前日については、独・4月IFO景況指数が市場予想99.9に対して結果が99.2となり、ユーロ売りが加速しました。独10年債利回りが12日以来のマイナスとなったことも相場の重しとなり、ユーロドルでは、一時1.11410ドルと2017年6月22日以来約1年10カ月ぶりの安値を付けました。ユーロについては、引き続き「条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)第3弾」が意識されていますが、詳細は6月以降ということもあり、先行き不透明感が拭えない以上は、ユーロ軟調の地合いは継続する見通しです。

カナダドルについては、政策金利自体は市場予想通り1.75%に据え置きとなりましたが、「緩和的な政策金利が引き続き正当化される」「新たなデータで政策の適切な対応を評価する」との声明が出ており、前回までの利上げ時期に関する文言が削除されました。ポロズBOC総裁が「経済の見通しが改善すれば利上げの可能性がある」「景気減速は一時的と予想」と発言したこともあり、一時下値を切り上げる動きも見られましたが、利上げ期待が主導していた通貨であったこともあり、目先のネガティブインパクトは意識されそうです。

日米貿易協議については、麻生財務相とムニューシン米財務長官の日米財務相会談において、ムニューシン米財務長官が貿易合意に盛り込むと述べていた「為替条項」に関する協議が警戒されそうです。「為替条項」に関する内容が出てきた場合は、円買いドル売り基調が強まりそうです。また、茂木経済財政相がライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との第2回日米物品貿易協定(TAG)交渉のために訪米する予定となっています。本来であれば前週にも公表される予定であった為替政策報告書ですが、今回は未だ発表されていません。日米貿易協議のタイミングで発表される可能性があるため、この点には注意が必要でしょう。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、日銀政策決定会合が予定されています。金融政策の現状維持、経済・物価情勢の展望(展望リポート)では国内総生産(GDP)予想の下方修正が見込まれており、この点については既に織り込まれています。ネガティブサプライズがあるとすれば、国内総生産(GDP)が下方修正のみならず、マイナスに転落するケースが想定されます。悪化次第では、7月の参議院選挙前に何かしらの施策を講じる可能性があり、追加緩和に関することであれば、一時的に円安に傾くかもしれませんが、日米貿易協議の不調が予想されることもあり、その後はドル売り円買い基調が強まりそうです。

黒田バズーカ砲と呼ばれる緩和策については、過去4回の月例経済報告の景気判断の下方修正の後に行われており、景気判断が下方修正されれば、第5弾の可能性に警戒する必要が出てきそうです。特に、日米貿易協議の真っ只中ということもあり、様々な憶測がマーケットを牽引する可能性がありそうです。以上の点を踏まえると、本日の黒田日銀総裁の定例会見において、消費増税への言及があるかどうかに注目です。

日米貿易協議の詳細発表後はドル売りが強まる想定

戦略通り、ドル円ショートを112.15円にてポジションメイクしております。ドル円の112円台は何度もトライするものの、すぐさま111円台に反落するポイントになっているため、今回も滞空時間は短いものになると考えています。日米貿易協議についても、米中貿易協議同様にドル売りが強まる可能性が高いと見ているため、引き続き、利食いは111.40円、損切りは112.50円付近に設定します。

海外時間からの流れ

日本の大型連休を控え、ややポジション整理の動きが強まりつつあります。本日は、大型連休前最後のゴトー日、そして午後には日銀政策決定会合の内容が公表されるため、海外時間では、徐々にポジション整理の動きが活発化してくると考えられます。今年1/3のフラッシュクラッシュのような動きにならないように、細心の注意を払って大型連休に向かうとの報道もあることから、本日の海外時間、そして明日にかけてはポジション整理主導の動きになりそうです。特に、ドルロング、エマージング通貨については、ロングの解消が強まるかもしれません。

今日の予定

本日は、日銀金融政策決定会合、トルコ中銀(TCMB)政策金利発表、米・新規失業保険申請件数、米・3月耐久財受注(速報値)などの経済指標が予定されています。要人発言としては、黒田・日銀総裁の定例会見、デギンドス・ECB副総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。