人生の三大支出のひとつ「マイホーム」。マイホームの購入に多くの人が住宅ローンを利用しているが、返済金額や返済期間の長さから繰り上げ返済を検討する人もいるはずだ。今回はケーススタディで「繰り上げ返済」の活用について考えてみたい。

住宅ローンの繰り上げ返済とは

住宅ローン
(画像=iyomemo)

住宅ローンの繰り上げ返済とは毎月の返済金額とは別に、自分で決めた金額を任意で返済するというものだ。繰り上げ返済のメリットと言えば、繰り上げ返済によって借入金額が減ることに加え、将来支払うはずであった利息を減らせるので、結果として総支払額を抑えられる点だ。

例えば繰り上げ返済をしたことによって総支払額が200万円抑えられたら、200万円分を別の用途に使えるので資金効率から見ても有効だろう。

繰り上げ返済をケーススタディで考えてみよう

住宅ローンの繰り上げ返済を検討するケースについて2つを考えてみよう。

●Case1.子どもの成長とともに教育費が増えていく!毎月の支払い額を減らしたい

世帯主:朝日さん(35歳)会社員
妻:夕美さん(32歳)会社員※11月に第2子誕生予定
子ども:太陽くん(6歳)4月から小学校に入学
※仮名

朝日さん(35歳)は33歳の時マイホームを購入。今年の11月には第2子が誕生する予定だ。家族が増えれば生活費や教育費がかかる。今は良くてもゆくゆくは教育費にかかる比重が大きくなり、住宅ローンの返済が重しとなる。

この場合は、残りの返済期間は変えずに、毎月の返済金額を減らすことができる「返済額軽減型」を活用するのがよいだろう。ライフイベントにあわせて必要資金がいくらになるのかを試算してお金を貯めるようにしたい。そのうえで、月々の住宅ローンの返済金額が減らすのが最善だ。

●Case2.1ヵ月でも早く完済したい!利息負担をとにかく減らしたい

世帯主:春弥さん(40歳)会社員
妻:夏美さん(35歳)パート
子ども:秋人さん(10歳)
父親:雪蔵(70歳)年金収入あり
母親:吹雪さん(68歳)年金収入あり
犬1匹
※仮名

2世帯住宅を購入。親にも資金を出してもらい、住宅ローンの残債は1,500万円

春弥さんは30歳で二世帯住宅を購入。代々受け継がれる家を2世帯住宅にしたので土地代はかからず、両親からも援助を受けたため、残りの住宅ローンは1,500万円だ。40歳という年齢を考えてもじっくり返済してもよいと思う一方で「多額の資産を借り入れている」状況に心理的負担を感じている。1ヵ月でも早く完済して「すっきりしたい」気持ちが強い。

春弥さんのように住宅ローンがあることで気持ちが重たくなってしまい、「とにかく借り入れしている状況が嫌で早く返済したい」場合は、毎月の返済金額は変えずに、残りの返済期間を短くする「返済期間短縮型」を活用したい。返済期間短縮型は、毎月の返済金額は変わらないが、返済期間が短縮されるため、繰り上げ返済すればするほど、早期完済が可能になる。

今後のライフイベントを検討しつつ住宅ローンを返済する場合は、毎月の返済金額を減らすことができる「返済額軽減型」を活用し、早期完済を目指す場合は「返済期間短縮型」がよいだろう。なお、総支払額は返済期間が短縮され、将来支払う利息が少なくなる「返済期間短縮型」のほうが少ないことも覚えておきたい。

注意点も知っておこう!住宅ローンの繰り上げ返済

しかし、住宅ローンの繰り上げ返済を検討する時には注意点もある。特にCase2の春弥さん一家のように「返済期間短縮型」での繰り上げ返済では、「早く返済したい」という強い思いから貯めた分の大半を返済に充てようとする人もいる。しかし、住宅ローンは教育ローンや介護ローン、フリーローンなど、他のローンに比べると金利が低いのが特徴だ。まとまった金額があるからと安易に繰り上げ返済すると、急な入り用が生じた時に資金を捻出できず、目的に応じて教育ローンや介護ローン、フリーローンなど新たな借り入れが必要になってしまう。その時の借入金利が住宅ローン金利より高ければ、金利分の返済額が上乗せされてしまうので、住宅ローンをそのまま借りておけばよかったと後悔することになりかねない。

そのため、今後のライフイベントや家計の変化をよく考えておかねばならない。さらに繰り上げ返済後に急な入り用が発生しても対応できるように半年くらいの生活費や予備費を準備することをおすすめしたい。家計の状況をよく考えて、無理のない返済が重要だ。

繰り上げ返済はライフイベントと収支をよく考えよう

住宅ローンの繰り上げ返済について、2つのケーススタディを用いて説明を行ってきた。繰り上げ返済をする時にも安易に返済をするのではなく、2つのケースのどちらを活用すべきかをよく考えることだ。そのうえで、ライフイベントを踏まえていつまでにいくら繰り上げ返済を行えば、安定した収支生活していけるかというマネープランをよく検討すべきだろう。一生で一番大きな買い物と言われるマイホーム。完済までのロードマップを見据えたい。(提供:iyomemo

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