「非合理的な仕事」を職場からなくすコツとは?

生産性,河野英太郎
(画像=THE21オンライン)

現代社会は、「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれている。VUCAとは、「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」を指す言葉で、近年ビジネスシーンでも話題になっているキーワードの1つだ。

今回は、そんな先の見えない時代に生き残るための仕事術をまとめた『本当は大切なのに誰も教えてくれない VUCA時代の仕事のキホン』を上梓した河野英太郎氏に、「限られた時間で成果を出す」ためのスキルについて、解説していただいた。

生産性の向上には「2種類ある」

前回の記事でお話ししたように、私たち現代のビジネスパーソンは、「VUCAの時代」=明確な答えがない環境に置かれています。

VUCAが仕事に与える影響の最たるものは、「ビジネスサイクルの短縮」です。

かつてのように、長い時間をかけて優れた成果を出そうとしても、その間に「優れた成果」の定義が変わることすらある時代になってしまいました。その結果、どの企業も短い時間で優れた成果を出すために、「生産性を上げろ!」と一様に叫んでいます。

しかし、重要なのは、ここで求められている生産性向上の解釈です。

「生産性」を、投入した時間分の成果、と定義すると、その向上には、次の2種類の解釈ができます。

1.分子を増やす(時間を固定して、より多くの成果を上げる)
  例:一定の時間をかけて10の成果だったものを、12の成果に上げる
2.分母を減らす(成果を固定して、より少ない時間で達成する)
  例:一定の成果を出すのに10時間かかっていたものを、8時間で達成する

生産性,河野英太郎
(画像=THE21オンライン)

この2つの解釈は、結論は同じでも、我々の心理面に与える影響は大きく違います。

実は、1の考え方では、生産性の向上につながりにくいのです。

多くのビジネスパーソンは毎日必死に働いています。その状況にさらにムチ打つように、成果を何十%上げろ、と言っても、モチベーションは上がりません。結果的に残業や社員のストレスにつながるのがオチです。

一方、生産性の高い職場やビジネスパーソンは、必ず2の考え方で働いています。

同じ作業を終えるのに、どうすればより早く済ませられるか、を考えるわけです。シンプルに考えて、このほうがよりモチベーションも湧くというものです。

幸いにも、それまでより短い時間で成果が達成できれば、余った時間をプラスアルファに回すことができます。

その結果、同じ時間でより高い成果を出すことも、自然と可能になります。

ですから、まず皆さんに知っていただきたいのは、「ある成果を今までよりも短い時間で達成する」ための工夫が、生産性の向上につながるという事実です。