前日については、日米貿易協議の進展待ちの動きとなり、ドル円で安値111.891円、高値112.094円と非常に値幅の小さな一日となりました。ドル円以外では、英議会が休会中のためブレグジット絡みの報道も皆無であり、欧州通貨も同様に全体的に小動きとなりました。また、今週にも発表される米財務省の為替政策報告書への警戒感もあり、上下に動きづらい地合いとなりました。

茂木経済財政相が、昨年9月の日米首脳会談後に発表した共同声明に沿って交渉を進めることを確認したと発言しています。自動車関連の質問に対しては、「明日詳細は協議する」との発言をしていることから、本日については、引き続き様子見の動きが強まりそうです。

また、マクロン仏大統領の「黄色いベスト運動」への政策がユーロの動向に大きく影響を与えるだろうと考えられていましたが、ノートルダム大聖堂の火災があったため、マクロン仏大統領の政策発表は延期されます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日公表された豪州準備銀行(RBA)議事要旨では「短期的に政策金利を変更する強い根拠はない」としながらも、「インフレが低水準を維持し、失業率が上がれば、利下げは適切」「インフレを鑑みれば、目先の利上げ確率は低い」とのハト派色が強い見解が示されたことで豪ドル売りが強まりました。一旦RBAから利下げに対する姿勢はトーンダウンしたかに思われましたが、再び「利下げ」というキーワードがテーブルに乗った以上は、豪ドルを含めた資源国通貨の上値は重くなることを想定すべきかもしれません。

前週9日に、トランプ政権が欧州連合(EU)からの輸入品110億ドルに関税を導入すると表明しており、報復関税により欧米通商摩擦が激化する可能性が指摘されている中で、明日、欧州委員会は対米報復関税(約200億ユーロ)を公表予定です。既にこのような情報が流れている時点で、ある程度は織り込まれているとは思われますが、今後の欧米の関係を踏まえると、じりじりとユーロの上値を抑える可能性が高そうです。

ポンドの次は日米貿易協議主導のドルの戦略

1.3030ドルのポンドドルのロングですが、1.3120付近まで達したため、一旦成行での手仕舞でこのトレードは完了です。一旦ポンドからは距離を置き、日米貿易協議が注目されているドルの取引に移行したいと思います。ファンダメンタルズ的には、事前に期待感が高まっていた米中貿易協議でさえ一時ドル売りが強まる展開になったため、日米貿易協議についても一旦は下落基調が強まると考えています。112.10-20円付近での戻り売り戦略、利食いは111.40円、損切りは112.50円付近を想定しています。

海外時間からの流れ

前日発表されたゴールドマンサックス・シティグループの決算が期待外れの内容となったことで、銀行株の重しとなり、これまで継続していたリスクオン地合いに一服感が出ています。為替相場でも、円安に一服感が出ていることもあり、上値を追う展開は控えられ、為替報告書待ちの状況になっています。本日も重要な企業決算発表(Bank of America, Netflix, BlackRockなど)が予定されており、株価動向に影響を与えそうです。

今日の予定

本日は、英・3月失業率、独・4月ZEW景況感調査、米・3月鉱工業生産などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。