東洋経済新報社が全上場企業3,731 社を対象にした調査では、2017 年度の月間平均残業時間は18 時間 57分、平均有給休暇取得日数は10.7 日だったことが分かった。日本の有給取得率は世界最低で推移する一方で、「働き方改革」の名のもとに大企業では残業時間の抑制や有給取得の奨励が進められている。しかし、中小企業を含めた全体平均では、これを下回ると考えられる。こうした中、ユニークな働き方改革によって社員のワークスタイルやオフィス文化を変革させる企業がある。

オカムラ、オフィス家具を通じて働き方改革を提案

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(画像=Undrey / Shutterstock.com)

オフィス家具製造のオカムラ(岡村製作所)は1945年に横浜市で誕生した。ものづくりに情熱を燃やす技術者たちが立ち上げた同社は、家具の生産のかたわら国内初のFFオートマチック車「ミカサ」も生み出したことで知られる。

同社は近年、オフィス家具を通じてワークスタイルやオフィス文化を創造する立場から、ユニークな働き方改革を提案している。

ひとつは、「日本人ワーカーの座りすぎ」に注目した新しいデスクの提案だ。世界20カ国での総座位時間の分布を報告した研究によると、日本人が座っている時間は420分と、サウジアラビアと並んで最長だった。20カ国全体の中央値は300時間であり、日本人は世界の人々より約2時間も座っている時間が長いことがわかる。

オカムラが実施した20~60代のオフィスワーカー1,200人を対象とした調査では、オフィスワーカーの約7割(68.9%)が仕事中座りっぱなしだという。座り過ぎによる死亡リスクの上昇も指摘されており、まずは「立つ」ことが大切だと同社は指摘する。

オフィスワーカーが「立つ」ことを重視する同社は、電動で天板の高さを自由に変えられる下昇降デスク“Swift(スイフト)”を開発。

「書類を読むときは座ったほうが落ち着く」「ランチ後は眠くなるから立って仕事をする」というように、各人の好みに合わせてワークスタイルを変えることができるこのデスクは、マニュライフ生命や楽天などの大手で採用されている。姿勢を変えながらメリハリをもって仕事を進めることで、健康増進効果のみならず、生産性の向上も期待できるという。

東京・赤坂に働き方を考えるラボオフィスを開設

オカムラは2018年4月、東京都港区の赤坂インターシティAirに新ラボオフィス「CO-Do LABO」を開設した。

「CO-Do LABO」の名は、考えて行動することを目的とする造語「考動」に由来する。クリエイティブな働き方を検証する場として、最新のオフィス家具だけでなく、勤務・人事制度改革やダイバシティーの推進、ITツールの活用を通じて社員ひとりひとりや組織の力の向上やコミュニケーションの活性化に寄与することを目指している。

また、2015年から実施している共創空間Open Innovation Biotope "Sea"も同スペース内に移転。これは、同社の働き方改革「WORK MILL(ワークミル)」の一環で、東京・名古屋・大阪で定期的にセミナーなどを開催し、同社および顧客の働き方を考える場としている。

「働き方改革」の時代にあえてオフィスを持つ意味を考える

2019年4月からは、いよいよ「働き方改革関連法」が順次施行される。主には「時間外労働の上限規制の導入」、「年次有給休暇の確実な取得」、「正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止」と、これまでの日本企業における労働慣習を大きく変えるターニングポイントとなることが期待されている。

同時に、テレワークや時短勤務など働き方が多様化する中で、オフィスの在り方も変わりつつある。IT機器が発達したことでオフィスに出勤せずとも、リモートワークに置き換えられる場面も増えているからだ。また、待機児童や介護離職、ワンオペ育児といった社会問題も深刻化しており、オフィスに出勤することが難しい人も増えている。ダイバシティー化を進める中で、働く場を見直すことも不可欠だろう。

そうした中、なぜあえてオフィスを構えるのか――。オフィスに集まって働くことの意味やその価値を今一度見直し、働き方改革に役立ててみてはどうだろうか。(提供:百計ONLINE


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