2018年にフォーブス誌が発表した「アジアの優良上場企業50社(Fab 50)」では中国企業が30社もランクインするほど、中国の勢いはとどまることを知りません。中国に次ぐのはインドの7社です。そして日本企業は5社ランクインしました。10年ほど前まではBRICs(ブリックス)と言われていた新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国)がこうして優良企業を多く生み出すまでに成長していることがわかります。2018年にはどのようなトレンドがあるのでしょうか。

フォーブスの優良上場企業選定基準

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(写真=J.Score Style編集部)

そもそもフォーブスはどのように「アジアの優良上場企業50社(Fab 50)」を選定基準について確認しておきましょう。まず、上場1年以上で年間売上高が20億ドル(約2,226億円)を超える1,744社をピックアップし、「損失を計上している、昨年の売上高が5年前の年間売上高を下回る、負債比率が高い、株式の50%以上を政府または上場企業である親会社が保有している」といった企業を除きます。そして最後に企業の財務状況について、複数の指標を基に評価し50社を選定しているのです。

優良上場企業50社に含まれている中国企業

含まれている中国企業30社の中の企業を紹介します。1990年代~2000年初頭設立の新興企業であるにも関わらず、世界的に認知されるまでに成長した中国企業を6社ピックアップしました。

企業名(設立年) 事業内容
アリババグループ(1999年) オンラインマーケットプレイス、決済サービス、クレジットスコアサービス、クラウドコンピューティングサービス等
テンセント(1998年) モバイル向けメッセンジャー「WeChat」、決済サービス、クレジットスコアサービス、オンラインゲーム等。
AACテクノロジーズ(1993年) 音響部品メーカー。アップル製品の部品なども請け負う。
Geely Automobile(2001年) 自動車メーカー。2010年にボルボを買収。ドイツ・ダイムラーの筆頭株主。近年はコネクテッドカーの開発にも積極的。
ANTA SPORTS(1994年) スポーツメーカー。世界初の3Dプリンター製バスケットボールシューズも発表。
ANTA SPORTSはNBA選手ともスポンサー契約をしている。
Dahua(2001年) 監視カメラメーカー。AIを活用した顔認識システムの開発を進めている。

上記で紹介した中国企業はおおよそこの20年に誕生した新興企業です。歴史の長い大企業や国営企業、財閥系企業ではありません。生え抜きの起業家が育て上げた企業なのです。現在の中国企業の盛り上がりというのは中国人の起業家精神が根底にあると言えるでしょう。

期待かかる日本のユニコーン企業

中国に勢いがあるのは言うまでもありませんが、近年の日本でも生え抜きの起業家が起こした企業が出現してきています。その筆頭が新興企業たるユニコーン企業。ユニコーン企業とは「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジー企業」といった4つの条件を兼ね備えた企業のことです。

ユニコーン企業の筆頭であったフリマアプリのメルカリはすでに上場しています。メルカリは米国支社を設け、昨年2017年12月には世界一億ダウンロードを達成しグローバル展開に拍車をかけています。さらにユニコーン企業の中で世界中から注目を集めているのがPreferred Networks。AIの製造業への応用を軸とした事業を展開しています。トヨタをはじめファナック、日立製作所とも提携しています。

2017年に日本経済新聞が実施した「NEXTユニコーン調査」によるPreferred Networksの推計企業価値は2,326億円とメルカリの1,479億円を上回っています。

Preferred Networksは既存の大企業と提携し、AIを活用することで生産性を増大させる、新たな事業モデルを創出することも期待されています。

ユニコーン企業の成功に日本の未来が懸かる

中国企業の躍進には目を見張るものがあります。その根底にはEC、フィンテック、AIなど新たなテクノロジーの出現という波に乗った起業熱が中国にあるのでしょう。

日本も同様に、Preferred Networksをはじめテクノロジーをベースとするユニコーン企業が登場しています。ユニコーン企業と既存の莫大な資源や資産を持った日本の大企業がタッグを組むオープンイノベーションが加速することが期待されます。ユニコーン企業の成功こそが今後の日本にとって重要になるでしょう。今後も引き続きユニコーン企業の動向を注視したいものです。(提供:J.Score Style

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