前日については、ユーロ圏・4月業況判断指数が市場予想0.49に対して結果は0.42となり、欧州時間序盤は欧州経済の先行き不透明感が強まったこともあり、ユーロ売りからスタートしました。その後も、米国の経済指標が市場予想を上回ったこともあり、ユーロ売りドル買いが強まり、ユーロドルでは一時1.11455ドルまで値を崩す動きとなりました。ただ、その後は今週のビックイベントであるFOMCと米雇用統計が意識されたこともあり、じりじりとユーロの買い戻しが入り、ユーロドルは1.1185ドル付近まで値を戻しました。
大手格付け会社S&Pのイタリアへの格付けが据え置きだったこと、早期解散により行われたスペイン総選挙では社会労働党が勝利をおさめ、世論調査とほぼ同程度の獲得票数になったことも、一旦ユーロショートを手仕舞う材料として意識されたかもしれません。
ドル円については、好調な経済指標だったこともあり、一時111.895円まで上値を拡大しましたが、やはり112円のラインでは上値が重く、明確にレジスタンスラインとして意識されていると考えてよさそうです。このラインを明確に上抜けるには、FOMCや雇用統計などビックイベントでの強い数字が必要になってくるかもしれません。また、日本が大型連休に入っていることもあり、「112円台には大型連休を迎えた本邦実需勢の売りが観測されている」との声もあるようです。
今後の見通し
アジア時間については、日本が大型連休に入ったこともあり、引き続き、非常に流動性の低い動きになりそうです。特に、明日のアジア時間では、中国、香港、シンガポールがメーデーとなるため、休場となります。アジアの主要市場参加者が不在となることを考えると、基本的にはポジションは動かしづらく、ドル円も現在の111円半ばから後半にかけてのプライスアクションに落ち着くのではないでしょうか。
本日のNYダウ引け後に、米国ではアップルの決算が発表されます。1/3のフラッシュクラッシュの原因の一つであると言われている重要決算であるため、注意が必要になりそうです。明日は、アジア時間の主要市場がほぼ全て休場となるため、市場関係者の間でも最もフラッシュクラッシュを警戒している日となります。ただ、今回の日本の大型連休は、1/3のフラッシュクラッシュがあったことから、全日意識されており、特に明日5/1は一段と警戒を強めていると言われています。フラッシュクラッシュについては、流動性低下、市場参加者減少、そして警戒薄の条件が全て揃った時に起こりやすいですが、今回はこの警戒薄の部分がないため、1/3のようなことはないのではとも言われていますが、流動性が低下し、市場参加者が減少することは事実であるため、一応注意は必要でしょうか。
ドル円ショート利食いも、戻り売り戦略に変更なし
テクニカル的には112円台での滞空時間が短く、ファンダメンタルズ的にも積極的にリスク選好の動きを進める地合いでないため、ドル円は112円がレジスタンスラインとして意識されています。利食いは111.10円、損切りは112.30円付近の戦略に変更はありません。
海外時間からの流れ
アジア時間に発表された中国・4月製造業PMI、非製造業PMIについては、製造業PMIが市場予想50.5に対して、結果は50.1、非製造業PMIが市場予想54.9に対して、結果は54.3になったことから総じて豪ドルが弱含む展開になりました。もともと利下げ懸念が意識されており、中国の貿易収支が一気に強まったことから反発基調を強めていましたが、中国指標が弱くなるようだと、豪ドルを買い支える材料がなくなります。市場参加者が少ないながらも、豪ドルを筆頭としたオセアニア通貨については、上値の重い地合いになりそうです。
今日の予定
本日は、独雇用統計、ユーロ圏・3月失業率、ユーロ圏・第1四半期GDP、独・4月消費者物価指数(速報値)、メキシコ・第1四半期GDP(速報値)、米・4月シカゴ購買部協会景気指数、米・4月CB消費者信頼感指数などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ポロッツ・加中銀(BOC)総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。