前日については、離脱協定案の代替策を探る採決(indicative vote)が行われたものの、8つの案がすべて否決されたこともあり、先行き不透明感が強まったこともあり、ポンドは下落しました。メイ英首相がEU離脱協定案が可決すれば辞任すると表明したものの、北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)が離脱協定案を支持せず、と表明したことも、ポンドの上値を重くしたと考えられます。

さらには、メイ英首相の離脱合意案を支持していた離脱派のリースモグ英保守党議員が「3回目の議会採決でメイ英首相の離脱合意案に反対票を投じ、民主統一党(DUP)を支持する」と述べると、メイ首相案の本採決が議会で承認される道のりはまだまだ遠いとの印象を与えたことも、ポンド売りに寄与しました。ポンド円は期待感により146.503円まで上値を拡大しましたが、その後は、145.544円まで下値を拡大する形となりました。また、本日の東京時間では一時145.138円を示現しています。

ユーロについては、ドラギECB総裁が「必要であれば利上げを遅らせることが可能」と発言したことが嫌気され、ユーロドルは1.12426ドルまで下値を拡大しました。独長期金利が一段と低下しており、ユーロドルの上値の重さが際立っています。本日も、ECB高官の発言が多く予定されていることから、株安を誘導するような発言がでてくるようであれば、ユーロについてはもう一段安になる可能性がありそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

3/31のトルコ地方選を控え、トルコリラのリクイディティが不安定になっています。選挙前にレートを過度に動かしたくない思惑があり、トルコ国内の銀行がトルコ中央銀行から資金調達を行う場合に利用される後期流動性ウィンドウレートが高騰しており、流動性を極端に絞っていることで、スプレッドを中心に非常に不安定な状況になっています。本日の早朝に、トルコリラ円でも約1円急落していることもあり、当面このような動きが継続する可能性が高そうです。

ドル円については、米・1月貿易収支が市場予想570億ドルの赤字に対して、511億ドルの赤字の結果になったことで、想定よりも赤字幅が拡大していないとの見方が強まったことで、ドル円は110.60円付近まで反発する動きが見れらましたが、28-29日の米中通商協議では、米政府当局者が、中国との通商協議は早期合意の可能性は高くないと発言していることもあり、4月3日からのワシントンでの米中通商協議までドル円は上値が抑えらやすい地合いだと思われます。

ポンド売り加速も、再度買い支えられる可能性あり

採決前にポジションメイクした1.3150ドル台でのポンドドルは、1.3250ドルにて手仕舞です。また、想定外にポンド売りが加速しましたが、1.3150ドルの水準まで押し目を付けたため、再度ロングメイクしております。損切りは1.3100ドル下抜け、利食いは再度1.3250ドルに設定します。

海外時間からの流れ

離脱協定案の代替策を探る採決(indicative vote)が行われたものの、8つの案がすべて否決されるというネガティブサプライズがありましたが、一時的に東京時間に値を崩したものの、一旦落ち着きを取り戻してきています。「合意なき離脱」以外は買われ続けた経緯があるため、再度期待感主導でポンドは買い戻される見通しです。

今日の予定

本日は、米・第4四半期GDP(確報値)、南ア中銀政策金利発表、メキシコ中銀政策金利発表などの経済指標が予定されています。要人発言としては、デギンドス・ECB副総裁、クオールズ・FRB副議長、クラリダ・FRB副議長、ウィリアムズ・NY連銀総裁などの講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。