リーダーは「色がつく」までイメージせよ

会議の生産性,髙橋恭介
(画像=THE21オンライン)

会議はムダなもの。生産性向上のためにはできる限り減らしたほうがいい──。

そう思っている人が多いのではないだろうか。

一方、今注目の急成長企業・株式会社あしたのチームの髙橋恭介会長は、「会議こそチームの生産性を上げるものだ」と語る。

そこで、『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』を発刊した同社の髙橋恭介会長に、「会議の生産性を高める秘訣」についてうかがった。

「会議はムダ」ではない

会議の質は、間違いなく進行役で決まります。

たとえば、頭の回転が遅い人が進行役を務めれば、もっさりとした、みんながイライラするような会議になってしまいます。進行役のテンションが低ければ、当然ながらテンションの低い会議になります。進行役以上の会議にはならないのです。特に会議を仕切ることが多いチームリーダーは、このことを肝に銘じておきましょう。

世の中には、「会議はムダなものでいらない」という意見もあり、同様の考えのチームリーダーもいるかもしれません。しかし、これは間違いです。

会議がムダだと言われるのは、適切な会議運営ができていないからであり、準備が足りないために会議が長くなり、しかも結論が出ないからでしょう。確かに、そんな会議ならいらないかもしれません。

会議は本来、極めて有効なもので、会議なしでチームが目標を達成することは、個として自立している優秀な人たちばかりのチームの場合ならまだしも、通常レベルのメンバーが集まったチームの場合には不可能だと思っています。

会議こそチームの生産性を上げるものであり、メンバーにチームリーダーの意志や情熱を伝える大事な場です。数分のショートミーティングも含めて、会議をいかに有効活用するかが、4倍速で成果を出すチームになるためのカギだと言っても過言ではありません。

リーダーは会議の監督・主演・脚本家

こうしたことを踏まえた上で、私は、会議は「舞台」だと思っています。会議の進行役であるチームリーダーは、舞台を仕切る監督であり主演です。

そして、脚本家が書いた脚本の質で舞台の質が決まるのと同様、会議もチームリーダーが事前にどれだけ質の高い脚本を書いたかで会議の質が決まります。つまり、脚本家でもあるのです。

チームリーダーは、会議の監督・主演・脚本家ですから、議題を何にするか、メンバーのうち誰に参加してもらうか、時間は何分にするか、場所をどこにするかなど、あらゆることを適切に決めることで、チームの生産性を上げることができます。

たとえば、思いのほか成果が出せずにいるチームがあり、チームリーダーが急きょ空き部屋にメンバーを集めて30分のミーティングを行うとしましょう。このようなケースでも、チームリーダーが書く脚本には、いくつものパターンが考えられます。

例をいくつかあげてみましょう。

一つは、感情を表に出すことなく、あえて淡々と、メンバー一人ひとりから話を聞き、現状の把握を行い、今一度ゴールを確認してから最短距離を走るために優先順位をつけ直し、スケジュールをそれに沿って改め、ミーティング後、すぐに走り出せるようなミーティングを行う。冷静沈着なチームリーダーを演じるという脚本です。

逆に、ミーティングの冒頭、「私は今、すごく残念です。この1週間、みなさんの動きを見ていて、私は本当に残念に思います」と、わざと感情的に話し始めることで、メンバーの気持ちを揺さぶり、その後、鼓舞するように檄を飛ばす脚本を書くチームリーダーもいるかもしれません。

「何かみんな暗い顔をしているけれど、違う、違う! 怒ったり、責めたりしたいわけじゃないんだ。まず忘れよう。今までのことを、まず忘れよう。過去はいったん忘れて、今この瞬間から前向きにいこう。大丈夫。まだ目標達成には間に合いますよ」と、明るく語りかけることで、チームの重い雰囲気を取り払おうとするチームリーダーという脚本があってもいいでしょう。

チームリーダーの脚本次第で会議はいかようにもなる、ということがわかっていただけたのではないでしょうか。

とかく事前準備というと、情報収集というインプットに偏りがちですが、脚本を書くというアウトプットも同様か、それ以上に大事になります。情報収集と脚本は、会議や商談の事前準備の両輪だと言えるでしょう。