前日については、トランプ大統領は劉鶴中国副首相が会談し、トランプ大統領は中国との通商合意は「まだ先の話だ」と述べ、「非常に歴史的」な合意が1ヶ月程で発表される可能性があるとしていました。そんな中、新華社通信が米国での貿易協議で大幅な進展とのヘッドラインを習・中国国家主席の発言として公表し、その後も、劉鶴中国副首相の発言として、テキストに関して新たなコンセンサスに達したと報じており、マーケットは一気にリスクオンの動きに傾き、ドル円は本日の東京時間で111.80円付近まで上値を拡大しています。
英国のEU離脱問題については、メイ英首相報道官が「メイ首相と労働党のコービン党首のチームは明日5日に再び協議する」「10日のEUサミット前に進展することが目標」と発言しているものの、EUは英議会による離脱協定案の承認を受け入れの条件としているため、トントン拍子に事が進む保証はありません。本日にでも、メイ英首相はツゥスクEU大統領宛に離脱延期の書簡を送ると報道されていますが、メイ英首相は書簡を送る前に閣僚に意見を求めるとも言われており、長期離脱延期阻止に動いている閣僚との軋轢が表にでてくれば、ポンドの上値を抑制する材料になりそうです。
トルコリラについては、欧州復興開発銀行(EBRD)幹部が「EBRDはトルコの不良債権関連の取り組み強化に関心」と述べ、トルコ当局からの不良債権処理に関する提案があれば「検討し、受け入れる用意がある」との考えを示しました。また、大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が「トルコ、現時点で格下げのリスクはない」との見解を示していることも、トルコリラの下値をサポートしたものと考えられます。トルコリラ円は一時20円の大台を回復し、20.032円まで上値を拡大しました。
今後の見通し
本日は、シンプルに米雇用統計が重要視される日になりそうです。英国議会でも、本日は主要な採決が予定されておらず、米中貿易協議についてもポジティブな内容が東京時間早々から出ていることもあり、経済指標の良し悪しが直接マーケットに結び付きそうです。今回の、非農業部門雇用者数は17.7万人増予想になっており、前回のネガティブサプライズがである2.5万人増からは大幅に改善する見通しです。2月の数字は悪天候によるものとされており、裏付けされるかのようにISM製造業・非製造業景気指数、小売売上高、耐久財受注も悪化していました。3月のISM製造業・非製造業「雇用」指数については、既に改善される結果になっていることから、本日の雇用統計についてはも、ある程度強い内容になるのではないでしょうか。
米中貿易協議が順調である旨のヘッドラインにより、最も敏感に反応しているのが貿易関連にて中国と密接な関係にある豪ドルです。本日も豪ドル円は一時79.60円台まで上昇するなど、米中貿易協議のポジティブ要因については、過剰に反応する傾向があります。今後も、豪ドルについては、底堅い動きになる可能性がありそうです。
トルコリラですが、上述した内容で前日は上値を拡大しましたが、もう一つの材料としては、トルコ中銀の外貨準備高が3月29日時点で同月22日時点から40億ドル程度増加したことがあげられます。大手米銀からのレポートによると、トルコ外貨準備高の減少が大きな懸念として指摘されており、これがトルコリラ売りに繋がった経緯がありますが、実際の数字がアナリストの指摘を払拭したかたちになっていることから、目先トルコリラの買い戻しも入りやすい状況にあると思われます。
ポンドの大幅上昇は来週以降か
ポンドドル、1.3120ドルでのロング、当初の押し目ラインである1.3080にも達したため、現在は1.3100ドルがコストになっています。一時的にポンド売りにはなっていますが、これまでの経緯を考えると、最悪の状況させ脱することができれば自ずとポンドは買い戻しの動きになると思われます。損切りは1.3050ドル、利食いは1.3270ドル想定です。
海外時間からの流れ
英国のEU離脱案、米中貿易協議が現在の主要トピックスですが、一部通信社がサウジアラビア筋の情報として伝えたところによると、世界最大の原油輸出国サウジが原油の決済通貨としてドルを使用しないことを協議中と報じています。背景としては、米下院がイエメン内戦に介入するサウジへの軍事支援の停止を求める決議案を賛成多数で可決し、サウジはこれに対して強く反発していることが要因です。トランプ大統領はサウジアラビアとの関係を重要視していることもあり、拒否権を発動する可能性もあり、状況によっては為替の動きに影響を与える材料になりそうです。
今日の予定
本日は、米雇用統計、加雇用統計などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。