前日については、日本の大型連休前ということもあり、リスク回避の意味合いもあり、事前にポジション整理を行う動きが強まり、特にドル円を筆頭としたクロス円においては、手仕舞のポジションにより下値を拡大しました。本日は、日本の大型連休前に加え、週末であることも加味されるので、引き続きポジション整理の動きにより下値を模索する動きがありそうです。ただ、あくまでこの動きが一過性のものであることから、マーケットの方向性を見極める材料にはならない公算です。
注目の日米貿易協議においては、麻生財務相はムニューシン米財務長官との日米財務相会談を終えた後に、「為替問題と貿易問題はリンクさせない、為替は財務当局間で協議することを確認した、ムニューシン米財務長官から為替への要求あったか話さない」との発言をしていることから、上下に動きづらい地合いになっています。ただ、茂木経済財政相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による通商協議では、農産物・自動車に関して議論されている模様であり、関連するヘッドラインによっては、マーケットを動意づかせる可能性がありそうです。日米首脳会談前に、クドロー国家経済会議(NEC)委員長は楽観的な見解を述べていることもあり、不安視されていた日米貿易協議でのリスク回避の動きは現状では影響は限定的なものになっています。
大型連休を前に、本邦輸出企業による円買いと同輸入企業による円売りの綱引き状態が続く中で、本日の東京時間では、一時ドル円が111.45円付近まで下押す場面がありましたが、その後は仲値にかけて111.75円付近まで買い戻される動きとなりました。その後は膠着状態が続いていることもあり、昨日同様にポジション調整の動きが強まるなかで、日米貿易協議のヘッドライン待ちのマーケットになりそうです。為替政策報告書については、例年より大幅に公表が遅れていますが、日米首脳会談に合わせた公表の可能性には注意が必要でしょうか。
今後の見通し
日銀は、金融政策決定会合で予想通り金融政策の据え置きを決定しました。ただ、「政策金利のフォワードガイダンスの明確化」を行い、これまで、現行の金融緩和政策を「当分の間」続けるとしてきたが、今回の修正では「当分の間、少なくとも2020年春頃まで」と時期に言及しました。黒田日銀総裁は記者会見で、変更の背景について、市場参加者が消費税増税後すぐに日銀が金融政策正常化に向かうとの見方を強めないためと説明しました。
また、いくつかの「強力な金融緩和の継続に資する諸措置」を発表し、金融緩和の長期化に備える形となりました。現行のスタンスを「少なくとも2020年春頃まで」と明言したことにより、あらゆる思惑による円買いリスクはこれで軽減されたと考えられます。日銀の金融政策見通しに影響を与えなかったとの判断で、マーケットの影響は限定的となっていますが、今回の日銀からの声明は不要な円買い材料を排除するには有効であったと考えられます。
来週4/29より日本の大型連休がスタートすることにより、アジア時間のリクイディティが一気に低下するため、この点には注意が必要でしょうか。1/3のフラッシュクラッシュの経験から既にポジションを軽減する動きが強まり、マーケット関係者もフラッシュクラッシュを警戒していることから、可能性としては低いものの、こちらの注意もしておいた方がよさそうです。
ドル円ショート利食いも、戻り売り戦略に変更なし
日米貿易協議後にドル円は下落方向に傾くと想定していましたが、大型連休前のポジション調整でドル円は目標の111.40円に達しました。112.15円のドル円ショートについては、111.40円にて利食い、手仕舞です。ドル円の水準は一旦下がりましたが、戻り売り戦略自体には変更がないため、111.90円付近まで引き付けての戻り売り戦略とし、利食いは111.10円、損切りは112.30円付近を想定します。
海外時間からの流れ
本日の東京時間に、習・中国国家主席が「他国に損害を与えるような人民元安は追求しない」と発言したことにより、中国と貿易関係において結びつきの強い豪ドルが堅調に推移しています。利下げ懸念が再熱している豪ドルであり、中国関連の報道で反発したところは戻り売り目途として意識されそうですが、これまで売られすぎの状況であったこともあり、買い戻しが強まる場面においては一気に反発するかもしれません。
今日の予定
本日は、米・第1四半期GDP(速報値)、米・4月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などの経済指標が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。