iDeCo(個人型確定拠出年金)は、積み立てをしながらその積立金を運用し、自分で老後の年金を作っていく制度です。運用する商品は大きく分けて2種類あります。定期預金や保険などの元本確保型商品と元本保証のない投資信託です。
iDeCoに加入すると、それらの中から運用していく商品を選ぶことになります。運営管理機関連絡協議会の「確定拠出年金統計資料」によると、元本確保型商品を選択している人が約6割と多数を占めています。その中でも預貯金を選ぶ人の割合は約4割と、iDeCoの中で最も選ばれている商品ということが分かります。iDeCoで定期預金を選ぶことには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
銀行の定期預金と何が違う?iDeCoで定期預金を選ぶメリットとデメリット
銀行の定期預金とiDeCoの定期預金では、商品そのものについては、大きな差はありません。例えば、楽天証券やマネックス証券のiDeCoで取り扱いのあるみずほ銀行の定期預金を見てみましょう。iDeCoの定期預金「みずほDC定期預金」、みずほ銀行で取り扱っている「みずほ積立定期預金」ともに、金利は2019年1月現在0.01%で同じです。
解約時の取り扱いについても、いずれも解約利率が適用され、元本と中途解約の利息分が支払われます。したがって、銀行の定期預金とiDeCoの定期預金について商品自体の特別な違いはありません。違いがあるとすれば、iDeCoの仕組みにあるといえるでしょう。
iDeCoには節税効果があります。iDeCoの制度を使って定期預金に預けると、所得税と住民税が節税できるのです。例えば、年収400万円の会社員独身女性の所得税と住民税の税率を合計15%とします。毎月2万円、年間24万円をiDeCoで積み立てると掛け金の15%分、年間3万6,000円分の税金を節約できます。
これは、iDeCoの掛け金は全額所得控除できるというルールがあるためです。個々人の状況によっては、所得控除のメリットを最大限受けられるとは限りませんが、10年、20年続けるとその効果はとても大きいことが分かります。一方で、銀行の定期預金はこのような節税の特典はありません。
銀行の定期預金の利息には、約20.315%の税金がかかります。0.01%の金利なら、実質金利は0.0079685%です。しかし、iDeCoであれば利息に税金はかかりません。
一方で、定期預金には銀行破綻のリスクがあります。ただし、この点についても銀行の預金同様、iDeCoの定期預金も預金保険制度の対象となります。金融機関ごとに元金1,000万円とその利息が保護の対象です。
例えば、A銀行に700万円の普通預金があるとして、同じ銀行にiDeCoで300万円分の定期預金をする場合、A銀行が破綻した際に保護の対象となるのは、普通預金の700万円とiDeCoの定期預金300万円、合わせて1,000万円となります。
iDeCoで定期預金をすることはメリットが多いように思われます。とはいえ、当然デメリットもありますから、前もって認識しておくことが重要です。
まず、iDeCoは毎月手数料がかかります。手数料は金融機関によって異なりますが、どこの金融機関でも最低167円かかります。仮に毎月2万円を積み立てるとすると、2万円に対して167円、つまり、約0.8%のコストがかかるということです。金利が0.01%ですから、確実にコスト負けをしています。
そして、iDeCoは60歳まで積み立てを続けます。60歳まであと20年とすると、毎月2万円を積み立て、0.01%で運用すると20年後の利息は約5,000円(税引き前)です。20年積み立てても5,000円しか増えないのです。iDeCoは老後の生活費を作る制度です、元本が減ることがリスクだと考えられがちですが、資産がほとんど増えないのもリスクです。
このように、iDeCoで定期預金を選ぶことはデメリットもあり、実質のメリットは所得税と住民税が節税できる点のみと考えてよいでしょう。
金融機関によって定期預金は違う!iDeCoのおすすめ定期預金
しかしながら、投資信託を選ぶのは怖い、難しい、定期預金を選択したいという方もいるでしょう。iDeCoで定期預金を選ぶなら、月額の手数料が安い金融機関を選択しましょう。先にお伝えしたように、現在の定期預金の金利はコスト負けの水準ですから、手数料は1円でも安いほうが良いです。手数料が安く、金利が高めの定期預金を紹介します。なお、金利は2019年2月現在のものです。
あおぞらDC定期(1年):金利 0.02%
取扱金融機関……大和証券・SBI証券(いずれもiDeCo手数料は167円)
イオンiDeCo定期預金(5年):金利 0.05%
取扱金融機関……イオン銀行(iDeCo手数料167円)
セブン銀行確定拠出年金専用定期預金(5年):金利 0.02%
取扱金融機関……野村証券(掛け金1万円以上または残高100万円以上で手数料167円)
iDeCoを使って賢く老後資金をためよう
老後のための貯蓄として、iDeCoを利用して積み立てをすることで節税にもつながります。その効果を最大限享受するためにも商品選びを十分に行ったうえで、早く始めるほうがお得といえるでしょう。まだ始めていないなら、この機会に申し込みをしてはいかがでしょうか。
文・前田菜緒(CFP・1級ファイナンシャルプランナー)/fuelle
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