不動産投資の成否は「立地」で決まる。そう言っても過言ではないほど、どのエリアで物件を購入するかというのは、不動産投資の収益性を左右する重要な要素だ。そこで今回は、不動産投資物件の所在エリアの特徴を知るために役立つ、重要なデータについて紹介しよう。

住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数

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(画像=Sergey Nivens/Shutterstock.com)

総務省では毎年7月に「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」を発表している。この数字を見ると、自治体ごとの人口の増減、世帯数の増減を確認できる。住む人がいなければ、賃貸経営は始まらない。言うまでもなく、日本は、人口減少が始まっており、今後、よほどの事態が起きない限り、人口増加に好転する自治体は非常に限られたものになるだろう。少なくとも、現時点で人口が増加傾向にある市町村を選ぶことが、物件選びの前提だと言えるだろう。

国勢調査データからの分析

「政府統計の総合窓口」(https://www.e-stat.go.jp/ )では、国が5年毎に実施する国勢調査のデータを任意のエリアごとに確認できる。不動産投資を検討する上で、役に立つさまざまなデータを確認できるサイトなので、物件のエリア選びの際は、大いに参考にしたい。

年代別、性別で判断する住民の姿

任意のエリアで住んでいる人数、性別、また、住人の年代を把握する。一般的に若い人が多いエリアほど、賃貸需要が期待できる。そこで子どもを生み、育てる可能性も高い。その一方で、高齢者が多い地域では、出生による人口増はあまり望めないが、高齢者向け賃貸物件の需要が生まれる可能性がある。

世帯構成

国勢調査のデータでは、どのような世帯が住んでいるのか、世帯別の人数と各世帯数も確認できるので押さえておきたい。単身者世帯が全世帯数の半数以上を占めるようなエリアであれば、単身者向け賃貸物件の需要が見込める。また、ファミリー層が多いエリアであれば、戸建賃貸などの需要も考えられるので、購入するべき物件の傾向が把握できるだろう。

住居の傾向

世帯の構成人数データだけではなく、住人がどんな住宅に住んでいるのか、また、持家や賃貸物件の割合も把握できる。集合住宅は1~2階建て、3~5階建て、6~10階建て、11階以上といった階数ごとにデータが区分されており、タワマンが多いエリア、アパートが多いエリアなど、集合住宅の傾向もつかめるだろう。賃貸に住む人の割合が分かれば、賃貸物件の需要がどの程度あるのかを見抜くことも可能だ。

公示地価の推移を確認しよう

土地は需給関係で価格が上下するが、「土地価格相場が分かる土地代データ」(https://tochidai.info/ )というサイトで、全国の公示地価、基準地価などのデータが確認できる。地図上で、地価が上昇している場所、下落している場所を簡単に把握できるので、需要のあるエリアを見抜くために確認しても良いし、地価が下落して「お買い得」になっているエリアを探すのにも、便利なサイトになっている。

また、エリアによっては、昭和の頃からの公示地価、基準地価の推移を調べることも可能だ。バブル期には、地価がどれほど異常な値上がりを見せていたのかも分かる。ちなみにバブル期と比較すると、最近の不動産バブルは、非常に限られたエリアのみの現象で、また、値段の上昇幅も、年100%を超えていた時代からすると、緩やかな上昇幅であることが分かる。同じ路線でも、地価が大きく上昇している駅と、あまり値上がりしていない駅、むしろ値下がりしている駅など、いろいろと比較しながら、今後の投資エリアが検討できるだろう。

今回は中古マンションなどの投資物件購入にあたり、参考にしておきたい各種データについて解説した。ここで紹介したデータ以外にも、例えば、将来の人口動向に大きく影響する「自治体の開発計画」などは、ぜひ確認しておきたいデータのひとつである。これは役所などに問い合わせれば確認できる。

情報収集のアンテナを高くして、自信を持って不動産投資を成功させよう。