世界的なリサーチ&コンサルティング会社MarketsandMarketsの調査によると、ブロックチェーン関連サービスの市場規模は2018年の6億2,300万USドル(約704.7億円)から2023年には154億5,500万ドル(約1兆7,482億円)にまで拡大すると見込まれています。世界ではブロックチェーンによる産業化が進んでいると言われていますが、ブロックチェーンによって私たちの生活がどのように変わるのかを考えてみましょう。

特許出願数は世界一!ブロックチェーンに注目するアリババ

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(写真=J.Score Style編集部)

トムソン・ロイターによれば、2017年のブロックチェーンの特許は406件で、これは2016年の134件の3倍以上の規模でした。406件うち68件は中国人民銀行、43件はアリババからで、申請数の56%が中国からというものでした。2018年9月現在も世界中からブロックチェーンに関して多くの特許申請が行われていますが、トップは90件のアリババです。中国がブロックチェーン技術に注力し、社会やビジネスインフラを整えたいと考えていることが分かります。

ブロックチェーンの特許申請で2018年トップを走るアリババは、ECショッピング以外に決済、証券、融資、保険、宅配、インフルエンサービジネスなど、さまざまな分野にサービスが広がっていますが、多岐に渡るサービスの土台にはブロックチェーンがあります。

例えば、2018年8月に国際送金サービスを開始したAlipay(アリペイ)は、スマホで送金指示をするだけでブロックチェーン技術によって時間をかけずにフィリピンのGキッシュに送金される仕組みです。銀行に口座を持たない層でも手軽に素早く送金できるので、利便性が高く、多くの人が活用しています。

また、Aliyun(阿里雲)と呼ばれるAlibaba Cloud(アリババクラウド)は、2018年10月にAmazonやMicrosoftと同様、ブロックチェーンをクラウド上で構築できるサービスBlockchain as a Service(BaaS)を提供し始めました。Aliyunはオリンピックのワールドサービスパートナーへの指定、Alipayのマーケットプレイスなど、さまざまな分野で活用されています。Aliyunは独身の日の膨大な量の注文を裁くだけではなく、セキュリティを維持できることが特徴です。また、ビックデータやAI関連の200以上のサービスを提供するなど、技術力と成長力の高さから企業の導入が進んでいます。

また、同時期に発表された保険「相互保」もアリババグループ内のサービスをブロックチェーン技術を活用してワンストップで契約から支払いまでを行っており、Alipayユーザーで、芝麻信用で650点以上スコアがあり、健康な60歳未満であれば無料で加入できることもあり、その手軽さから約1ヵ月で約1,800万人が契約しています。

このように、アリババではグループのサービスをブロックチェーンによって効率的に活用するプラットフォームとしての存在感が生まれています。今後も連携が進むことによってプラットフォームとしての確固たる地位が築かれるはずです。

ゼロダウンタイムで改ざんできないシステムを実現するブロックチェーン

2008年に登場したブロックチェーンはいくつかの暗号技術を組み合わせることで成り立っています。当初は仮想通貨ビットコインを実現するための技術として考案されたものでした。しかし、現在では金融、健康、物流、コンテンツ産業など、さまざまな業界・業種でブロックチェーンを活用した取り組みが進んでいます。

ブロックチェーンを分かりやすく表現するとしたら、第三者を介さずにインターネット上で価値あるデータを安全にやり取りできるようにする技術です。ブロックチェーンは記録されたデータの改ざんが難しく、実質的にシステムダウンしません。

ブロックチェーンを活用して記録されたデータは、石版に彫られた文字のように一度書き込めば、変更が難しい性質を持たせることが可能です。そして、サービスを提供しているネットワークへの過剰なアクセスなどがあっても止まらないシステムを構築できるのです。

つまり、ブロックチェーンを活用することで、内部の不正などによるデータ改ざんや外部からの攻撃に強いシステムが実現できるということです。ブロックチェーンは高い安全性が求められるシステムを構築できると期待されているため、企業も注目しており、実際にアリババグループはブロックチェーンを自社サービスのセキュリティを向上させる技術として活用しようとしています。

ブロックチェーンが日本を変える?

海外ではブロックチェーン技術は進んでいますが、日本はこれからというのが実情です。「未来投資戦略2018」によれば、ブロックチェーンを活用することによって、「温室効果ガスを削減するという価値(CO2削減価値)」を可視化し、消費者間で取引できるシステムを構築できると考えられています。分かりやすく表現するとしたら、二酸化炭素(CO2)の発生しない再生可能エネルギーを活用するほど、金銭的なメリットを得られるシステムだといえるでしょう。

CO2削減価値がどのような形態(ポイントや仮想通貨など)で可視化されるかは分かりませんが、将来的にはCO2削減価値を使って買い物ができるようになるかもしれません。

また、ブロックチェーン上のデータは、一度記録されると改ざんが困難であるため、金融機関ではKYC(Know Your Customer)に対する人的・金銭的コストが削減できる可能性もあります。金融機関が共同で本人確認のプラットフォームを構築すれば、効率的な本人確認が実施可能になり、銀行口座や証券口座の開設がひとつのアプリケーションで一括して完了するかもしれないのです。その他にも、海賊版コンテンツへの対策や肥大化するデータや個人情報を安全に管理するためのシステムなど、さまざまな領域でブロックチェーンが活用されることが見込まれています。

以上のように、「未来投資戦略」を見るだけでも、さまざまな産業でブロックチェーンの活用が想定されており、今後は企業などと連携した実証実験が進んでいくでしょう。

ブロックチェーンは他の技術との相乗効果によって私たちの生活を豊かにする

近い将来、私たちが削減したCO2の価値で買い物をしたり、スマホを少し操作するだけで金融機関の口座開設が完了する日がやってくるかもしれません。現在、国内でもブロックチェーンを活用したサービスや仕組みの実証実験が行われており、人工知能やIoTなど他の技術と組み合せて活用されることで、私たちの暮らしに関わるさまざまな分野で活用されると期待されています。ブロックチェーンによって私たちの生活がより豊かになるまでもうすぐです。(提供:J.Score Style

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