不動産投資によって得られる主な収入は家賃収入だが、この家賃収入には、「家賃滞納リスク」と「空室リスク」という2つのリスクが伴う。いずれも不動産オーナーにとって、無縁ではいられないものだ。今回は、この2つのリスクとその対策について考えてみよう。

家賃滞納リスクとその対策とは?

不動産投資
(画像=CHIRAPHAN / Shutterstock.com)

言うまでもなく、不動産投資において「家賃収入を確実に得る」ことは重要だ。例えば、10部屋あるワンルームの賃貸マンションを所有し、月額賃料6万円で賃貸した場合、毎月60万円、1年間で720万円の家賃収入を得ることができる。だが、もしもこのマンションで、家賃の滞納者が2人出てしまうと、毎月12万円、1年間で実に144万円が未納状態となる。しかも、その未納分は、いつ入金されるか分からないのだ。家賃滞納者がいると、安定した家賃収入を得ることができなくなり、当初の資金計画が狂うことになる。

賃貸物件のオーナーにとって、家賃の回収は大切な業務であるが、毎月の入金管理や滞納者への督促は、時間や手間を要する作業でもある。この家賃滞納リスクの対策として、外部の管理会社に依頼するという方法がある。管理会社はオーナーに代わって、委託された賃貸物件を管理する会社だ。不動産管理のプロに依頼し、家賃の滞納が発生したときに、督促などの業務を代行してもらう。管理会社によっては、滞納された家賃の数ヵ月分について保証してくれることもある。

管理会社は、家賃の回収業務以外にも、エントランス・廊下・エレベーターといった賃貸物件の共用部分の清掃やメンテナンス、契約更新、退去時の契約手続きや敷金精算などの代行業務も行う。これらのサービスは、特に「サラリーマン大家」のような専業ではないオーナーにとって、貴重な存在となるだろう。オーナーはすべての業務を自ら背負うのではなく、一定の管理委託料を支払い、家賃回収業務などをプロに委託することも検討しよう。

空室リスクとその対策とは?

家賃を支払ってくれるのは入居者だ。入居者を確保し、空室期間を短くすることは、不動産投資の最重要課題と言っていいだろう。空室期間が長引くと、その部屋からの家賃は見込めなくなり、これも安定した賃貸経営を妨げる要因になる。

この空室対策として必要なのは、借り主にとって条件の良い物件を選ぶこと。逆に言えば、なるべく条件が悪くない物件を選ぶことである。借り主にとっての「悪条件」とは何だろうか。例えば、ファミリータイプなら、家事をするときの利便性は、生活上の大きな課題である。「日当たりが悪い」、「キッチンなどの水回りの設備が古い」といった物件は、ファミリー層には敬遠されてしまうだろう。

また、単身者をターゲットにした場合は、通勤や通学の不便を想定して「最寄り駅から遠い」「駐輪場・バイク置き場などがない」、「ターミナル駅までのアクセスの悪い駅が最寄り駅となっている」といった物件は、敬遠される可能性が高い。一人暮らしでは、必須とされているコンビニエンスストアなどが近隣にない場合もマイナス要素になる。

どの層の借り主にも共通している悪条件としては、「ゴミ収集場が散らかっている」「廊下やエントランスが汚れている」「郵便受けに広告チラシが散乱している」といった管理状態の悪さだ。その他の悪条件としては、幹線道路や鉄道線路に面しているなどの騒音の問題、エレベーターが古い、築年数がたっているなどの老朽化の問題、セキュリティーの問題などが挙げられる。

当然、上記のような悪条件がまったくない物件を探すのは難しいだろう。しかし、事前の情報収集を綿密に行い、悪条件がなるべく少ない物件を選ぶ努力をすることで、入居者を確保して空室期間を短くすることは可能である。

不動産投資における「家賃滞納リスク」と「空室リスク」という2大リスクついて解説してきた。いずれも必須の対策ではあるが、一人のオーナーだけで、すべてを対応するのは厳しいかもしれない。初心者であればなおさらだ。良い管理会社を上手に利用することで、オーナーの負担は減るし、入居者の満足度も高まり、長期間入居してもらえるだろう。信頼できる管理会社を見つけることが、一番のリスク対策かもしれない。