株式投資は機関投資家のようなプロでないと勝てないと思っていないだろうか ? 確かにプロのファンドマネージャーは情報量が豊富で、大きな資金を運用しており株価に対する支配力も大きい。ただ、個人投資家が勝てないかというと、そうでもない。ここでは、個人投資家ならではの投資の視点をご紹介したい。

機関投資家が買えない銘柄に着目してみる

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(写真=PIXTA)

機関投資家は企業のIR部署などと直接コンタクトすることも多く、自社のアナリストや証券会社のトップランキングのアナリスト情報も容易に手に入る。市場に対するインパクトや、情報量で個人投資家を圧倒していることは間違いない。それならば、機関投資家と同じ土俵で勝負しなければいいのだ。

機関投資家は内部に運用規定を設けていることが多く、その代表が、「ユニバース (投資対象銘柄) 」だ。機関投資家は、投資対象銘柄をあらかじめ決めていることが多い。運用資金が大きいため、時価総額の小さな銘柄を組み込んでもファンドに対する影響は限定的だ。しかも、時価総額の小さい銘柄ではある程度の金額を買い集めるのにも時間がかかり、自分の買いで値上がりさせてしまったり、自分の売りで値下がりさせてしまったりする。

特に大きいファンドであれば、ユニバースは、時価総額が1,000億円以上とか、時価総額が上位500社以内とか、東証上場企業のみで新興市場は認めないといった基準を設けているのが一般的だ。そのため、新興市場で時価総額が小さい (スモールキャップ) 銘柄は機関投資家の投資対象から自然と外れることになる。

スモールキャップ銘柄は将来、機関投資家のユニバースに入れば大きく買われる可能性がある。機関投資家でもユニバースに入っていない銘柄の情報はさほど持っていない。そういった銘柄であれば個人投資家でも勝てる可能性があるのだ。他の基準の例としては、投資できない銘柄を決めていることにある。たとえば、下記のような企業は保有できない基準を持つファンドも多い。

・粉飾決算などガバナンス上の不祥事を起こした企業
・赤字企業
・経営危機で株価が100円以下に売られた企業
・PERなどのバリュエーションが極端に高い企業

したがって、不祥事が明らかになったらストップ安であろうと強制的に売ることを決めているファンドがある。こういった機関投資家が売らざるを得ない状況で売られすぎた銘柄をチェックしてみるのも一つの視点だ。

素人でもプロに勝てる具体的な方法

素人でもプロに勝てる具体的な方法について3つのポイントをご紹介していこう。

【新興市場の銘柄に詳しくなる】
新興銘柄は詳しく調べることで機関投資家より情報を持つことができる可能性がある。マザーズ上場時に提出が義務づけられている「成長可能性に関する説明資料」などをしっかり分析することで、個人投資家でも企業のビジネスモデルや将来の向かう方向などをしっかり理解することができる。将来、ユニバースに入って機関投資家が買ってくれそうな銘柄を青田買いする戦略はどうだろうか ?
ただし、その分、価格変動が大きい、流動性が低い、企業の継続性、収益性の基準が低いことがリスク要因として考えられることから注意は必要である。

【柔軟に投資戦略を選択する】
個人投資家は買いたいときに好きな数量を買うことができ、売りたいときにも好きな数量を売ることができる。小回りがきくと言い換えることもできるだろうか。

上述したように、機関投資家は運用資金の規模が大きい。一度の買いや売りを入れてしまうと株価がストップ高やストップ安となってしまうため、数日かけて注文をする必要がある。もちろん、個人でも時価総額が小さければ株価は動くが、資金規模の大きさから言えば投資できる銘柄の対象数は多い。そういった意味で個人投資家に一定の強みがあると言えるだろう。

機関投資家は資金を受託する立場として基本的にはどのような相場でも資金を運用する必要があるが (ファンドによっては、予めキャッシュポジションに切り替えることができる運用戦略が入っているものもある) 、個人投資家は「投資を休む」選択肢も取ることができる。現金化してトレンドが出るまでは様子を見るといった手段を取ることができる点も強みと言えるだろう。

ほかにも、大幅な下落局面においても柔軟性の強みが発揮する。機関投資家の中には一定の下落率を上回ると売却しなければならない規定を設けているところもあり、強制的に損失が確定されてしまう。保有し続ける選択肢を取れる個人投資家であれば、一時的には評価損が膨らむかもしれないが、持ち直すまで待つこともできるというわけだ。

【株主優待株への投資を検討する】
個人投資家の狙いとして人気が高い株主優待銘柄に着目するのも面白い。機関投資家にとっては株主優待はあまり意味がないからだ。機関投資家が株主優待をもらったとしてもファンドマネージャーがそれを使うわけにはいかない。その権利はスポンサーに帰属するからだ。基本的には換金可能なものは換金してファンドに戻している。したがって、株主優待株投資を楽しめるのは個人投資家のメリットだ。株価が安いときに株主優待の魅力的な株を長期投資で買うのは個人投資家の利にかなった投資方法といえるだろう。

こうしてみていくと、機関投資家も実際には様々な内部ルールに縛られていることが分かる。個人投資家はそういった情報も銘柄選定の参考にしてみてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行

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