税制優遇のあるiDeCo(イデコ)は老後資金の準備に役立つ制度だ。ただし、その運用成果やコスト(手数料)は金融機関によって違いがある。iDeCo口座をどこで開設すべきか、選ぶ際のポイントは3つある。

iDeCo(イデコ)は税制優遇が受けられる私的年金制度

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(画像=beeboys/Shutterstock.com)

iDeCoとは個人型確定拠出年金の愛称だ。公的年金に上乗せする形で、自助努力により老後資金を準備する「私的年金」の一つである。毎月、定期的に運用商品を購入し、自ら指定した運用商品により運用を行う仕組みだ。 iDeCo最大のメリットは、掛金拠出時(全額所得控除)・運用時(非課税)・受取時(所得控除)の税制優遇にある。ただし積立金とその運用益は原則60歳以降の受け取りとなる点には注意しなければならない。 2017年からはiDeCoに加入できる対象が大幅に拡大され、日本に住む20~59歳のほとんどの人が利用できるようになった。掛金(拠出額)の上限は、職業や加入する他の企業年金制度の有無などによって決まり(月1万2,000円〜6万8,000円)、最低拠出額は月5,000円である。証券会社や銀行などiDeCoを取り扱う金融機関に申し込みを行い、口座を開設すれば利用できる。

iDeCo(イデコ)口座を開設する金融機関を選ぶ3つのポイント

iDeCo口座を開設する金融機関(運営管理機関)は、加入者が自由に選べる。金融機関ごとに手数料や運用商品のラインアップ、各種サービス内容が異なるためよく比較して選ぶことが大切だ。

ポイント1……iDeCo(イデコ)口座にかかる管理手数料が安いこと

iDeCoでは運用成果なども考慮した上で、なるべく口座管理手数料のかからない金融機関を選ぶことがポイントだ。口座管理手数料は毎月かかる手数料であり、長期にわたって運用を行うiDeCoではその差が大きくなるからだ。

iDeCoで国民年金基金連合会に支払う手数料はどこの金融機関でも同じだが、口座管理手数料は金融機関ごとに定められている。 iDeCoの口座にかかる手数料をまとめると以下の表になる。なお、iDeCoの拠出方法は毎月拠出、年1回拠出、年2回拠出から選択できるが、今回は毎月拠出の場合の手数料とする。拠出回数が多いほうが手数料もかかることになる。

発生時期 手数料種類 支払い先 金額(税込)
口座開設時のみ 口座開設手数料 国民年金基金連合会 2,777円
(共通)
加入手数料 運営管理機関
(証券会社・銀行等)
0〜1,000円程度
(一般的には無料)
運用期間中 収納手数料 国民年金基金連合会 103円/月
(共通)
事務委託手数料 事務委託先金融機関
(信託銀行等)
 64円/月
(ほぼ共通)
口座管理手数料
(運営管理手数料)
運営管理機関
(証券会社・銀行等)
 0〜数百円程度/月
(金融機関による)
給付時
(給付の都度)
  事務委託先金融機関
(信託銀行等)
432円/回
(共通)

※iDeCo公式サイトを基に編集部にて作成

ポイント2……iDeCo(イデコ)の運用商品ラインアップに希望する商品があるか

商品のラインアップは金融機関によって異なるため、希望する商品を取り扱っているかどうかも重要だ。

iDeCoの運用商品は「元本確保型商品」と「投資信託」の2つに分けられる。

元本確保型商品は、原則として元本が確保される定期預金や保険商品などの運用商品のこと。積立金に所定の利息が上乗せされる。ただし保険商品の場合、iDeCo口座内での運用資産の構成変更(スイッチング)などによって、保険商品を中途解約すると元本割れする可能性が高く、いわゆる元本保証ではなくなる点には注意したい。

投資信託は、投資家から募った資金を運用の専門家が株式や債券などに分散投資し、運用成果を投資家に分配する仕組みの金融商品だ。投資対象とする資産や地域、運用手法によりリスクやリターンは異なる。運用成果次第で損失が出るリスクもある。

