期日のない目標は「絵に描いた餅」に終わる

目標をプロセスKPIにまで分解することができたら、それぞれのプロセスKPIをいつまでに達成するのか、期日も決めます。この期日を決めないと、せっかく設定したプロセスKPIも、絵に描いた餅に終わってしまいますから注意が必要です。

期日をあらかじめ決めるのは、目標に限ったことではありません。すべての仕事において、その仕事をいつまでに終わらせるのか、前もって期日を決めることが重要で、期日なきタスク管理は仕事とは言えません。

ところが、期日を決めないチームリーダーが意外に多いのではないでしょうか。期日をきちんと決めるか、そうでないかで成果が大きく変わってきます。

そして、メンバーに仕事を渡すときも、必ず「いつまでに」という期日を決めて渡すか、メンバーに「いつまでにできる?」と聞き、「〇日までにやります」などと、メンバー自身に期日を決めさせることが大切です。

プロセスKPIを「行動目標」に落とす

目標を三つ程度の重要なKPIに分解し、それぞれのプロセスKPIも設定する。これだけでも、目標達成のプロセスが見えてきますが、私はさらにそのプロセスKPIを達成するための「行動目標(アクションプラン)」まで設定するようにしています。

たとえば、プリモ・ジャパンでは「集客」に関して次のような行動目標を設定していました。

「テイクアンドギヴ・ニーズの決裁者にアポイントをとり、月2回訪問し、新作のキャンペーンや新しいノベルティについて説明するとともにパンフレットの補充活動を行う」

また、集客をチャネルごとに分類した最後には、「お通りがかり」という項目があり、通りがかりの人をどれだけ店内に呼び込むかというプロセスKPIを決めていました。

この「お通りがかり」の行動目標は次のようなものでした。

「店員は、1時間ごとに立つ位置とイーゼル(立て看板)の位置を変え、必ず店の前に目線を向ける。店頭の窓ふきなどをすることで、店の中に動きを出していく。ドアは必ず半分開けておき、通りかかった人たちが目を向けた瞬間に必ず笑顔であいさつする」

商店街の中にあった店では、店員が外に立ち、カップルに対していやらしくない程度に、「指輪をお探しですか?」と声をかけ、「よろしければ」とパンフレットを渡しながら誘導したりもしていました。こうした工夫をするかしないかで、月間の通りがかり客数はまったく違うものになりました。

KPI達成確率,髙橋恭介
(画像=THE21オンライン)

あしたのチームでも、集客は「インバウンドからの問い合わせ」「外部パートナーからの紹介」「既存のお客様からの紹介」「地銀や商工会議所との共同開催セミナー」などに分類され、それぞれのプロセスKPIを設定しています。

集客は、カテゴリーが細分化されればされるほど、一つひとつが戦術におけるチャネルになります。チャネルは多ければ多いほど複合的になり、目標を達成する確率が上がっていきます。

これは、大企業、中小企業問わず、BtoB、BtoC問わず、です。

髙橋恭介(たかはし・きょうすけ)
〔株〕あしたのチーム 代表取締役会長/一般社団法人 スマートワーク推進機構 代表理事
1974年、千葉県松戸市生まれ。興銀リース〔株〕を経て、2002年に創業間もないベンチャー企業だったプリモ・ジャパン〔株〕に入社。副社長として人事業務に携わり、社員数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。同社での経験を生かし、2008年、〔株〕あしたのチームを設立、代表取締役社長に就任。現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海・香港に現地法人を設立するまでに事業を拡大。約2,000社の中小・ベンチャー企業に対して、人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供している。(『THE21オンライン』2019年03月08日 公開)

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