おひとりさまで老後に不安を感じている人は多いと思います。しかしほとんどの人は将来のお金のことは見て見ぬフリをしているのではないでしょうか。今回はそんな人のために、1人でできる老後資金のシミュレーション方法をご紹介します。もしかしたら老後に必要になるお金が多くてショックを受けるかもしれませんが、まだ働いているうちならさまざまな対策が取れます。この機会にぜひ自分に必要なお金を知っておきましょう。

老後の支出を試算しよう

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(画像=naka-stockphoto/Shutterstock.com)

40歳女性の平均余命は47.9年

厚生労働省が発表した「平成29年簡易生命表」によると、40歳女性の平均余命は47.9年でした。つまり、今40歳の人は平均でおよそ88歳まで生きる計算になります。老後の生活費も88歳までを目処に考えましょう。

持ち家か賃貸かで大きく変わる住居費

老後の住居費は持ち家か賃貸かで大きく変わります。持ち家の場合、住宅ローンが払い終わっていれば、かかる費用は設備の修繕や維持費だけでよくなります。月々1万円程度を見積もっておけばいいでしょう。

対して賃貸はずっと家賃を払う必要があります。今住んでいる部屋の家賃でもいいですし、将来自分がどの程度の広さの部屋に住みたいかという希望から、だいたいの家賃を考えてみるのもいいでしょう。

月々必要な生活費は?

総務省統計局が発表している家計調査報告(家計収支編)によると、35〜59歳の単身女性の1ヵ月の生活費(住居費を除く)は16万2,901円、60歳以上の方では13万6,776円でした。

生活費は個人差がありますが、上記の統計から、60歳以降の生活費はだいたい今の1ヵ月の支出の8割程度になると考えましょう。現役世代より食費や交通・通信費などが抑えられる傾向があります。

老後の収入はどれぐらいある?

老後資金の基本となる年金

老後資金の軸となる収入は、年金と退職金です。

まず年金に関してですが、厚生労働省が発表した「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在65歳以上の方の厚生年金保険加入者の平均年金月額は、男性で17万4,535円、女性で10万8,776円でした。

女性の方が少ないのは、現在厚生年金をもらっている世代は結婚して専業主婦になる率も高く、そもそも厚生年金保険に加入していた期間が短い人が多いからです。自分の年金の正確な額は「ねんきん定期便」などで確認しましょう。

退職金は個人差が大きい

次に退職金ですが、これは会社によって大きく異なるので、自分の退職金の額を知りたい場合は、就業規則や賃金規則を確認してみましょう。

また、最近では確定拠出年金など、退職金の運用を従業員に任せる制度を導入する会社も増えてきました。この場合、「退職金は1,000万円を目標に運用」などとゴールを先に設定しておくのもおすすめです。

実際にシミュレーションを行ってみよう

シミュレーションの具体例

では、老後資金をシミュレーションしてみましょう。今回は以下の人を例に計算を行います。

40歳の会社員Aさん(平均年収400万円、大学卒業後から厚生年金に加入)
老後の生活費:家賃5万5,000円 + 生活費12万5,000円 = 18万円
老後の収入:年金受給額の予定は13万5,000円、退職金は1,000万円を目標に運用中

まず、老後の生活費ですが、平均寿命の88歳まで月額18万円が毎月かかるので、60歳以降の支出の合計は、
18万円 × 12ヵ月 ×(88 – 60)= 6,047万円
となります。

次に収入です。年金は65歳以降、88歳まで毎月もらえるので、退職金と合わせた老後の収入は、
13万5,000円 × 12ヵ月 ×(88 – 65)+ 1,000万円(退職金) = 4,726万円
です。

足りない分は、貯金、仕事、投資で備える

上の例であれば、将来の老後資金は約1,320万円不足する計算になります。こうして具体的に不足する金額がわかれば、今から対策を立てることができます。

もっとも一般的なのは、貯金で備える方法です。60歳までに1,320万円を貯めることができれば、老後必要な資金はクリアできます。

もし不足する金額が大きくてとても貯金では用意できないと思うなら、仕事の期間を長くしたり、投資で増やしましょう。特に仕事は効果が大きく、例えば月給20万円の仕事であれば、5年間働く期間を長くするだけで、20万円 × 12ヵ月 × 5年間 = 1,200万円のプラスになります。

必要な老後資金を知って、計画的に準備を

今回は老後に必要な資金のシミュレーション方法をご紹介しました。老後は誰しも不安に思いますが、定年間近になって取れる対策は限られます。早いうちに自分が必要になる資金を計算し、それに向かって対策を始めましょう。もちろん予定通りに行くことは少ないですが、一度対策を取り始めていれば、都度その方向を修正していけばいいだけです。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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