金融機関は選択肢として、元本確保型商品と投資信託の両方を含む複数(3本以上35本以下)の運用商品を加入者に提示しなければならない。加入者は目標とする運用利回りや許容できるリスクをもとに、提示された選択肢の中から運用商品を選択する。

ポイント3……ホームページやコールセンターなどのサービスが充実しているか

金融機関のホームページやコールセンター、運用状況の報告書などのサービス内容が自分にあっているかも確認しておきたい。投資判断を適切に行うには、運用商品の内容や運用状況がわかりやすく開示されていることが望ましいからだ。手数料や商品本数で甲乙つけがたい場合には、キャンペーンやポイントサービスを比較検討の項目に追加するのがいいだろう。

iDeCo(イデコ)はどこで開設すべきか?金融機関10社を比較

iDeCoを取り扱う主な金融機関ついて、これまでのポイントを整理したのが以下の表である。金融機関を比較・検討する際の参考になるよう、ここでは口座管理手数料が無料の金融機関をピックアップした。口座管理手数料は収納手数料・事務委託手数料を含まない運営管理手数料(税込)のみの金額とする。

金融機関名 口座管理手数料 商品ラインアップ その他サービス
SBI証券 0円 ⑴セレクトプラン
元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:36商品
⑵オリジナルプラン
元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:37商品
コールセンター
(平日/土曜8:00〜18:00
*土曜は新規加入に関する問い合わせのみの受付)
楽天証券 0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:31商品
コールセンター
(平日10:00〜19:00/土曜9:00〜17:00)
iDeCo専用AIチャット
(24時間対応)
マネックス証券 0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:24商品
コールセンター
(平日9:00〜20:00/土曜9:00〜17:00)
イオン銀行 0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:23商品
コールセンター
(平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜17:00)
大和証券 0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:21商品
コールセンター
(【新規】平日9:00〜20:00/土日9:00〜17:00【加入者】平日10:00〜18:00)
松井証券 0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:11商品
コールセンター
(平日8:30〜17:00)
KDDIアセットマネジメント
(auのiDeCo)
0円 元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:4商品
コールセンター
(平日9:00〜20:00/土日9:00〜17:00)
スマホアプリで加入手続き・運用状況確認
運用残高に応じ、WALLETポイント(またはWow!スーパーポイント)付与
みずほ銀行 条件(1)を
満たす場合
0円
条件対象外
月額255円
元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:14商品
コールセンター
(平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜17:00)
野村證券 条件(2)を
満たす場合
0円
条件対象外
月額283円
元本保証型:1商品
(定期預金)
投資信託:26商品
コールセンター
(平日9:00〜21:00/土日9:00〜17:00)
コールセンター・加入者向けWEBサービスはHDI-Japanの最高評価を獲得
第一生命 残高150万以上
0円
残高150万未満
月額315円
元本保証型:1商品
(年金保険)
投資信託:23商品
コールセンター
(平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜17:00)
運用状況が一目でわかるWEBサイト
残高や評価損益について定期レポートにより報告
医療介護電話相談サービス無料付帯

※各金融機関のホームページを基に編集部にて作成

*1 ⑴iDeCo残高または掛金累計額50万円以上、⑵掛金月額1万円以上・専用サイトにメールアドレス登録・専用サイトに目標金額を登録。⑴と⑵のいずれかを満たすこと *2 ⑴iDeCo残高100万円以上、⑵掛金月額1万円以上のいずれかを満たすこと

iDeCo(イデコ)口座をどこで開設するかは慎重に判断

iDeCoは長く運用するほど積立金と運用益が期待できるため、60歳以降の資金準備が有利になる。iDeCoの口座をどこで開設するかは、手数料、商品ラインアップ、サービスの3つのポイントを比較しながら自分に合った金融機関を選びたい。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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