昨日東京市場では、ドル円は概ね110.60円台から110.80円台の狭いレンジでのもみ合いに終始しました。15時過ぎには劉鶴・中国副首相が訪米団に加わるとの報道に上昇したものの東京高値を超えるには至らず、戻りの重さを確認する結果となりました。NY時間に入ると米株の大幅下落につれ下値を広げ前日安値を下抜け110.17円まで安値を更新しました。一方、ユーロドルがEUによる今年のユーロ圏成長見通しの下方修正を受け反落したほか、ポンドドルは先週の英統一地方選での惨敗から期待が高まっていた保守党・労働党の合意に関して両党から悲観的なコメントが出されたことで失望感が広がったことに加え、メイ首相下ろしの動きが再燃しているとの報道も嫌気されて続落となるなど、欧州通貨は全面安の展開となりました。その結果、全般的にクロス円は売られ、なかでもイスタンブール市長選のやり直し決定が嫌気されたトルコ円は続落し18円を割り込んで年初来安値を更新しています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

関税引き上げ表明は交渉を前にしたトランプ大統領のブラフで、結局は米中通商協議は合意に至るだろうとの楽観論は、早朝のライトハイザーUSTR代表発言で一気に後退、NY市場では米主要株価指数が大幅に下落しました。未だに最終的合意を期待するプレイヤーも多い中、昨日50日線を割り込んだダウ平均にS&P、ナスダックも追随するようだと、ポジション調整の波が一気に押し寄せる可能性も否めません。米株の一段安が米10年債利回りの更なる低下とクロス円のリクイデーションを押し進めれば、ドル円は3月安値109.70円付近を試す展開となりそうです。

利食い成功、再びショートメイクを狙う

110.90円のドル円ショートは110.30円で利食いが成立。しかし戻りなく続落してしまいました。目先110円割れは一旦本邦実需筋からの買いも予想されることから、欧州勢参入後の戻り具合を見たうえで、再度売り参入の水準を見極めたいと思います。

海外時間からの流れ

劉鶴・中国副首相が訪米団に加わるとの報道にもドル円の戻りは限定的で、米10年債利回りの低下とダウ先物の下落を受けすぐに反落、NY時間には売り先行で始まった米株が下げ幅を広げると110円半ばを割り込みました。その後も米株の下落につれ下げ幅を拡大、3月下旬以来の水準となる110.17円の安値をつけました。またポンドドルは続落。英保守党と労働党の協議不調が報じられると合意への期待が失望へと変わり、メイ首相下ろしの動き再燃との報道も下落を後押ししました。ユーロドルはEUが今年のユーロ圏成長見通しを下方修正したことから反落するなか、サルビーニ伊副首相の「3%の赤字ルールを破ることになったとしても2019年の減税は行う」との発言に1.1167ドルの安値をつけ、ユーロ円は1月4日以来の123.11円付近まで下落しました。

今日の予定

本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)による政策金利発表(発表済:市場予想通り25BPの利下げ)、中国・4月貿易収支、独・3月鉱工業生産、加・4月住宅着工件数、米10年債入札が注目されるほか、ラムスデン・BOE副総裁、ブレイナード・FRB理事の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。