FinTech(フィンテック)やReal Estate Tech(リアルエステートテック・不動産テック)など、従来の概念にITを融合した新しいサービスが次々と私たちの生活を変えています。その波は住まいに欠かせない家具(Furniture)にも押し寄せています。ITと家具の融合であるFurnitureTech(ファニチャーテック・家具テック)の普及により、それに付随したさまざまなサービスが生まれ、私たちのライフスタイルは変化しているのです。
FurnitureTechは欧米が主流
FurnitureTechが先行しているのは欧米で、例えば2017年にサンフランシスコとニューヨークで始まった家具のレンタルサービス「Feather」が有名です。同社は2017年の10月に350万ドルの資金調達を行いました。部屋のテイストに合わせた家具のレンタルは3ヵ月から1年の間で可能で、家具の配送や組み立ても行ってくれます。現在2期目になりますが、Instagram上でオシャレな内容が拡散されたことにより、「利用してみたい」という行動を誘発し、利用者が増えたということです。
ほかにアメリカで家具のレンタルサービスを開始しているのは、家だけでなくオフィス家具のレンタルも扱う「Cort」や「Brook Furniture Rental」などがあります。
イギリスでは2018年秋に、世界初のインテリアのレンタルプラットフォーム「Harthh」が生まれる予定です。このレンタルプラットフォームではハイブランドのインテリアショップと連携することで、結婚式やポップアップ、住宅家具の活用など、オリジナルの部屋作りが可能になります。
日本でも家具のサブスクリプションの波が訪れている
海外ではすでに家具のサブスク(サブスクリプション)が現れていますが、日本でも同じように家具のサブスクサービスが増えています。特に有名なのは「KAMARQ」で、好きなアイテムを好きなタイミングで返品・交換ができるというサービスを月額500円から提供しています。こだわりのデザイン家具を自由な期間を設定して月額500円から利用できる「subsclife」や、音と家具をコンセプトにテーブルとスピーカーを組み合わせ、新たな暮らしの空間演出をテーマにした「SOUND TABLE」など、さまざまなメニューを用意しています。
また、2018年7月には「CLAS」が資金調達を行いました。Amazonプライム・ビデオで配信され話題となった「バチェラー・ジャパン」にも出演した久保裕丈氏が創業しましたが、8月のローンチ前に2,500名以上の人が事前登録をするほどの人気ぶりです。月額500円(家具によって異なる)でインテリア家具のシェアを行い、職人が定期的にメンテナンスをするとともに、シンプルなデザインと上質な素材を活用して、長く活用してもらえるような配慮が行われています。
もともと日本でも法人ではオフィスレンタルのシェアはありましたが、とうとう個人にもその波が訪れたといえそうです。
FurnitureTechが流行した理由
家具のサブスクが人気を博すようになったのには2つの理由があると考えられます。ひとつはミレニアル世代の消費傾向にあります。ミレニアル世代はモノを買わず、所有よりも共有に抵抗が少ないという特徴があり、家具のサブスクサービスは彼らに受け入れられたのです。
レンタルならば購入コストや引っ越し費用を抑えられますし、自分の好きなデザインを好きなタイミングでレンタルできるので、いつでも気分をリフレッシュできます。これまで家具は所有するものという意識でしたが、サブスクによって「家具は共有(シェア)するもの」という意識に変わったのです。
もうひとつの理由としては、プラットフォームを介したCtoCの潮流が生まれていることです。個人間で取引ができるサービスが増えたことにより、モノやサービスをたくさんの人とシェアすることに対して抵抗がなくなってきました。今後、まだ使えるのに手放す必要が出た家具をプラットフォームが引き取り、新しいビジネスが生まれたり、シェアするという潮流が加速するかもしれません。そうすれば、さらにサブスクサービスは活用されるでしょう。
企業にとっても家具のサブスクは大きな変化を生み出そうとしています。これまで家具は一生モノで、次の購入は結婚や出産の時など何十年後になり、顧客との接点が生まれづらい点がありました。それが、家具のサブスクでは、メルマガやスマホでのお知らせ通知を通じて定期的に顧客との接点が生まれるのです。さらに顧客の消費行動やトレンド、求めるものなどの傾向をつかみ、次のニーズの発掘やマーケティング、消費展開につなげることも可能なのです。
家具×ITの進化はより生産性の高いライフスタイルへと導いてくれる
自分にぴったりの家具を好きな時に好きな期間レンタルできれば、住まいの選択肢がぐっと広がり、それによって働き方の選択肢も格段に広がります。家具を購入しないことにより、住む場所や生活、日常発生する多くの選択肢から解放されるのです。新たに生まれた暮らしの余裕は、より快適なライフスタイルの質にフィードバックされることでしょう。(提供:J.Score Style)
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