カーセンサーnet上には40万台以上の物件が掲載されている。物件チェックを日課とする筆者が、その中から偶然見つけた「なんだこの中古車は!!」という物件を紹介しよう!
空港で活躍していた本物の消防車
高級SUVとして人気を博してきた、ランドローバー レンジローバー。常々、自動車メディアから“砂漠のロールスロイス”なんて揶揄されてきた。
しかし、本家本元であるロールスロイスがカリナンというSUVを投入した今、レンジローバーの扱いはどうなるんだ、なんてことを思いながら中古車物件をあさっていた。
最低でも600万円用意しないと現行型はまだまだ厳しいなぁ、先代モデルなら200万円くらいからでも狙えなくはないなぁ、そういえば初代は26年間も生産され続けていまだに人気あるんだよなぁ、なんてツベコベ言いながら、出くわしたのが、今回紹介する物件だ。
へっ、6輪車?
へっ、マニュアル?
へっ、本物の元消防車?
と面白い中古車に大興奮。
「SHOREHAM AIRPORT FIRE & RESCUE(ショアハム飛行場消防レスキュー)」とボディ横に記載されていることから、インターネットで検索してみた。
なんでもイギリス南東部にある、「ブライトン・シティ・エアポート」というこじんまりとし飛行場に配属されていた消防車らしい。
ちなみに、ブライトン・シティ・エアポートが開港したのは1910年のことで、イギリス最古であり、世界最古の商業飛行場なんだという。
しかも現役。空港ターミナルはアール・デコ調で、建築物に詳しくもなければ、さほど興味もない筆者が見ても美しいと思えた。
そんなブライトン・シティ・エアポートに配属されていたのが、この6輪レンジローバーだ。
しかもフルタイム「6WD」
イギリスのカーマイケル(Carmichael)社が手がけた6輪レンジローバーはコマンドーと呼ばれ、消防レスキュー仕様車には「TACR2」という名称が与えられていた。
「T」ruck Fire-fighting 「A」irfield 「C」rash 「R」escue 2 Tonne 6×4 Mark「2」、とやたら長い名前の一部の頭文字が車名になっている。
カーマイケル社は基本的にランドローバー純正部品で6輪車を作るが、付け加えられた二輪は駆動力をもたないものが多い。
だから車名には6×4とあるが、中には6輪駆動も生産されたという。今回の物件はというと、「フルタイム6輪駆動」と記載されているではないか!
200ガロンタンクはファイバー製でなるべく低い位置に搭載することで、ハンドリング性能に悪影響が出ないように工夫されている。
重たくなっている車両の制動力を確保するために、フロントのブレーキラインは通常の1本ではなく2本となっている。そしてサスペンションは全輪、独立懸架式を採用。
消防レスキュー車としての性能はまったくの未知数だが、かつて使われていた本物に乗れる、というだけでもワクワクするではないか。
ブライトン・シティ・エアポートの地図は車内に貼られたままで、これまたワクワクさせてくれる。
333万円という車両価格が高いのか、安いのかさっぱりわからない。
ただ、6輪車で、マニュアルトランスミッションで、元消防レスキュー車、という付加価値をどう捉えるか次第だろう。
もちろん他の人との差別化を重んじる人には、最強な選択肢のようにも思える。
この車が気になった猛者はぜひ、在庫の有無をチェックしてみてほしい。
それにしても奥が深いぜ、中古車!
text/古賀貴司(自動車王国)
photo/カーセンサーnet
(提供:カーセンサー)