2019年4月24日13時過ぎに井口喜雄さんに直接聞いた現在の相場観とFXトレード戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)
現在の為替相場の傾向や相場観
S&P500が過去最高値を更新するなど良好な米ファンダメンタルを背景にドル高となっているが、米ドル/円に関しては膠着状態が続いている。ゴールデンウィークを控えた本邦実需の売りが上値を重くしているほか、明日25日(木)以降のイベントを見極めたいとの思惑があるのだろう。明日25日(木)に日銀金融政策決定会合、日米財務相会談、日米物品貿易協定があり、26日(金)からは日米首脳会談が予定されている。
現在の為替相場の戦略やスタンス
まず、日銀金融政策決定会合は、展望リポートでGDPの下方修正が見込まれており、景気後退を背景に黒田日銀総裁が黒田バズーカ第5弾を打ち出してくるのではないかといった声が聞こえてくる。しかし、日銀がこれ以上の金融緩和に踏み切ることは困難との見方が多い。黒田バズーカへの期待感がマーケットに出てしまっただけに日銀が何も策を講じなかった場合は円高への警戒が必要かもしれない。また、日銀会合と同じ日に予定されている麻生財務相とムニューシン米財務長官の日米財務相会談も円高に振れやすいイベントだ。ムニューシン米財務長官が貿易合意に盛り込むと述べていた「為替条項」で実質的な通貨切り下げの自制を求めてくればリスクオフの地合いになる。また、米財務省の「為替政策報告書」もそろそろ発表される時期だけに週末にかけては円高リスクが高いと考えている。
ゴールデンウィーク(GW)10連休での注意点
今週末27日(土)からの10連休を控えて、マーケットでは日本の祝日を狙ったフラッシュクラッシュへの警戒感が高まっている。日本の祝日が狙われる原因は流動性の低さにある。通常であれば、実需の買いオーダー等に阻まれて市場を動かすことはできないが、日本勢のいない薄商いの時間帯(6時00分から7時00分くらい)であれば市場操作できると考えているからだ。このようにヘッジファンドは常にタイミングを見計らっており、今回の大型連休も為替は6日間マーケットが開いていることから警戒はしておくべきだろう。ただ、今回の連休に関しては多くの金融機関がクラッシュを警戒して万全の態勢で臨んでおり、ヘッジファンドも容易には崩せないだろう。また、米ドル/円、クロス円はあしもとで円安傾向にあったことからロスカットを巻き込んだ下落というのも考えにくく、今回は無風で終わる可能性もあるだろう。しかし、1点に気になるのはトルコリラだ。トルコリラ/円は対米関係悪化、エルドアン政権の不透明感、原油価格上昇などを背景に下値を切り下げている。ただでさえ狙われやすいトルコリラがフラッシュクラッシュ後の安値を更新しようかという値位置にあるのもリスクだろう。つられやすい南アフリカなどの新興国はもちろん、メジャー通貨まで派生する可能性がないとは言えない。念のためテールリスクは頭に入れておきたい。また、フラッシュクラッシュは考え方を変えればチャンスでもある。クラッシュによる値動きは実勢を反映していない歪んだ状態であり、多くの場合価格は回帰する。そのためクラッシュ後のリバウンド狙いはゴールデンウィーク期間中戦略の一つとして持っておいてもいいだろう。
井口喜雄
トレイダーズ証券市場部ディーリング課。認定テクニカルアナリスト。1998年より金融機関に従事し、ディーリング業務に携わる。2009年からみんなのFXに在籍し、ドル円や欧州主要通貨を主戦場にディーリング業務を行う。ファンダメンタルズからみた為替分析に精通してるほか、テクニカルを利用した短期予測にも定評がある。月刊 FX攻略.comで「現役為替ディーラーが本音で語る”Dealer’s EYE”」を連載中。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。