政府が打ち出す「人生100年時代」構想。もはや「人生80年」どころか100年も生きる時代となると、定年後にも元気に人生を謳歌するための趣味づくりなどが重要になってくるだろう。そんな中、最近シニア層のアクティビティとしてひそかに注目を集めているのがスキューバダイビングなのだ。

ダイバーに占めるシニア層が増えているわけ

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(写真=Jag_cz/Shutterstock.com)

サンゴ礁きらめく海を悠々と泳ぐスキューバダイビングは、若者のレジャーと思われがちだ。そんなスキューバダイビングにチャレンジするシニア層が増えている要因はいくつか考えられる。

まずは、もともとのダイビング愛好者層が年月の移り変わりとともに中高年にさしかかっていること。日本でダイビングが第一次ブームを迎えたのは、バブル全盛期の1980年代後半だ。1989年の映画「彼女が水着にきがえたら」(監督:馬場康夫)は、サザンの楽曲をBGMに原田知世と織田裕二が主演。日本じゅうをスキーブームに巻き込んだ「私をスキーに連れてって」に引き続き、同世代の若者にスキューバダイビングの魅力を伝えた。 当時、映画に魅せられてダイビングのライセンス講習を受ける人が急増し、高価なダイビングの器材が飛ぶように売れたという。
それから約30年が経過。当時、こぞって海に潜った20代の若者は今や50代となっている。

もう一点は、ダイビングはある程度、余暇とお金がある層しか楽しめないレジャーであるということだ。ダイビングのライセンス講習の相場は5~8万円台といわれる。さらに、海のきれいな沖縄や海外でダイビングしようとすると、往復の飛行機代に現地の宿泊費、ダイビング費用がかかる。国内でも10万円台、海外ならさらにかかるだろう。

内閣府の「子ども・若者白書(平成30年版)」によると、25~34歳の非正規雇用率は25.9%。少子高齢化に伴う労働力人口の減少でここ数年改善してはいるものの、若者層の約4分の1が収入の不安定な非正規雇用という現実の中では、なかなかお金がかかるマリンスポーツを楽しもうという気運も高まらないのかもしれない。一方で、順調に職業人生を全うし、退職金や年金で余裕のあるシニア層であれば、年に数回趣味のダイビングを楽しむ旅に出かける時間的余裕や資金もあるのだろう。
こういった理由から、ダイバーに占めるシニア層の割が増加していると考えられる。

シニア層がダイビングを楽しむなら

では実際、シニア層でもダイビングは楽しめるのだろうか。 ダイビングは酸素ボンベや機材を装備し、浮力を利用するので、陸上のスポーツに比べて身体への負担が軽いとされている。とくに、中高年は腰や膝の痛みを訴える人が多いが、海中であれば痛みを感じることは少ない。また、動きもゆったりしているので、反射神経が衰えたシニア層でも無理なく楽しむことができる。

ただ、持病を抱えている場合などは、医師に相談の上で楽しむべきだろう。特に、高血圧や糖尿病、心臓発作や脳卒中の病歴がある人、コレステロール値が高い人などは要注意だ。 ちょっとしたことでも、陸上と海中では勝手が違うことがある。自身の体力は過信せず、無理をしないことがシニア層のダイビングの鉄則だ。したがって、初心者はインストラクターによるマンツーマンでのサポートを受けることをおすすめする。

自由に時間を使えるシニア層ならば、ダイビングのライセンス取得もおすすめだ。初級となる「オープン・ウォーター・ダイバー(Cカード)」なら、数日で取得可能だ。ダイビングのライセンスは世界共通なので、取得すれば旅先で潜ることもできる。また、マリンスポーツは男女問わず楽しめる趣味となるので、夫婦で挑戦すればますます楽しみが広がるだろう。

アクティブシニア向けのビジネスチャンス到来

スキューバダイビングのように、既成のサービスでもある程度経済的余裕のあるシニア層向けに展開できるサービスは少なくない。高齢化社会が進展する中、アクティブシニア向けのビジネスチャンスは思わぬところに転がっている可能性があるのだ。(提供:百計ONLINE

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