「債務超過」という言葉によいイメージを持つ人はいないでしょう。しかし実は、不動産投資では気づかないうちに、債務超過になっていることがあります。今回は、「どのようなときに債務超過に陥るのか」「債務超過に陥るとどうなるのか」、そして対策について解説します。

債務超過とは、残りのローンよりも不動産の価値が下がった状態のこと

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(画像=Doubletree Studio / Shutterstock.com)

債務超過とは、借入金や支払手形、買掛金などの負債が総資産を上回った状態のことで、「信用毀損」ともいいます。不動産投資だけではなく、あらゆる業界で経営状況をあらわす言葉として使われている言葉です。ある会社を例にしてみます。現金20万円と商品在庫80万円分を持っている場合、総資産は合計100万円です。また、資本金は10万円、借入金が90万円あるとします。

ここで20万円の赤字を出してしまい、手元に現金がなくなってしまいました。この場合、資産と負債はそれぞれどのようになったでしょうか。総資産は商品在庫の80万円のみです。一方、借入金は90万円のまま。この「資産をすべてお金に変えても借金を返すことができない」状態が債務超過です。不動産投資では、例えば次のようなときに債務超過になります。

・1億円のマンションをフルローンで購入
・数年経過し、残りのローンは8,000万円で手元にある現金は500万円
・このときマンションの価値を鑑定すると、7,000万円に下落

総資産はマンションの7,000万円+手元現金500万円=7,500万円です。これに対して借入金は8,000万円になります。差し引き500万円の債務超過です。この例では、購入してから数年後に所有物件の価値が下がったものですが、買った瞬間に債務超過になることもあります。それは本来の市場価格を上回る価格で買った場合に起こるのです。

投資用に限らず新築の建物は、買った瞬間に価格が3割落ちるといわれています。物件価格に何割もの利益を乗せて販売する「三為業者」といわれるような転売業者に割高な物件をつかまされることもあります。このような買い方をすると、すぐに債務超過に陥ってしまう可能性が高いのです。買った瞬間には資産価値があっても、地価が下がったり、建物が傷んだりして価値が下がっていくこともあります。

債務超過で何が困るのか

このように物件の価値が下がって債務超過になると、すぐに困るわけではありません。しかし、非常に危険な状態です。例えば、手元の現金が500万円しかないとき、エレベーターの修理に1,000万円かかるという状況になったらどうなるでしょうか。足りない500万円を工面するためにローンを組む必要がありますが、債務超過の状態では金融機関はお金を貸してくれないかもしれません。

なぜなら、物件に担保としての価値がないからです。同じ理由で、新たにローンを組んで物件を買うことも難しくなるでしょう。マンション経営に限界を感じて手放そうと思っても、債務超過の状態だと売ることは難しいでしょう。金融機関に合意を得たうえで売る任意売却という方法もありますが、借金だけが残る可能性があります。

債務超過の状態だとローンで新しい物件を買うことができず、売りたいときに売れないという困った状態になります。

債務超過に陥らないためにはどうするか

債務超過に陥らないためには、まず物件を割高な価格で買わないことです。地域における不動産価格の相場を把握し、割安に買える物件のみを狙うことができれば、高い確率で債務超過を防ぐことができます。また、価格が下がらず、上がっていくような物件を買うことも重要です。難しいところではありますが、人口が増え続けている都市は不動産の価値が下がりにくく、比較的手がたい投資となります。

購入する際にフルローンやオーバーローンなど多額のローンを組まず、自己資金を多めに入れることも対策のひとつです。

不動産の価値を見抜く力を持って債務超過を防ぐ

債務超過は物件の価値が下がり、ローンを下回ってしまったときに起こります。こうなると売却や、新規のローンを組むことが難しくなります。最悪の状況の陥らないための対策として、自己資金を多めに出すことが重要です。また、物件を買う際には「買った価格よりも下がらず、むしろ高い価格で売れるか」を基準に検討する必要があるでしょう。(提供:相続MEMO


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