常の不動産と同じように相続税法上のメリットを受けることで、節税対策に利用することが可能です。
「小口不動産投資」を使って節税する方法
「小口不動産投資」で投資した場合の具体的な節税効果について紹介します。相続税の計算において、不動産は現金(100%評価)に比べて、かなり減額して評価されることが特徴的です。土地では20~30%減額、建物では築年数により30~70%程度に相続税評価額を抑えることができます。そこで、現金で500万円保有しているなら、「小口不動産投資」でマンションなどの建物を所有した方が有利です。
小口不動産投資によって、同じ500万円の資金が最大で150万円程度に評価額を下げることができます。さらに、遺産相続の際も「小口不動産投資」なら、一般的な不動産よりも分割相続が簡単にできることはメリットです。例えば、3人の共同相続人がいて1,500万円のマンションを保有していた場合、3分の1ずつ持ち分を登記して分割することはできますが、完全に公平分割するのは難しいでしょう。
しかし、「小口不動産投資」なら、はじめから500万円ずつ3口など分けて投資することができるため、遺産相続で争うこともなくなります。「小口不動産投資」は、節税対策になるとともに分割相続の対策にもなる優れた商品なのです。
「小口不動産投資」は今後も有望
最後に、「小口不動産投資」の市場価値としての今後の見通しですが、長期にわたって有望と考えて良いでしょう。その理由は、大都市圏や駅近立地など「小口不動産投資」が扱う物件の立地的な優位性にあります。今後、人口の減少とともに日本経済は縮小する見込みですが、それは日本全体を考えた場合であり、個別に見れば、あまり影響を受けない地域があります。
それが、東京・大阪・名古屋のいわゆる「三大都市圏」です。人口動態調査でも、三大都市圏の人口は緩やかな減少にとどまる見通しです。さらに、2020年の東京五輪、2025年の大阪万博、2037年のリニア(中央新幹線)東京―大阪間完全開通といったイベントが需要を後押しします。長期間にわたって大都市圏に人口や企業が流入してくることは、不動産業界にとっては大きな支援要因になるでしょう。
以上、「小口不動産投資」について紹介しましたが、節税対策になるだけでなく将来を見据えた投資先としても有望な商品と考えることができます。これまで敷居の高かった不動産投資が、個人にとって身近な存在になったことで、同商品の市場は今後も拡大を続けそうです。 (提供:相続MEMO)
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