前日については、注目されていた2度目のIndicative votesの採決が行われ、結果としては単一市場に残るノルウェー方式、EUとの関税同盟、国民の意向を確認する2度目の国民投票などの案を採決しましたが、4つ全ての案が否決されました。EUとの関税同盟については、事前予想では可決されるのではないかとの思惑が強まっていたこともあり、採決公表後のポンドについては、ポンド円が146円付近から145.20円付近まで急落する動きとなりました。正式な決定事項ではないものの、本日2日にメイ英首相は閣議を開き、今後の展望を話し合うと報じられており、3日にMeaningful vote、Indicative votesかも定かではありませんが、何かしらの採決が行われる予定です。

ポンドについては、2度目のIndicative votesの採決にて「EUとの関係を重視したソフトブレグジット(穏健離脱)に傾く」との期待からポンドが買われていましたが、完全に期待が剥落したかたちになっています。特に、EUを離脱しつつも単一市場に残るという「共同市場2.0」と呼ばれる案については、野党・労働党とスコットランド民族党(SNP)は「所属議員にこの案に賛成するよう指示する」としていたものの、結果としては否決となりました。刻々と「合意なき離脱」の可能性が高まっていることもあり、そろそろ方向性を示さないと、本日の早朝同様にポンド売りが加速する動きになりそうです。

エマージング通貨については、格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付け発表を当初予定していた3月29日から延期したことで、目先の投資家心理が改善したことでランド買いが強まっています。ただ、同社は延期の理由や公表予定日を示さなかったこともあり、先行きについては、依然として不透明感が残っています。同じくエマージング通貨であるトルコについても、先行き不透明感は拭えないものの、オーバーナイト金利の高騰などを呼び起こした統一地方選を通過したことにより、一定の買い戻し安心感が強まっています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

明日3日からワシントンで開催される米中通商協議では、進展しているとの楽観的な報道があるものの、知的財産権問題などが難航しているとの悲観的な報道の方がやや優勢になっており、以前のようなリスクオンイベントと考えるには難しいかもしれません。クドロー国家経済会議(NEC)委員長が述べたように、数週間から数カ月に亘って通商協議が行われる可能性があるため、状況によってはドル売りではなくリスクオフイベントに発展する可能性があるため、注意が必要です。この場合は、特に豪ドル売りが強まると思われます。

米・2月小売売上高の悪化を受けて、一時リスク回避の動きが強まるかと思われましたが、その後に発表された米・3月ISM製造業景況指数が市場予想を上回り、その中でも雇用指数が堅調になっており、株価反発の起爆剤になっています。雇用指数については、3か月連続低下していた中での大幅反発だったこともあり、マーケットは素直に好感しているようです。トランプ大統領によるメキシコ関連のツイート、利下げ要求のツイートが一時的には意識されるかもしれませんが、今週は雇用統計週ということもあり、影響は限定的になりそうです。

4/3の採決前に、再び期待感によるポンド買いが強まる想定

結果的にはポンドの下落方向で合ってはいたものの、1.3080ドルのポンドドルショートは、1.3130ドルの逆指値がヒットし、損切りです。ポンドのボラティリティを考えると、利食い、損切り共にもう少しバッファを持たせないと、スパイクの動きでの損切りが増えてしまいそうです。ファンダメンタルズ的には、3日に行われる予定の英国議会での採決の期待感が、事前に再び高まりそうなため、基本的には押し目買いを戦略とします。1.2970ドル下抜けを撤退目途に、1.3030ドル付近での買い戦略。利食いについては、まずは1.3150ドルを上抜けるかどうかを見極めます。

海外時間からの流れ

本日早朝の、2度目のIndicative votesが全否決されるというネガティブサプライズがありましたが、株価への影響は限定的となり、本日も底堅い動きになっています。今週は、週末に米・雇用統計が予定されていることもあり、余程のネガティブサプライズがない限りは、リスク回避の巻き戻しの動きが強まる可能性が高そうです。

今日の予定

本日は、豪中銀(RBA) 政策金利、英・3月建設業PMI、米・2月耐久財受注などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。