ヘッジファンドーー投資初心者にとって彼らほど謎めいた存在はないかもしれない。彼らは株式市場はもちろん、為替や債券、コモディティーなど様々なマーケットで巨額の資金を運用し、ときにはその動向が大きな価格変動をもたらすこともある。だが、ヘッジファンドと一口に言ってもその投資戦略は多様だ。たとえば株式の買いと売りを組み合わせた「株式ロング・ショート」と呼ばれる伝統的なストラテジーや、著名投資家ジョージ・ソロス氏の戦略としても知られる「グローバル・マクロ」、企業のM&Aをはじめとしたイベントの際のミスプライスを収益機会にする「イベント・ドリブン」など、投資対象や手法により様々な戦略に分類されている。
そうした中で注目されるのは、4月9日の東京株式市場でソニー <6758> が前日比9%高と急伸したことだ。背景には一部メディアが「サード・ポイント」のソニー株取得を報じたことにある。サード・ポイントは著名投資家ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンドで、その戦略から「アクティビスト・ファンド(以下、アクティビスト)」とも呼ばれている。
アクティビストとは何か? 市場はアクティビストに何を期待しているのか? 今回はアクティビストの出現で大商いに沸いたソニー株の「そのとき」に焦点を当ててみたい。