前週末については、米・第1四半期GDP(速報値)(前期比年率)が市場予想+2.3%に対して、結果が+3.2%になったことを受け、ドル円は一時112円台を回復する動きとなりました。ただ、米・第1四半期コアPCE(速報値)が市場予想の+1.4%に対して+1.3%と悪化したこと、日本の大型連休前の急速なポジション調整の動きもあったため、ドル円は再び111円台半ば中心の値動きとなりました。

ユーロドルについては、米・第1四半期GDPが非常に強い数字だったこともあり、一時1.11127ドルと2017年5月30日以来約1年11カ月ぶりの安値を付けたものの、その後は急速なポジション調整の動きもあったことから、1.1170ドル台まで反発するものの、潜在的なユーロ軟調の動きが意識され、その後は1.1150ドル台中心の値動きとなりました。

週末の注目ポイントであった大手格付け会社S&Pのイタリアへの格付けについては、「BBB、見通し:ネガティブ」に据え置くことを発表しました。イタリア政府は、今月はじめに、2019年GDP予想を1.0%から0.2%へ大幅下方修正したばかりであり、0.1%にさらに悪化する可能性も示唆していました。格下げの可能性がある程度予想されていましたが、S&Pの見解として「現在のイタリア連立政権の経済・財政政策には、赤字削減効果が見受けられないと考えるが、しばらくは今後の動きをもう少し時間をかけて見極めたい」との内容が発表されました。ただ、この据え置き報道を受けてもユーロが積極的に買い戻されていない状況を考えると、やはりユーロの上値は重いと考えられそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

アジア時間については、日本が大型連休に入ったこともあり、非常に流動性の低い動きになりそうです。基本的には、海外時間までは値動きに乏しい展開になりそうです。日米貿易協議については、日本側が6月30日から7月21日のどこかで参議院選挙を控えていることもあり、なかなか交渉内容が表面化しません。選挙前ということもあり、大幅に米国に譲歩をする姿勢は見せられないため、参議院選が終了するまでは、具体的な通商交渉の進展は表面化されない可能性がありそうです。

早期解散により行われたスペイン総選挙は、社会労働党が勝利をおさめました。連立を組む左派ポピュリズム政党ポデモスと合わせて過半数を獲得することが出来なかったものの、世論調査とほぼ同程度の獲得票数になる見通しであり、ユーロに与える影響は限定的になりそうです。

ドル円ショート利食いも、戻り売り戦略に変更なし

米・第1四半期GDP(速報値)が想定外に強い内容だったこともあり、111.90円でのドル円ショートメイクに成功です。やはりテクニカル的には112円台での滞空時間が短く、ファンダメンタルズ的にも積極的にリスク選好の動きを進める地合いでないため、ドル円は112円がレジスタンスラインとして意識されそうです。手仕舞水準に変更はなく、利食いは111.10円、損切りは112.30円付近です。

海外時間からの流れ

米・第1四半期GDP(速報値)の数字こそサプライズではありましたが、大方の予想通り、日本の大型連休前にポジション調整が入りました。1/3のフラッシュクラッシュの再来を防ぐ意味もあり、今回はマーケットが非常に慎重な動きを見せました。ただ、事前の丁寧な対応があったこともあり、アジア時間ではマーケットが動意づく材料がないことも事実であり、海外時間までは様子の展開になりそうです。

今日の予定

本日は、米・3月個人所得/3月個人支出、米・2月PCEコア・デフレータなどの経済指標が予定されています。要人発言としては、カーニー・英中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。